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実は“針三百本”!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れるハリセンボンってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第14回は「ハリセンボン」です。

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実は“針三百本”!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れるハリセンボンってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
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※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!
夏になっても未だ人気に陰りを見せない『あつまれ どうぶつの森』。
むしろ僕のように虫捕りや魚釣りにばかり精を出しているプレイヤーにとっては出現生物がガラッと変わるこの季節は盛り上がるばかりです。

特に最近「おっ!」と思わされたのがこの魚。


7,8,9月、夏季限定で出現するハリセンボンです。

普段は膨らんでません


ハリセンボンは南方系のフグの仲間で、現実世界では世界中の温かい海に生息しています。
日本では沖縄をはじめとする南西諸島や高知、和歌山などに多く、稚魚は黒潮に乗って日本各地の沿岸へ流れ着きます。
ただし、寒さに弱い魚なのでその多くはある程度成長するものの、冬の訪れとともに絶命してしまいます。この現象を「死滅回遊」といいます。
『あつ森』での出現時期が夏のみに限られるのもこうした生態を反映しているのかもしれませんね。

▲捕まえられ、体を膨らませて威嚇するハリセンボン。かわいいけれど、手のひらは痛い!!

なお、「ハリセンボン」と総称される魚にはハリセンボン、ヒトヅラハリセンボン、ネズミフグ、イシガキフグなど数種類が含まれています。いずれもトゲトゲですが、体格や体表の模様やトゲの長さなどが微妙に違うのです。
実は奥が深いんです、ハリセンボン界隈。

ところでハリセンボンといえば体をまん丸に膨らませ、全身のトゲを突っ張らせたイガグリのような姿がよく知られていることと思われます。
とてもかわいらしく、ハリセンボンの名にふさわしいトゲトゲっぷりです。

▲トゲが短く大型になるネズミフグ。うーん、申し訳ないけれど威嚇されても全然怖くありませんね。でも歯は鋭いので気をつけて!このサイズだと噛まれると大怪我をします。

しかし、これは彼らからしてみれば超非常事態にのみ見せる緊急フォーム。
普段は意外にもほっそりとしていて、自慢のトゲも体に沿って寝ています。

▲平常時のハリセンボン。まるで別の魚のようです。

▲『あつ森』でも博物館で展示されている間はこのとおり。安心したようでよかった!

なお、ハリセンボンの威嚇はどちらかというと水中での使用を想定したものだと考えられます。つまり本来は水を吸い込むことで体を膨張させるわけですが、人間に捕まり陸へ上げられた際は空気を吸い込むことになります。
そうなると、再び海へと解放されても体内に空気が溜まっているせいですぐには泳ぎ出せず、数分ほど海面を漂う羽目になります。
落ち着きを取り戻して体をしぼませればまた潜れるんですがね。

▲膨らんだまま放流するとこんなことに……(※数十秒後、無事に泳いで行きました)。

実は食べられます!


ハリセンボンは分類上はフグ目に属しますが毒はありません。
毒を持つ代わりにトゲによる物理防御に特化した進化を遂げたのでしょう。


それゆえ、特に資格を持っていない人でも自由にさばいて食べることができます。
大型個体が採れる沖縄では「アバサー」という地方名で親しまれ、市場でも皮を剥かれたものを購入することができます。
さらに近年ではスーパーマーケットで切り身が並んでいるのを見かけることも…。

それだけおいしい魚だということです。
なんせフグの仲間なんですからね!

▲スーパーでパック売りされるハリセンボンの切り身。沖縄県にて。

ただし、頭でっかちで可食部が異常に少ないことから調理法はかなり限られます。
ですが、彼らの骨からはとっても良いダシが採れるのです。また、肝臓のコクも絶品!

というわけでボディーはぶつ切り、肝臓は砕いてごった煮にして味噌を溶いた「アバサー汁」として食べられることが多いのです。というかほぼそれ一択。

▲とてもおいしい「アバサー汁」。沖縄へ来たらぜひ一度ご賞味あれ。

針千本ならぬ針三百本


最後に、針千本たちの知られざる秘密を暴露して本記事の終わりとさせていただきます。
ハリセンボンの名前の由来にもなっているあのトゲトゲ。実はアレ300本から400本程度しかないんです。イシガキフグに至ってはさらに少ないという有様。
う~ん、誇大表記!

でも身を守るにはこれくらいがベストなのでしょう。
あ、ちなみに『あつ森』に登場するハリセンボンはグラフィック作成の都合ゆえかさらにトゲの本数が少なくなっているようです。
ヒマな人はぜひ数えてみてください~。

▲トゲを全部抜いてやれば、皮も湯引きで食べられます。超めんどくさいですけどね!!

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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