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リーゼントヘア…に見えません?『あつまれどうぶつの森』に登場する「ジンメンカメムシ」って何者?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第62回は「ジンメンカメムシ」です。

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リーゼントヘア…に見えません?『あつまれどうぶつの森』に登場する「ジンメンカメムシ」って何者?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
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※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!

いきなりおっさん丸出しなお話で恐縮なのですが、30年ほど前に世間ではオカルトブームというのがありまして…。

「人面犬」というある種の怪異が大いに話題となりました。まんま、人の顔をした犬(人語を話すという説も)というだけの話なんですが、これが連日ワイドショーで熱気をもって報道されていたです。

さらには頭部に人の顔のような陰影が見える「人面魚(実際は単なる金色の錦鯉)」もブームに!人面シリーズに触発されたのか、児童書やネイチャー系テレビ番組ではこんな昆虫がフィーチャーされていました。

それがこの「ジンメンカメムシ」!

東南アジアに生息する、オレンジと黒のツートンカラーがとても美しいカメムシです。

現在も未だ色あせぬインパクトと知名度から「あつまれ どうぶつの森(※以下『あつ森』)」にも出演を果たしたこのカメムシは、他の「人面◯◯」とは一味違う人面っぷりを見せてくれます。

とはいえ図鑑に載っている姿のように頭を上へ向けて見れば、あくまで「羽に黒い模様のあるオレンジ色の派手なカメムシ」に過ぎません。

しかし、頭を下側へ向けてみると……?

▲ジンメンカメムシの標本

あぁーっと!?
白髪まじり?のリーゼントヘア?っぽい、お鼻のご立派なおっさん顔が見えてくるじゃありませんか!

そう。ジンメンカメムシは顔が人の顔っぽいのではなく、全身が人面なのです。

翅の黒い模様が髪の毛と目に見えるのも出来過ぎですが、やはりこの人面感のキモは「鼻」にあたる三角形のパーツの存在でしょうね。

この大きな「鼻」は「小楯板」という部位で、多くのカメムシではこの小楯板が大きく発達し目立つのです。

もちろん、彼らもわざわざ人間の顔を真似しているわけではありません。何の因果かたまたまこんな形に進化してしまったのでしょう。

オレンジ色と黒のツートンカラーについてはスズメバチなどと同様の「警戒色」で、「俺に手を出すと臭い目に遭うぜ!」とアピールしているのかもしれません(※ジンメンカメムシもカメムシの端くれですから、生きているときはそれなりに臭いそうですよ)。

さらにおもしろいことに、ジンメンカメムシは個体によって少しずつ模様が異なるため、その「人相」にも個性が出ます。

上の写真を見ると目が大きなもの、小さなもの、鼻の穴が目立つものと明らかに顔つきに差があるのが分かりますね。

いや、おもしろい昆虫です。

▲日本にもいるアカギカメムシ。これも見ようによっては人面っぽいような…?

ちなみ、数あるカメムシの中には背中に人面っぽい模様を背負った種が他にもちらほら見受けられる気がします。ぜひ、みなさんも身の回りでカメムシを見かけましたら「頭を下に向けて」観察してみてください。

いろんな人面に対面できるかもしれませんよ。

…とはいえ、ジンメンカメムシはやはり飛び抜けた人面っぷりです。

英語圏でもまんま人面のカメムシを意味する「マンフェイススティンクバグ」というくらいですから、その人面っぷりは世界レベルなのでしょう。

ああ。いつかコロナ禍が明けたら、東南アジアへ実物を拝みに行ってみたいものです。

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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