任天堂の岩田聡社長は海外メディアのインタビューに対し「ニンテンドー3DS」開発秘話に関して語っています。
ゲームキューブに3D表示の機能があったのは今年の第3四半期決算説明会で明かされた通りですが、その次にはゲームボーイアドバンスに3D表示機能を搭載するテストが行われていたそうです。
「ゲームキューブの次のテストはゲームボーイアドバンスで、私たちは3Dディスプレイを付けることができました。プロトタイプはまだ私の引き出しの中にありますね。高解像度の画像はあまり綺麗ではなく、視差バリア方式のディスプレイはきちんと動作するものではありませんでした。ゲームボーイアドバンスのグラフィック処理能力は充分ではなかったのです。私たちは3D表示のアイデアが消費者に充分な魅力を持っていないとして諦めたんです」
再び3D表示のアイデアが浮上したのはわずか2年前とのこと。
ニンテンドーDSの開発は6年前に終了したそうですが、その後すぐに後継機(後の「ニンテンドー3DS」)の開発がスタートしたといいます。後継機では当初3D表示は考慮されておらず、ニンテンドーDSの機能を強化したものだったそうです。
「2年ほど前、誰かが3D表示を取り入れるように提案したんです。既に何度も失敗したということで多くの人々が反対しました。私たちはもう一度挑戦することに決めました。画像を見ると、開発者たちの意見はすぐに変わりました。それはとても魅力的だったんです」
「3つの主な改善点がありました。充分な解像度の液晶ディスプレイがなかったこと。実用的な視差バリア技術を持たなかったこと。写実的なグラフィックを動かす処理能力がなかったこと。画像は大きく改良されましたし、宮本茂も同じものについて考えていました。任天堂が3Dゲーム機を作るべき時が来たんです。私たちにとって幸運だったのは、映画「アバター」が大きなヒットとなったことでした。私たちがE3の準備をしていた時、TVメーカーも3DTVに注力することにしていました。「ニンテンドー3DS」に3D表示を取り入れた2年前にこうした動きを予想することは不可能でした。これは大きな幸運でした」
新たなゲーム機がスタートする時、これを普及させるため原価より安く売ることが通例となっています。任天堂はこれを行わないことで有名ですが、その姿勢は「ニンテンドー3DS」でも変わらないようです。
「今、私は「ニンテンドー3DS」の値段に関して話すことを控えないといけません。ニンテンドーDSより多くのコストがかかるのは確かですが、それに値する十分な価値があると考えています。ですから、原価より安く売る必要は感じていません」
まるで計ったような「ニンテンドー3DS」の発表タイミングが運だったとは驚くばかり。また、ニンテンドーDSの前、ゲームボーイアドバンスの時代に3D携帯機が開発されていたというのもビックリです。
任天堂が提供するワンダーはたゆまぬ基礎開発があってこそということのようで、夢を生み出すための苦労は想像を絶するものがあるようです。
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