Game*Sparkのライターが話題作を語る「良いところ・悪いところ」。この企画は、世間で話題になっているゲームの良いところと悪いところを複数のライターの視点で語るというもので、単独ライターによるレビューとは異なる多角的な感想が見られます。
今回は、7月17日にニンテンドースイッチ2でリリースされた3Dアクションゲーム『ドンキーコング バナンザ』をお届けします。
ライター・KADENが感じた良いところ
自由度の高さとおもてなしの量!何をしてもよし、どこに行ってもよし!
『スーパーマリオ オデッセイ』は「何かありそうだな」というところには必ず何かが用意されていたものですが、本作ではその部分が純粋に強化されているな!という印象。なにせ地面をボコボコ掘っても洞窟が用意されていたりしますからね。批評的に言えば「箱庭のイベント密度が高い」という感じでしょうか。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」から「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」に移行した際も地下や洞窟が追加されて感動しましたが、今回もそれに近い嬉しさがありました。
ちなみに自由度の具合ですが、ある程度「こうしたほうがいいよ」や「これをやれば先に進めるよ」といったガイドはありつつも「まぁそれはそれとして広大なフィールドを用意したから楽しみなよ!」と放り出される感覚です。システムや現地の住民からのアドバイスを受けつつも完全無視して地面を掘り続けてもよし。

口笛を吹き続けてすごい量の鳥たちを集めてもよし。
ライター・KADENが感じた悪いところ
ゲームの仕組みとして、ドンキーたちが地中に潜ったりすると地下用の景色というか、遠景が表示されず、地中の空間が把握しやすいモードに切り替わるつくりになっています。これが地上でも発生することがあるんですよね。「ドンキーたちがどこにいるか」というよりも「ドンキーを写しているカメラがどこにあるか」によって切り替わるようで、突如背景が真っ暗になり「うおっ」となってカメラを回す。これがちょいちょい発生してしまいます。


この写真がわかりやすいかもしれません、ドンキーたちは屋外にいるものの、カメラが洞窟(今回は巨大なイチゴの中)にあるために、洞窟用のカメラに切り替わり奥の遠景が全く描写されていません。長時間この状態になるわけではないのですが、ちょこちょこ挟まるとどうしても没入感が削がれてしまいます。
ライター・各務都心が感じた良いところ
攻略上訪れるマップのギミックや、後半のバナモンドを取得する方法については面白いですね。任天堂の3Dプラットフォーマーらしい、納得感はあるけどそこまで難しくない塩梅のアクションパズルがずっと楽しめます。

また、ド派手なバトルや大規模な破壊表現も魅力です。次世代機で遊んでいる感じが存分に味わえます。それぞれのマップのビジュアルも素晴らしく、そこにしかない材質を使った遊びも面白いものばかりでした。
ライター・各務都心が感じた悪いところ
特に序盤に集中しますが、地中に埋まっているバナモンドや化石や宝箱を漫然と掘っている時間が退屈です。気持ち良さはあるものの、任天堂のフルプライス作品でわざわざ体験することなのかと疑問に思ってしまいました。
ストーリーについても、これだけカットシーンを盛り込むなら、もっと面白くて意外性のあるツイストを挟むことができたのではないでしょうか。ちょっと「懐かしさ」に頼りすぎています。
ライター・FUNが感じた良いところ
隠されたアイテムを探してありとあらゆる地形を破壊していく爽快感。それこそが本作の醍醐味です。ストーリー上の順路も用意されていますが、そんなものは無視して心ゆくまで宝探しに没頭しましょう。一つの村を丸ごと破壊しても怒られないので、思う存分暴れまくれます。
この破壊の爽快感を支えているのがステージデザインに利用されているボクセル技術です。『マインクラフト』などと同じ技術ですが、本作の場合、ビジュアル的に不自然な点がまったく見当たらないのは本当に驚かされました。地形同士があまりにも滑らかに繋がっていて、データ上は立方体の集まりだと分かっているのに、プレイ中にそのことを意識させられることがないのです。

筆者はアクションが苦手ですが、探索や謎解きをじっくり進めればドンキーコングのスキルを強化してアクションの不足を補えるので、ストレスを感じることなく楽しめています。
ライター・FUNが感じた悪いところ
アイテムを探して縦横無尽に地形を破壊していくため、視点変更が比較的激しく、プレイする人によっては3D酔いを感じるかもしれません。
筆者自身は平気でしたが、筆者の周りには画面を見ているだけで3D酔いを起こした人がいました。オプションでカメラの感度を調整できるので、心配な方は好みに合わせて設定を変更すると良いかもしれません。
編集・みおが感じた良いところ
振動・サウンド・ビジュアルの3点で感じさせる“破壊”の気持ちよさ、という本作が示すべき部分は、スイッチ2の性能によって存分に発揮されていました。そしてやはり、ギミック的なボスは任天堂らしい面白さです。また、終盤の展開もグッときましたね。


終盤まであまりキャラクターに惹かれることがなかったのですが、「ポッピーコング」の色気がすごい、あまりにも可愛すぎるヘビのモブキャラには心をがっしり鷲掴みにされました……!
編集・みおが感じた悪いところ
地形破壊は豪快ですが、手応えのある面白さに繋がっていない部分が多く、間延びする場面が目立ちました。特に序盤は難易度の低さもあってやや退屈気味で、能力として面白みが少ない「コングバナンザ」を使う時間が続くのも不満点です。
また終盤にて、なぜか大量の金がないと進めない……という任天堂らしからぬ無駄な制限があり、ボーナスステージを行き来してセコセコ金を集めることに……。早く先を見たいのに無駄に時間を使わされているような気がして、大きく心を折られました。そもそも本作で散りばめられたコンテンツを楽しむために金が必要な場面が『オデッセイ』よりかなり多く(オデッセイは逆に重要じゃなさすぎたかもしれませんが)、それ故にどこか心の中に引っかかりを感じる場面は少なくありませんでした。
『ドンキーコング バナンザ』は、ニンテンドースイッチ2向けに発売中です。