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3つのストーリーで「バイオハザード」を新たな視点で堪能・・・『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』川田プロデューサーインタビュー

『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』は、『バイオハザード2』『バイオハザード:CODE:Veronica』そして南米が舞台のオリジナルシナリオと、3本のストーリーで「バイオハザード」の世界を追体験できます。

任天堂 Wii
『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』、CD/DVD付属のコレクターズ・パッケージ発売決定!
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  • バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ
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Wii用ホラー・ガンシューティング『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』。好評を博した前作『バイオハザード/アンブレラ・クロニクルズ』の続編で、『バイオハザード2』『バイオハザード:CODE:Veronica』 (以下CODE:Veronica)そして南米が舞台のオリジナルシナリオと、3本のストーリーで「バイオハザード」の世界を追体験できます。この開発にかけた思いをプロデューサーの川田将央氏に伺いました。

―――まず『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』(以下DC)の、「バイオハザード」シリーズにおける位置づけを教えてください。

川田プロデューサー
川田:そもそも前作『バイオハザード/アンブレラ・クロニクルズ』(以下UC)は、Wiiで「バイオハザード」を発売するなら……という観点で開発が始まりました。最終的にWiiコントローラを使ったガンシュー(ガンシューティング)というスタイルに落ち着いたのですが、それとともに過去の「バイオハザード」シリーズを、ざっとおさらいしてもらいたい、という狙いもあったんです。その上でWiiのユーザー層も考えて、謎解きではなく、感覚的なところを重視したゲームはできないか、という狙いで開発が始まりました。

―――全世界で大ヒットしました。

川田:ありがとうございます。おかげさまでご好評をいただきまして、今回続編という形で開発することができました。前作は『バイオ0』『1』『3』をベースに、シリーズを通した悪役であるウェスカーというキャラクターの視点から、アンブレラという巨大企業の崩壊について描きました。今作では『2』『CODE:Veronica』をベースに、主にレオンという主人公側の視点から「バイオハザード」の世界観を体験していただくスタイルです。



―――まさに前作と対になるイメージですが、当初から2部作の予定だったのですか?

川田:いえ、前作でも最初は『2』『CODE:Veronica』の内容も盛り込む予定でした。ただアンブレラという企業にスポットを当てた時、この2作の内容は収まりが悪かったんですね。また開発期間との兼ね合いもありまして、泣く泣くオミットしました。そのかわりに、ぜひとも続編が作れるようにがんばろう、という意気込みで『UC』に全力投入した経緯があります。

―――なるほど。僕などはシリーズの中でも『2』に思い入れがあったので、『DC』の発売は素直にうれしいです。

川田:前作でもそういったご要望は数多くいただきました。あとは「なんでレオンが登場しないんだ」とか。お待たせして申し訳ありませんでしたが、そのぶん自信のある内容になっています。

―――ストーリーの概要について、軽くおさらいできますか?

川田:『バイオ2』はシリーズでも最も人気のあるレオン・S・ケネディというキャラクターが、はじめて登場するストーリーです。彼がラクーンシティという街で、『1』で登場したクリス・レッドフィールドの妹、クレアと出会うところから始まるんですが、街の住人がすべて、アンブレラが秘密裏に開発したウイルスに感染して、ゾンビになっているんですね。そこからレオンとクレア、として途中で登場するシェリーという少女が、どのように逃げ延びていくか、という内容になります。1人プレイではレオンとクリスのどちらかを選択でき、2人プレイの場合は両方のキャラクターで遊べます。

―――そこから『CODE:Veronica』につながっていく。

川田:『CODE:Veronica』ではクレアと、スティーブ・バーンサイドという少年が主人公で、南海の孤島ロックフォート島が前半の主な舞台です。そこから南極へと物語が展開していきます。もともと「バイオハザード」はアドベンチャータイプのゲームで、特に『2』以降はザッピングシステムも導入していて、かなり複雑な展開になっているんですが、今回はガンシューというスタイルに合うようにストーリーを再構成しました。もともとストーリー面で高い評価をいただいているタイトルなので、その良さはそのままに、よりわかりやすく遊んでいただけるのではないかと思います。

本作の鍵を握るスティーブとクレア


―――南米が舞台の新シナリオもありますね。

川田:この南米シナリオは、実は『DC』のストーリーの起点でもありました。主人公はレオンと、『4』で登場するジャック・クラウザーという白兵戦の達人です。彼らは『4』ではライバルとして戦い合う関係ですが、ここではまだ仲間という設定です。それがなぜライバル関係になったのか。そしてなぜ南米にやってきて、新たなクリーチャーと戦うことになるのか。そのあたりの事情を、ぜひプレイして確かめてほしいなと思います。

―――前作と比べて、今作はよりストーリー重視という印象ですが?

川田:今作ではレオンやクレアといったキャラクターの魅力を前面に出して、そこからストーリーのおもしろさを再現できるような構成にしました。前作はドキュメンタリータッチの構成でしたが、ユーザーさんからシナリオがあっさりしすぎているという不満も寄せられたんですね。それで、今回のような構成になりました。

―――「ダークサイド」というタイトルも新鮮です。

タイトルも意味深
川田:これも社内でいろいろ物議を醸し出したんです。某SF映画の代名詞のような名称なので……。ただ、やっぱり「ダークサイド」というタイトルが、本作にはふさわしいんじゃないかと。いかにもホラー然としたタイトルですし、バーキン一家やアシュフォード家の悲劇などは最たるものだと思います。また、『2』では新米警官だったレオンが、どのようにして『4』で立派なエージェントになるのか、その過程も描いています。そこをファンの皆さんにも楽しんでもらいたいと思います。

―――ゲームシステムでの改良点はありますか?

川田:前作以上に、もっとシンプルにしたいなと。もともとガンシューですし、遊ぶ上で不快に感じられる操作は、極力排除するようにしました。たとえば前作ではヌンチャクでカメラをちょっと動かして、取り忘れたアイテムを拾うこともできました。しかし今作では「シェイクカメラ」という、ホラー映画でよくある画面がぐらぐら揺れるカメラを導入したため、そこは潔く切り捨てましょうと。そのかわり、武器の選択システムの見直しや、オートロックシステムの採用、レーザーサイトの導入など前作から遊びやすくした部分が多々あります。

―――E3でプレイしたのですが、自分で移動できない「レールガンシューティング」なので、そこにいろんな演出が入ってきて、より恐怖感を感じました。

川田:遊んだことのない人には、レールで動いていくのはホラーとしてどうなんだ、という先入観をもたれるかもしれません。ただ、我々としても今作では、レールガンシューティングで前作以上に「恐いゲーム」を作ることが狙いでした。たとえば会話の量が前作に比べて3倍以上に増えていて、より生々しくなっています。悲鳴なども何種類も用意して、映像面に加えて音声面でも、よりホラー感を追求してみました。

―――業務用ではない、家庭用のガン・ホラーシューティングですね。

川田:業務用と家庭用ではプレイ時間が違います。本作も業務用に向けて作るのなら、また違ったやり方があったと思います。それが家庭用オリジナルということで、単にショッキングなだけではない、ジワッとした内面的なホラー感も追求しました。Wiiということで、カップルでも楽しんでいただきたいですね。

―――難易度はどのくらいですか?

川田:序盤のステージは難易度をかなり簡単にしたつもりです。実は『UC』はかなり難しいという意見をいただいていました。それが良いんだという意見もありましたが、より多くの人に楽しんでもらえるように調整を行いました。基本はイージー・ノーマル・ハードで、イージーなら比較的簡単にクリアしていただけると思います。また前作では画面の指示にあわせてタイミングよくボタンを押すアクションコマンドがありましたが、今作ではかなり楽にクリアできるようにしています。

―――スクリーンショットの中に、仲間の背中が見ているものがありましたね。

川田:前作では画面にプレイヤーキャラクターが一切登場しなかったので、どうしても仲間がその場にいる感じがしませんでした。それで今回は最初から、画面内に仲間を表示するのが課題でした。処理的には厳しいですし、ゲーム的にもあまり意味がないんですが、臨場感を出したかったんですね。

―――具体的にはどんなイメージですか?

川田:ふだんは2人ともカメラの後ろに立っていて、画面には表示されません。それが場所場所でイベント的に、仲間のキャラクターがカメラの前に出て、ストーリーを進めていきます。たぶん想像されているよりは、仲間とともに遊んでいる感じが出ていると思いますよ。1人プレイの時は仲間はAIキャラクターが操作します。援護はしてくれるけど、プレイヤーが主導権を握って進めないと、クリアできない味付けになっています。ただし、仲間を撃つ要素はありません。そこは最初から狙えないようになっています。

仲間の背中を見ながらの戦闘


―――最初に選ぶキャラクターで、ストーリーが分岐するなどはありますか?

川田:いえ、変わりません。ただ画面に仲間キャラクターが表示されることで、今回はコスチュームチェンジをおまけ要素として入れました。ただし、たとえばクレアの新コスチュームを画面上で見ようと思ったら、プレイヤーキャラクターにレオンを選ぶ必要があります。

その辺がちょっとややこしいところかもしれません。

―――グラフィックもかなり作り込まれていますね。

川田:そこは開発のキャビアさんに、かなりがんばっていただきました。一番はじめに『バイオ2』のステージから作り始めたのですが、これが全体の基準になるので、実験期間がかなり長かったです。おかげで前作では不可能だった表現でも、今回はほとんど実現できました。Wiiの中でもかなりクオリティの高い映像になったのではないかと、自負しています。

―――ボイス収録でもご苦労があったとか。

川田:レオン役の方には『4』に引き続き出ていただきましたし、クレア役は『2』からずっと同じ人に出ていただいています。ただ、この方とエイダ役の方はカナダの方なので、

アメリカのスタジオで収録する上で、インターネットでスタジオをつなげて遠隔収録を行う必要がありました。シェリー役は当時、子役を使いましたので、新しくオーディションを行っていますが、雰囲気は失っていないと思いますよ。ただ、スタッフの中でクオリティに対する思いが強すぎて、悲鳴だけでも何テイクも録り直したりして、当初の予算をかなりオーバーしてしまいました。でもそれだけ良いものになっていると思います。

―――日本版だけの追加要素はありますか?

川田:ゲームの基本的なところは同じです。オマケの“トーフ”にしても、ギリギリで海外版に組み込めましたので…。ただし日本版の発売が海外版より遅れたぶん、細部にわたって手を入れています。たとえば映画などで字幕をつけられている会社に、ゲーム中の日本語字幕の監修をお願いしました。前作では読んでいて、ちょっと意味がとりづらい箇所があったと思いますが、今作ではより分かりやすくなっています。ランキングの部分も、出遅れてしまうので、日本地域のみで競り合えるランキングを搭載しています。それ以外にも、細かいところの手直しは加わっていますよ。

―――それは楽しみですね。一般的にいってゲームの字幕は文字が多すぎます。

川田:あとはサウンドトラックCDと映像DVDなどが収録されたコレクターズ・パッケージを発売します。特にCDは必聴で、オーケストラで収録されたBGM10曲が収録されています。自分でもiPodに入れて、出張などに行くときは何度も繰り返して聞いているんです。実は今回はBGMの作曲・編曲にあたって、オリジナル版『2』『CODE:Veronica』のサウンドを作曲された内山修作さんと三浦健さんにお願いしています。またオーケストレーションにはアニメやゲーム音楽も手がけられている平野義久さんにお願いしました。オリジナルの「バイオハザード」のサウンドと、オーケストラが非常に高いレベルで融合できたと思います。若干お値段は上がりますが、ぜひお買い求めいただければ。

コレクターズパッケージ


※カプコンでは「バイオハザード W購入者キャンペーン」として、本作『バイオハザード/ダークサイト・クロニクルズ』と、PS3で発売される『バイオハザード5 オルタナティブ エディション』もしくはXbox360で発売される『BIOHAZARD 5 (Xbox 360 プラチナコレクション)』の2点を購入すると「YAMAHA ホームシアターシステム」など豪華プレゼントの当たるキャンペーンも実施します(詳しくは公式サイトを参照のこと)。

―――作りたいゲームはできましたか?

川田:最初に思い描いていたものは、実現できているのではないかと。ただ当然、作りながら「もっとこうしたいな」というアイディアが出てきて、あきらめた部分もありました。また機会があれば、そうしたところもチャレンジしていきたいですね。

―――もう一つ、CMで今回アーティストの清春さんとタイアップをされます。

川田:これまでも「ガンサバイバー」シリーズでタイアップしたことがありますが、そこから考えても久々ですよね。「LAW'S」という曲をCM用に書き下ろしていただきました。「バイオハザード」シリーズ云々というよりも、楽曲として非常にクオリティの高い楽曲です。初めて聞いたときに、CMのできあがり具合を想像して、とてもわくわくしましたし、結果として非常にインパクトのある内容になったと思います。実は清春さんご自身も、CMに出演されるんですよ。

清春さんを起用したテレビCMは絶賛放送中


―――清春さんの起用というのは、川田さんのご指名ですか?

川田:はい。昔からファンでよく作品を聞いていましたので、ぜひお願いしたいと思っていました。

―――では最後に発売を楽しみにしているユーザーの皆さんに、ひとことメッセージをお願いします。

川田:昨年はナンバリングタイトル最新作の『バイオハザード5』を発売して、今年は『バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ』が新春第一弾となります。初春から血しぶきを上げるのもどうかと思いますが、ガンシューティングとして野心的な部分も多く、映像も音楽も非常に美しいタイトルです。Wiiの中でも珍しく、かなり尖ったゲームですので、ぜひプレイしていただければと思います。

ありがとうございました
《小野憲史》
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