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ダークファンタジーACT『明末:ウツロノハネ』舞台の明王朝末期の蜀でいったい何が起こっていたのか?ゲームをより深く楽しめるように歴史的背景を学ぼう【ゲームで世界を観る 特別編】

中国伝承と鳥の深い関係とは。

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ダークファンタジーACT『明末:ウツロノハネ』舞台の明王朝末期の蜀でいったい何が起こっていたのか?ゲームをより深く楽しめるように歴史的背景を学ぼう【ゲームで世界を観る 特別編】
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さて...、この記事を読んでいるということは、あなたも赤黒く血腥い匂いに惹かれてやってきたクチですね? 何も言わなくて結構結構、この先の蜀の地へ向かうなら、ちょっとした話を聞いていってはいかがですか? …あそこから正気で帰ってきた人間はいないんですから。ヒヒッ。

7月24日にリリースされる『明末:ウツロノハネ』は、病に冒されて記憶を失った武人「無常」を主人公に、人々を狂わせる奇病「羽化病」の謎を追う中国発の伝奇武侠アクション。中国の妖怪ものの魅力と言えば、日本の怪談とは異なる血と屍、腐と毒が臭う独特のダークな雰囲気です。CEROレーティングでZに区分されるような、グロテスクな描写も遠慮無くでてくる濃密な怪奇世界が広がります。中国妖怪なら人喰いもやりますからね!

「ソウル」の伝統に倣って本作でも世界の説明は最小限に抑えられており、実在の場所や歴史を題材にしながら周辺の政治的情勢のこともゲーム内では解説していません。『明末:ウツロノハネ』の雰囲気をより楽しむには歴史的な背景を知る必要があります。蜀の地で起きた知られざる陰惨な事件とは...、そして物語の鍵を握る「羽」の謎とは、旅立つ前に予習しておきましょう。

『明末:ウツロノハネ』Steamページはコチラ!

民の血が流れた明末の戦乱

タイトルの「明末」とは、文字通り中国の王朝「明」が滅亡へ向かう17世紀前半の時代を指します。王朝末期の権力争いは勿論、新興国「清(後金)」の台頭や秀吉の大陸侵攻など、乱が続く明朝は荒廃して生活を失う流浪の民が溢れます。

そこにとどめを刺すかのような大干魃が起こると、行き詰まった農民達は反乱軍を起ち上げて王朝の打倒を目指します。この中で頭角を現したのが李自成であり、李自成の軍は皇帝を追い詰めて明朝の終焉を達成しました。

この農民反乱では各地で様々な勢力が形成されていましたが、本作の舞台となる蜀では、李自成と袂を分かった張献忠が成都を拠点に「大西」という国を造ろうとしていました。『ウツロノハネ』はこの大西の軍と明朝の軍が争っている成都周辺を探索していきます。

「羽化病」が流行している街中は、少し歩くだけでも見渡す限り死屍累々、屍山血河の惨状です。生きている人間は家屋に立て籠り、正気を失った人々が屍肉を喰らう。そんな地獄絵図に変わり果てた蜀の地をゲームでは探索していきます。

羽化病はさすがにファンタジーですが、明末の蜀では百万人単位の命が戦乱の中で失われ、四川の文化が途絶えるほどの人口減少が起こっています。

人口の99%が四川から消えたとされるその主因は、張献忠率いる大西軍による虐殺と言われており、この事件を「屠蜀」と呼びます。四川の住人には明軍に味方するものが多く、それを排除するために手当たり次第殺していったと考えられています。

清軍の侵攻など他の原因も可能性もあり、半ば伝説と化しているだけにどこまでが大西軍の意図的な所業かは不明ですが、イエズス会の宣教師も報告書に記していることから、少なからず「屠蜀」が行なわれていたのは確かなようです。

幻の王国古蜀

『ウツロノハネ』の中には地域名称としての蜀の他に、かつてその地にあった古代王国「古蜀」が登場します。古蜀は秦の征伐によって滅ぼされたとされる四川周辺の国で、中原の黄河文明とは異なる長江文明に属していたと考えられています。1929年に発見された三星堆遺跡、2001年発見の金沙遺跡は古蜀と関係があると目されており、青銅器の仮面や動物をかたどった像などの青銅器が出土しています。長江文明とも違う四川独自の文明とする研究も出てきました。

開発スタッフがドローンで撮影した現存する遺跡

古蜀の存在は「史記」にも記されており、「華陽国志」には具体的な歴史や文化の記述があります。かつては周に従い紂王討伐にも参加しましたが、周の衰退に伴って蚕叢という人物が初代の蜀王を自称、三代までの王は不老不死の仙人となって国を治めた、と伝説的に書かれています。

中央とは別の流れだったため残されている史料は少なく、近年まで実在を疑われていましたが、三星堆遺跡や金沙遺跡の発見でようやく存在の可能性が認められるようになりました。

古蜀が滅んだ後もその末裔は四川の武陽城周辺に居住したとされ、これについては『ウツロノハネ』の中でも言及があり、物語にも絡んでくるかも知れません。また、現在も古蜀の末裔と思われるイ族が大涼山に暮らしています。

ホトトギスと望帝杜宇

蜀の存在はホトトギスの故事としても伝わってきました。蜀に杜宇という帝が現れ、農業を民に指導して栄えさせました。大きな水害が起こったとき、宰相の開明が山を崩してそれを防いだため、その手腕に感服した杜宇は帝の座を開明に譲り隠居します。その時にホトトギスが鳴いていたため、農の教えを受けた民達はその鳴き声を聞くと先帝を惜しんで泣きました。そうして、ホトトギスは「杜鵑(宇)」と呼ばれるようになった、というものです。

『ウツロノハネ』の中にもやたらと大きなホトトギスが出てくるのですが、果たしてその正体は…。

杜宇を祀る蜀王祠は現在の四川にもいくつか残っていて、本作中では羽化病治療に人が集まる拠点として登場します。古蜀の祭司が何やら儀式を行なっているという噂も。

羽化と羽人

「羽化登仙」は酒に酔って空に浮いているような心地を表わす四字熟語ですが、これは人に羽が生えて仙人になるという古い伝承から来た言葉です。不老不死の力を得た仙人はこの羽を持つ「羽人」をイメージすることが多く、鳥と仙人はとても結びつきが深いのです。「山海経」の海外南経の中に「羽民国」の記載があり、「その人となり長い頭で身体に羽が生えている」と描写されています。

ゲーム中の蜀では羽人を連想させる「羽化病」が蔓延しており、これにかかった人間は人食いの怪物となってしまいます。無常は何故かその力を我が物とすることが可能で、戦いを通じて羽化の力をより強くしていきます。道中では時折羽人の遺物も見つかり、それらはさらなる能力開花に役立てられます。

ゲームに登場する太陽神鳥金箔飾

鳥の羽のある人間は殷の時代まで遡れる古いモチーフで、道教の女神「西王母」に仕える従者「三清」は半人半鳥の姿で描かれ、三星堆遺跡からも人面鳥身像が見つかりました。金沙遺跡から出土した、金でできた美しい太陽神鳥金箔飾(四鳥繞日)は古代に於ける鳥の重要性を示し、中国の新たな国宝として注目されています。四鳥繞日は本作のトレイラーにも登場し、羽人の謎を解く手がかりになるでしょう。

歴史とファンタジーが交差する骨太アクションのゲームシステム

『ウツロノハネ』は経験値ロストがあるシビアな戦いを続け、失敗を繰り返しながら少しずつ探索していく、いわゆるソウルライクのスタイルを採用しています。スタミナ管理の要素もあり、回避のモーションキャンセルも無いため、積極的にガンガン攻めることは難しく、攻めと守りのバランスを取りながら戦うことが求められます。無常のモーションは手数が多く一見速く見えますが、1アクションの時間は結構長く、引きのタイミングを意識しないと瞬時の身動きが取れません。

本作の戦いで最も重要なのが、ジャスト回避や特定のコンボで獲得できる「須羽」の活用です。

方術や武器スキルの使用で消費し、大技を出すには須羽を溜める必要があります。本作では敵の攻撃に合わせると効果を発揮するスキルが多く用意されています。須羽の獲得は武器種によって特性が異なり、同時に装備した2種類の武器を瞬時に切り替えて戦いましょう。

片手剣は須羽が自動的に溜まっていく特性があり、法術も含めた攻撃を当てていくと貯まるスピードも上がっていきます。手数や回避技が多く、避けに集中しつつ細かく隙を突いて、須羽の消費が多い大技の法術を狙います。遠距離の法術はステージ探索にも有用で、武器スロットには常に入れておきたいマルチな活躍が期待できます。

武器攻撃の一部には相手の攻撃を弾く「対抗」の効果があり、双刀は対抗を発動すると須羽を獲得するカウンター狙いの戦い方です。敵の動きを捌ききる高度なテクニックが要求されます。

斧は重量級の最も扱いづらい武器。持久力が不足している序盤では須羽を獲得するコンボ4段目を出すことすらままなりません。ゲージを見ないスタミナ管理を体得しているような上級者でないと手に余る武器です。その代わり一撃の威力も凄まじく、古典的「ソウルライク」のずっしりとした戦い方に適応すれば、強敵にも怯むこと無く立ち向かえるでしょう。

槍は須羽の予備としてストックされる「勇猛果敢」を武器攻撃で獲得し、スキルで須羽を使うと勇猛果敢が須羽にすぐさま変換され、強力な技を繋げることが可能です。間合いも充分で、とにかく動き回っていたいプレイヤーに向いていると言えるでしょう。

回避と反撃が同時に行える技も最初から備わり、敵の背後から溜め強攻撃を当てると体勢を崩すことができます。一撃が大きいソウルライクだとチクチク作戦になりがちですが、須羽や多彩な反撃技によって、敵の間合いの中でしっかり見切り受け流す、大きな隙を作って的確にコンボを当てるといった、途切れず動き続ける中国武術らしい攻防が推奨されます。

無常が得る羽化の力の強弱は「心魔値」で表わされ、倒した敵の種類によって増減します。心魔値が高まれば高まるほど攻撃に有利なボーナスが発生しますが、被ダメージや経験値ロストの増加も同時に起こり、ハイリスクハイリターンのステータスにシフトします。強敵の短期決戦に向けて上げる、長いステージ攻略では下げるという調節も必要な戦術になるでしょう。

ただし、魔に近づきすぎるととんでもないことが起きるので、力に魅入られるのはほどほどに…。


「ソウルライク」は競合が多数ひしめき、プレイヤーの目も肥えているジャンル。その中にあってもジャスト回避を主体とする「スタイリッシュアクション」の要素を持ち込み、中国伝奇の世界で挑んできた『明末:ウツロノハネ』は独特の存在感を放っています。本年度の賞レースにも充分参戦できるクオリティに仕上がっており、アクションに集中できる日本語吹き替えも付いていて、中国のスタジオが力を付けてきたことを実感しますね。

今年のような暑苦しい夏には、ちょっと背筋が寒くなるような妖怪に会いに行くのはいかがですか?

かわいい大熊猫君も待ってるよ!

『明末:ウツロノハネ』は、2025年7月24日よりWindows PC(Steam/ Epic Gamesストア)/ PS5/ Xbox Series X|S (GAME PASSにも対応)向けにリリース予定。ブロマイド付きSteamキー「ゲムマイド」も用意されています。

『明末:ウツロノハネ』Steamページはコチラ!

《Skollfang》
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