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『ポケモンレジェンズZ-A』のリアルタイムバトルは、“より現実的”な世界観を表現してくれる!飽和状態だったターン制との違いを考える

『ポケモンレジェンズZ-A』は、発売早々大きな話題を呼びました。

ゲーム Nintendo Switch
『ポケモンレジェンズZ-A』のリアルタイムバトルは、“より現実的”な世界観を表現してくれる!飽和状態だったターン制との違いを考える
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『ポケモンレジェンズZ-A』は、発売早々大きな話題を呼びました。

主人公はミアレシティを訪れた旅行者。この都市の片隅にあるホテルZを拠点とするMZ団に加入し、シティの平和を守る仕事を始めるという内容です。まるでヨーロッパの大都市のような建物が立ち並ぶミアレシティで、ポケモンと共に様々な仕事を請け負い、それらを解決しながらストーリーを進めていきます。

どこかミステリードラマのような雰囲気も漂うこの作品、斬新なバトルシステムが話題を呼んでいます。ポケモンだけでなく、トレーナーも動かすことができる「リアルタイムバトル」です。野生のポケモンやボスを相手にする際は、『DARK SOULS』のようにトレーナーが素早く前転して攻撃を回避する必要があります。

そのため、いろいろと忙しい操作を要求されるポケモンになっていますが、実はこうしたリアルタイムバトルを熱望していた人は案外多くいるのではないでしょうか?

◆「計画的にプレイヤーを入れ替える」概念を反映した初代ポケモン

ポケモンのバトルといえば、やはり「ターン制」です。ただし、そこには他のRPGゲームにはない「ポケモン独自のエッセンス」が備わっている点にも言及すべきでしょう。

「初代ポケモン」こと『ポケットモンスター 赤・緑』では、主人公は直接戦わない、1VS1でありながらポケモンは複数所有することが可能で、バトルの途中で入れ替えることができるといった要素が加わった斬新なRPGでした。ポケモンの入れ替えが可能ということは、相手が出したポケモンとの相性を鑑みて複合的な戦略を練ることができるという意味でもあります。ピカチュウの「10まんボルト」がよく利くポケモンもいれば、そうでないポケモンもいます。もちろん。それは相手にとっても同じこと。ポケモンの対人対戦は、まさしくインテリジェンスの世界です。

ある一つの勝利を得るために、同じ役割の人を複数人用意する。これはたとえば、『ポケモン赤緑』が発売されたあたり(1996年以降)のプロ野球にもはっきり現れていました。それまでのプロ野球とは、まずは先発投手が力の限り投げて、調子が続けばそのまま完投、スタミナに底が見えたら抑え投手に入れ替えるというものでした。先発投手が打たれてしまった場合は救援の中継ぎ投手が、その中継ぎ投手も打たれてしまったら他の中継ぎ投手が……という起用法です。したがって、1試合の間に登板した投手が多かった場合は、解説者やファンから辛口の意見が寄せられました。

しかし、90年代後半からそれが大きく変わります。当初から中継ぎ投手ありきで試合を進めることが多くなったのです。

先発投手は何事もなければ5回か6回の半ばまで投げさせ、6回2アウト~7回と8回は中継ぎ投手がそれぞれ1人ずつ、9回は切り札のクローザーをマウンドに上げて勝利を収めるというパターンが定着しました。なお、セ・リーグが『最優秀中継ぎ投手』という投手タイトルを新設したのは、『ポケモン赤緑』が発売された1996年のことでした。

これは決して偶然ではなく、日本社会全体が「計画的にプレイヤーを切り替える」ことの重要性を認識し始めたからこその現象と言えるのではないでしょうか。

◆「ターン制バトル」は90年代には飽和状態に

そうした先進性を含んでいた『ポケモン赤緑』ですが、一方で戦闘システム自体はその当時から見ても典型的……というより古典的なターン制でした。

1984年生まれの筆者にとって、ターン制バトルシステムのRPGは物心ついた頃から存在していました。小学生になる頃には、そうした作品がかなり飽和状態だったことを覚えています。だからこそ、『聖剣伝説』シリーズのようなターン制ではないアクションRPGが人気を集めていたのかもしれません。

そうしたこともあり、筆者は今でもターン制よりもリアルタイム制のゲームに心ときめいてしまいます。そもそも、RPGにしろ戦争シミュレーションゲームにしろ、対立する2陣営が律儀にターン制で戦うはずがない。何でも早い者勝ちじゃないか!? という疑問を今でも抱えていたりもします。

そんな筆者の目から見た『ポケモンZ-A』のリアルタイムバトルは、まさに「待ち望んだポケモン」でした。

◆リアルタイムバトルならではの特徴

『ポケモンZ-A』のバトルには、何と『メタルギア』シリーズのような「隠れて奇襲する」という要素も備わっています。

夜になるとミアレシティのどこかに現れるバトルゾーンでは、そこにいる全ての人がライバルです。彼らに見つかると、その時点でバトル開始。しかし、ライバルの後方からこっそり忍び寄ってポケモンに先制攻撃させることで、バトルの主導権を握ることができます。

また、ポケモンの伝統的機能「試合途中のポケモンの入れ替え」は、リアルタイム制故にそのタイミングが重要になります。相手の1匹目のポケモンを倒したとしても、こちらのポケモンはダメージを負っていることが大半。瀕死になったポケモンは経験値を得ることができないというルールを加味すると、早めに次のポケモンを繰り出したいところ。

しかし、入れ替えのタイミングによっては相手の先制攻撃を食らってしまう場合も。それを避けるためには、相手のポケモンが倒れた直後の入れ替えが肝要です。

◆トレーナーの「足」が勝利を呼ぶ!

この戦闘システムは、「アクションゲームは苦手だけどターン制のポケモンはずっと遊んでいた」というファンを遠ざけてしまう可能性も確かにあります。

しかし一方で、「より現実的な世界観のポケモン」を待ち望んでいた人にとっては「これこそが僕が長年待ち望んでいた形のポケモンシリーズ!」になるのではないでしょうか。

ミアレシティでのバトルは、格闘技のリングの上と同じというわけにはいきません。そこは石畳で、ちょっとした段差や階段もあります。所狭しと動き回るポケモンに指示を与えるためには、自分自身も見晴らしの良い場所に立つ必要があり、言い換えれば自らの「足」を使った戦術も重要になってきます。

リアルタイム制のバトルシステムは、ミアレシティの雰囲気や街並みをよりリアルに実感するために欠かせない要素とも言えます。


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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