■プレイヤーの積極性で、マシンがスピードアップ!

操作するボタンは少なくてシンプルですが、だからといって作りが浅いのかと言えば、それは全く異なります。
本作はレースゲームなので、いかに速く走るのかが重要です。カーブでの減速をできるだけ抑え、直線を可能なかぎり最高速で走る。そのためのコース取りが重要なのは、他のレースゲームと同様ですが、速度を上げる手段はこれだけではありません。

ドリフトからの加速はもちろんのこと、滑空や星の獲得、コピー能力など、プレイヤーの積極的な行動による、能動的なスピードアップがいくつも備わっています。
まず、ジャンプ台に乗って空を滑空できますが、着地の際にマシンと地面が平行になると、「ナイス着地」でスピードアップ。そのため、ここではスティックの前後操作も重要です。

また、各マシンは「スタースリップ」と呼ばれる星しぶきを、後ろにまきながら走っています。この「スタースリップ」を獲得すると、自分のマシンの速度が上がります。後続が有利なシステムなので、ライバルに追いつきやすい反面、自分が先んじている時は気が抜けません。

「スペシャル」やコピー能力などを使ってライバルを攻撃すると、そのヒット時に星くずが出現し、それを取ることでもスピードアップします。また、コースを徘徊している敵を倒すと砕けた星が出ますが、こちらもマシンを加速させてくれる要素です。

総じて言えば、プレイヤーの積極的な行動によって、意識的にスピードアップさせて競うのが、『カービィのエアライダー』となります。
■ライダー全員に「コピー能力」!?

敵の能力をコピーして使う「コピー能力」は、『カービィ』シリーズお馴染みの要素です。ただし、一部の例外を除き、コピー能力を使えるのは基本的にカービィだけ。
本作にはカービィ以外のライダーも多数登場しますが、コピー能力を持つのがカービィだけだと、桜井氏曰く「楽しさに差が出すぎる」という問題があります。

そこで桜井氏が出した結論は、「すべてのライダーにコピー帽子をつける」。つまり、誰をライダーに選んでも、コピー能力が使えるようになりました、
“全員が使えるようになった”と言葉で言うのは単純ですが、ひとつの能力につき、全員分のモーションなどを用意しなければならず、それが能力の数分だけかかるということ。作業工数が格段に跳ね上がるのは、誰の目にも明らかです。

それを誰よりも承知している桜井氏が、やると決めた『カービィのエアライダー』。プレイヤーの遊びの幅を広げるために邁進する、まさに英断と言うべき判断でしょう。
■単なるレースとは一味違う「シティトライアル」

『カービィのエアライダー』には、ひとつのレースだけでは終わらない、複合的な楽しさを組み合わせた「シティトライアル」というモードがあります。
「シティトライアル」は、箱庭型のマップ「スカイア」を舞台に、マシンを乗りかえながらパワーアップアイテムを獲得し、最後に待ち受ける「スタジアム」で勝者を決める規模の遊びです。

インターネット通信なら、最大16人まで参加できます。ローカル通信の場合は、プレイヤーが最大8人、残りをコンピューターで埋めて最大16キャラによるバトルが可能です。


開始直後は「ライトスター」というマシンに乗っていますが、最終決戦の「スタジアム」で勝つには心もとないので、マシンの乗りかえが重要。マップ上に置いてある「空車」のマシンを手に入れたり、条件を満たせばライバルのマシンを奪うこともできます。

「シティトライアル」の最中には、街中のコースでレースを行う「ショートレース」や、集まった人同士がバトルする「デスマッチ」など、様々なイベントが発生。その結果に応じてパワーアップアイテムを入手できます。



制限時間が過ぎると、全員が「スタジアム」に集結。ここで、無数の敵を倒す「バトルロイヤル」や、飛距離を競う「エアグライダー」、ひたすらまっすぐ走る「ゼロヨンアタック」、ぶつかった数字板のポイントで争う「ポイントストライク」、降下しつつ得点をゲットしていく「スカイフォール」など、多彩な勝負が参加者たちを待っています。



複合的な戦いで競い合う「シティトライアル」ひとつをとっても、「『マリオカート』でよいでしょう!」とはなりません。また、コピー能力で広がる戦略、能動的に速度を上げる要素の数々、なのに操作がシンプルで遊びやすいなど、いずれも『カービィのエアライダー』が持つ、誇るべき特色です。
「こりゃあ完全に『マリオカート』でよいでしょう!」に対して、桜井氏自身が答えを出した『カービィのエアライダー』。実際に遊んでみれば、その答えはより明確に分かるはず。発売日の11月20日が、今から待ち遠しいばかりです。