■『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』:1987年1月26日発売

『ドラゴンクエスト』が丁寧かつシンプルに、RPGの基本と魅力を伝えました。その発売から数えて約8ヶ月後、続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』がリリースされました。
このリリースの早さも、RPGに初めて触れたユーザーには嬉しいポイントでした。『ドラゴンクエスト』でRPGの面白さを知ったら、次の作品を遊びたくなるのは自然な流れです。わずか8ヶ月後なら、まだ1作目の興奮や思い出も色濃いことでしょう。その気持ちのまま、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が遊べたのは実に幸せな話です。
そして本作では、シリーズ初のパーティープレイを提供しました。武芸に優れており、装備できる武具も多いローレシアの王子、武器攻撃とじゅもんを両立するサマルトリアの王子、防御面は心もとないものの、強力なじゅもんを使いこなす「ムーンブルクの王女」と、役割がそれぞれ明確です。

味方だけでなく敵も複数登場するため、仲間同士の連携は非常に重要です。仲間たちは得意とする面だけでなく、それぞれ弱みもあるため、どのように補い合うか。1作目にはなかった戦略性が、RPGの奥深さを伝えてくれます。その一方で、パーティ編成は固定されており、1作目にもあった情報量の調整が本作でも感じられます。
また、広がりを見せたのは仲間の存在だけではありません。1作目は徒歩と「ルーラ」だけが移動手段でしたが、本作では新たに「船」が登場します。これにより、繋がりのない大陸や島々にも移動できるようになり、冒険の幅も大きく広がりました。
パーティープレイと冒険の拡大を味わい、RPGには予想を超える可能性があることを、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を通して多くのファミコンユーザーが知ったことでしょう。
■『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』:1988年2月10日発売

1作目でRPGを知り、2作目でRPGの広がりを知ったファミコンユーザーは、その熱意を『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』に向け、社会現象になるほどの大ヒットに繋がりました。
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』発売日当日には、各ショップに長大の列が作られ、その盛り上がりはニュースや新聞で取り上げられたほどです。1作目と2作目だけで、すでにRPGの面白さは日本中に広まっており、その人気と関心が一気に爆発した瞬間でした。
これだけの期待を集めた『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、その想いに応える出来映えで登場し、多くのユーザーを魅了します。シリーズ屈指の名作として語る人が今も絶えないほどです。

特に、本作で初めて自由なパーティー編成が可能となった点は、驚きと賞賛をもって迎えられました。勇者だけは必須ながら、残り3人の構成を任意で選べるようになり、そのバリエーションはユーザーによって様々。編成だけで話が大いに盛り上がるほどでした。
『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』では、3人編成でバトルにおける選択肢が増えました。そして『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では、編成が自由になったことで目的地に向かう道中の選択肢も増し、RPGの面白さが一層広がったと言えるでしょう。
またゲームに慣れてくると、敢えて仲間を連れず、勇者の一人旅を楽しむ人も出始めます。『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でも、仲間を蘇生させずに疑似的な一人旅に挑むことは可能でしたが、こうしたプレイをユーザーが自分の意志で選択できる点も、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が示したRPGにおける面白さのひとつでしょう。

しかも本作は、シリーズ初の「転職」も実装。このシステムのおかげで、パーティー構成の選択肢が膨大なものになりました。この時に、キャラクターをどうやって強化するか、その試行錯誤を楽しむ「育成」の面白さに目覚めた人も多いはず。
シンプルに、そして丁寧にRPGの核となる部分を伝えた『ドラゴンクエスト』。RPGの広がりと可能性を示した『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』。そして『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』ではRPGの自由さを提示し、ユーザーに新たな世界を提供したのです。