■スイッチ/Steam『ToHeart』:2025年6月26日発売

『ときメモ』が恋愛ゲームの火付け役となりましたが、その裾野をより広げるきっかけとなったのが『ToHeart』です。
本作の原点は、1997年に発売されたPC版『To Heart』です。当時主流だった一般的なADVゲームとはやや異なり、キャラクターの立ち絵やイベントCGに被せる形で台詞などのテキストを表示する「ビジュアルノベル」という手法で、魅力的なキャラクターたちとの恋愛模様を描きました。

『To Heart』は成人向けの作品でしたが、2年後の1999年にPS版『ToHeart』がリリースされ、この時も大きな話題となります。PS版は家庭用向けなので、当然成人向けの表現はできません。そのため、ヒロイン全てのシナリオに修正が入り、中にはほぼ全てが書き直されたキャラもいたほどでした。
そのためPC版を遊んだユーザーにとっても、PS版の物語は初めて触れるものが多く、新規のPSユーザーに加え、従来のファンもPS版に手を伸ばし、彼女たちの新たな物語を堪能しました。

軸の部分は同じ作品ながら、丁寧な修正と加筆で従来のファンを改めて取り込み、そして新規ユーザーも獲得したPS版『ToHeart』は、当時の恋愛ADVでは屈指の大ヒットとを記録。ギャルゲー市場の新たな起爆剤となります。
その後も『ToHeart』は、逆移植となるPC版や携帯機向けのPSP版などがリリースされたほか、TVアニメ化も行われ、ヒロインとの淡い恋物語が様々な形で描かれました。
幼なじみに無口な先輩、格闘少女に日系ハーフの同級生と、恋愛対象の幅広さも本作の魅力のひとつ。特にロボットの「マルチ」は、メイドロボを恋愛ゲームに取り入れた先駆者的な存在であり、心揺さぶるシナリオも相まって爆発的な人気を獲得。多くのファンを生み、『ToHeart』ブームを後押しします。
『ときメモ』と並んで語られることも多く、恋愛ゲームの金字塔となった『ToHeart』が、オリジナル版の発売から数えて28年ぶりに復活。グラフィックをフル3Dで描く新生『ToHeart』の登場が、2025年6月26日に予定されています。
ビジュアルも大きな変化のひとつですが、新たな『ToHeart』の進化はそれだけではありません。CVは、新キャストとオリジナルキャストの2種類が用意され、ボイス切り替えが可能です。お馴染みの声で楽しむか、新たな声に心を躍らせるか、好きな方でお楽しみください。
また、オリジナル版に近いノベルモードのほかに、テキストをメッセージウィンドウに表示するウィンドウモードも搭載されており、一般的なADV形式で遊ぶこともできます。
さらに、過去作ではイベントCGがその役目を背負っていた重要な場面では、専用のモーションや表現で演出する「ビジュアルシネマシーン」を採用。アニメーションさながらの表現が、物語をさらに盛り上げてくれることでしょう。


新生『ToHeart』はスイッチおよびSteam向けにリリースされ、ダウンロード版の価格は3,080円(税込)とかなりお手頃です。また、第1期アニメ版(全13話)を収録したブルーレイディスクが同梱となる「プレミアムエディション」が10,780円で販売されます。
お手軽なダウンロード版に、リマスターされたTVアニメも楽しめる「プレミアムエディション」と、選択できる幅広さも嬉しいところ。『ToHeart』の復活は、より大きな喜びと共に訪れます。

今回は、90年代を代表するギャルゲーに焦点を当てましたが、2002年に発売された『D.C. ~ダ・カーポ~』のリメイク版となる『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』の制作も行われており、懐かしいタイトルの復活はまだまだ続きます。
あなたの思い出に残る作品と再会できる日も、いずれ訪れるかもしれません。個人的には、2006年に登場した『降魔霊符伝イヅナ』シリーズの関連作と思われる『IZUNA(仮題)』の続報も気になるところ。名作復活の流れに、今後もご注目ください。