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30年を経ても愛される「ロードス島戦記」の魅力とは─ライトノベルの原点に隠れた意外な過去、今なお続く新展開まで

ライトノベルの原点のひとつに数えられていることも多い「ロードス島戦記」の魅力や人気の背景へ迫ると共に、今も続く新たな展開について紹介します。

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■「ロードス島戦記」の“意外性”と“王道”が読者を引きつける

「ロードス島戦記」30周年サイトより

こうして生み出された「ロードス島戦記」が多くの読者を魅了し、人気作に成長した理由は決してひとつではありません。人によって考え方も異なるでしょうが、筆者の視点で特に押さえておきたいポイントをいくつか紹介したいと思います。

大前提として、「ロードス島戦記」自体が面白く、素晴らしい作品なのは間違いありません。その上で、まず強烈だったのは、主人公・パーンとその仲間たちに対峙する最初の敵として描かれた「カーラ」の存在感でした。

“灰色の魔女”との異名も持つカーラを、悪人や悪役といった単語だけでまとめることはできません。ネタバレを最小限にしつつ説明すると、カーラは「バランスが大きく動くと悲劇も大きくなる。ならば、小さな揺れでバランスを保てば、悲劇も小さく済む」といった考えを持っており、このロードスという島の安定を願う人物でした。

同時に、バランスを保つための小さな悲劇に戸惑いや躊躇はなく、残酷でこそありませんが、冷酷と言われても仕方のない一面もあります。この、安定に重きを置く──故に偏った──思想と相容れなかったパーンは、黒にも白にも染まらない“灰色の魔女”との対立を決意しました。

こうした、“勧善懲悪”に寄らない複雑なキャラクターの存在が、「ロードス島戦記」の物語に厚みと意外性と持たせ、当時の少年少女たちを虜とします。

勧善懲悪じゃない小説なんていくらでもあるだろう……と思われるかもしれません。ですが、本作のターゲット層である当時の中高生が手に取りやすい小説レーベルは今のように豊富ではなく、善と悪の戦いといった分かりやすい物語以外の選択肢もまた、必然的に少ない状況にありました。

いくつかあったレーベルも、例えばハヤカワ文庫はSF色が強く読者を選びましたし、翻訳作品が多いので中高生が躊躇してしまう一面がありました。またソノラマ文庫は、今で言うライトノベル的な作品も展開していましたが、物理的に厚みがある作品が並んでおり、読書慣れしていない方にとっては少しハードルが高めででした。

このような時代の中で、角川文庫から1988年に刊行された第1巻「ロードス島戦記 灰色の魔女」は、出渕裕氏の美麗なイラストが表紙を彩り、その見た目だけでも手に取りやすい印象を与えてくれます。

そして読んでみると、パーンたちが奮闘する骨太で王道な物語を主軸に、善や悪では測れないカーラのような魅力的なキャラクター陣が意外性のある展開へと導き、読者をロードスの世界へと深く導きます。本格的な国産の戦記物もまだ少なかった時代なので、壮大な世界の動乱もまた刺激的な題材でした。

このような、時代に先駆けた切り口や要素を備えたことも一因となり、「ロードス島戦記」は大ヒットを遂げました。ですが、“小説の成功”だけに留まらなかったのが、「ロードス島戦記」が長く愛された理由へと繋がります。



《臥待 弦》
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