人生にゲームをプラスするメディア

『ゴリラが背中に湿布を貼ってくれる』Unityでゴリラに取りつかれた奇ゲーを量産するHaruma Toshiyukiとは?【特集】

『ゴリラが背中に湿布を貼ってくれる』はシンプルなスマートフォンアプリのビデオゲームです。今回の特集では本作と、制作者のHaruma Toshiyuki氏がその他に作り続けるアプリゲームについてを紹介します。

モバイル・スマートフォン iPhone
『ゴリラが背中に湿布を貼ってくれる』Unityでゴリラに取りつかれた奇ゲーを量産するHaruma Toshiyukiとは?【特集】
  • 『ゴリラが背中に湿布を貼ってくれる』Unityでゴリラに取りつかれた奇ゲーを量産するHaruma Toshiyukiとは?【特集】

バカゲーで描かれる「中年の危機」の可能性




Haruma氏の作品にほぼ出演している、なんとも言えない中年男性は何者なのでしょうか。Unityアセットストアによれば、名前は「デヴィッド」、ヒップスターの男性とのことです。

ヒップスターとは簡単に言えば個性的で、流行に敏感な人間のことを差す言葉のようです。しかし中年男性にとって「個性」や「流行に敏感」であることがどれだけ自分を苦しめることでしょうか。他人と差をつけるための個性、自分はイケてるとアピールするために流行を追いかける体力がなくなり始めたとき、自分の存在意義を疑い始めます。次の画像を見てください。

筆者の人生の諸先輩方の中で本当にこれくらいやけになってしまった方も何人かいました

個性や流行のセンス競争に苦しんだ果てに何が起きるのでしょうか?やけくそになることがあります。『今だ!おなら忍法!雷避けの術ゥーー!』(iOSのみ)では人生にやけになってしまったヒップスターのシミュレーターとして優れています。雷が鳴り響くステージは人生の暗雲の象徴。でもどうしたらいいかわからない。とりあえず雷のタイミングにあわせてボタンを押し、放屁することでやり過ごすしかないという恐ろしい作品です。

そう、Haruma氏の作品は中年男性の孤独について描きなおしているのかもしれません。人間は中年に差し掛かるとそこまでの自分の人生や存在意義を振り返るミッドライフクライシスという問題が立ち上がるといいます。彼の作りだすバカゲーの一群を一作ずつ追っていくと、名もなき中年男性の存在意義の回復が描かれていると言えるのではないでしょうか。

真夜中の市街地でゾンビとキリンとの激戦を繰り広げる中年男性の心中は……

今だ!おなら忍法!雷避けの術ゥーー!』では人生の凪の時期を体験でき、以降の作品ではTPSスタイルにて自身の男性性の回復を図ります。『激ムズ!キリンオブザデッド』(iOSのみ)では市街地で剣や拳銃を使い、ゾンビやチーターと戦いながら、膨大な体力を持つキリンと激闘を繰り広げます。まさに、どうしようもない社会で戦う姿の暗喩のようにさえ見えてくるでしょう。

広い砂丘で10個のミッションを攻略していく。そこには試練を超えて自己回復していく姿が。

鳥取砂丘シミュレーター』(iOS/Android)では一転、砂丘に取り残された中年男性がゴリラからスクーターを奪ったり、ゾンビと激闘を繰り広げるミッション性のアクションになります。主にオープンフィールドでのアクションに舵を切った意欲作ですが、それ以上に存在意義が揺らぐ中年男性が何もない砂漠に向かい、10個の試練を通過していく姿に人生の壁を乗り越えようとする意味合いを読み取ることは不可能ではないでしょう。

作品によっては、ゲームオーバーが疲れ切った中年男性の表情が大写しにされることも…

Haruma氏の一連の作品は、孤独な中年男性が人生でぶつかった壁を乗り越える精神世界のような意味合いが見えなくもありません。そう思えば『ゴリラが背中に湿布を貼ってくれる』のゲームプレイもまったく違う味わいになることでしょう。ゴリラとは疲弊した中年男性の精神が見た幻影なのかもしれません。孤独な人間の腰は自分で守るしかない。筆者に言えることは、まず良いイスとマットレスを買っておくことが大事だということ、それだけです。
《葛西 祝》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

モバイル・スマートフォン アクセスランキング

  1. レイド続きで回復アイテムが少なくなってない?知っておくと得する補充術【ポケモンGO 秋田局】

    レイド続きで回復アイテムが少なくなってない?知っておくと得する補充術【ポケモンGO 秋田局】

  2. 『FGO』呼延灼のデザイナーがトリダモノ氏と判明!代表作は『ライザのアトリエ』、Twitterで“特別イラスト”も公開

    『FGO』呼延灼のデザイナーがトリダモノ氏と判明!代表作は『ライザのアトリエ』、Twitterで“特別イラスト”も公開

  3. 『FGO』現在登場している疑似サーヴァントを改めて確認―「司馬懿」&「アストライア」の登場でその数は11騎に!【特集・UPDATE】

    『FGO』現在登場している疑似サーヴァントを改めて確認―「司馬懿」&「アストライア」の登場でその数は11騎に!【特集・UPDATE】

  4. 『ブルーアーカイブ』老舗エアガンメーカー「東京マルイ」が“アル社長の銃”を完全再現!ワンオフ制作のコラボプロジェクト始動

  5. 『FGO』アンリマユ召喚を目指して…約450万フレポを使い、2万回以上ガチャをした結果は

  6. 『ウマ娘』初期案には「畑」があった!?『牧場物語』的なスローライフを想像するファンも

  7. 『ロマサガRS』今さら聞けない「七英雄」まとめ―生い立ちや背景、能力値、人気の秘密は?

  8. 『FGO』現在出ている情報からカルデアの年表を考察【特集】

  9. 『FGO』第2部の前にストーリーを振り返ろう~第六特異点キャメロットの巻~【特集】

  10. 『アークナイツ』「ケルシー」や「濁心スカジ」実装、初の★6配布も―アビサルが中心のイベント「潮汐の下」開催

アクセスランキングをもっと見る