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【CEDEC 2011】日本はUnityにとって世界でも最も重要な市場へ~勢いを増す新興ゲームエンジン

今最も勢いのあるゲームエンジンを問われて「Unity」と答えない人はいないでしょう。その熱気を反映してCEDEC 2011最終日に実施されたセッションは立ち見でも会場に入り切らないほどの盛況となりました。

ゲームビジネス その他
David Helgason CEOと大前広樹 日本担当部長
  • David Helgason CEOと大前広樹 日本担当部長
  • Unityを使って良かったこと
  • ゲーム開発を民主化するという目的
  • Unityを使って苦労したこと
  • 世界的なコミュニティが形成されつつある
  • その他
  • グリー芳賀氏
  • CubeSieger
今最も勢いのあるゲームエンジンを問われて「Unity」と答えない人はいないでしょう。その熱気を反映してCEDEC 2011最終日に実施されたセッションは立ち見でも会場に入り切らないほどの盛況となりました。

昨年に続いて本社のDavid Helgason CEOも来日して行われたセッションで明らかにされたのはUnityにとっての日本市場の重要性です。既に収益面では世界で第2位の国となり、その成長率はトップだそうです。世界のユーザー数は60万人を超え、順調な成長を続けるUnityですが日本の熱気はその中でも格別なものがあるようです。

「ゲーム開発を民主化する、開発者のために」という思想で生み出されたUnityは強固なユーザーコミュニティが大きな特色です。60万人のユーザーによって作られたQ&Aのデータベースは、大抵の疑問を解決するに余りあるナレッジを蓄積しています。これまでに書籍も8冊が発売され、うち1冊がCEDECに合わせて先行発売された「Unityによる3Dゲーム開発入門」(宮川義之、武藤 太輔)です。3ヶ月中には更に2、3冊が登場する予定になっているとか。

David Helgason CEOと大前広樹 日本担当部長から概要が紹介された後、今回はユーザー事例を中心に展開されました。

■スマホ開発ツールとしてUnityを採用したグリー

世界展開とスマートフォン展開を両軸にして邁進するグリーもUnityの有力なユーザーの一つです。同社開発本部でエンジニアを務める芳賀洋行氏が説明しました。現在グリーでは2タイトルの2Dゲームを製作中で、どちらも今年中にはリリースされる予定だそうです。

Unity採用の理由として挙げられたのは、開発スピード、高い拡張性、長期に渡る開発実績の3つです。特に拡張性の高さは評価のポイントとなったそうです。社内からソーシャルゲームならではのインターフェイスを提供したい、Flashなどのベクターアセットを利用したい、各機種に合わせたパフォーマンスのチューニングをしたい、など様々な要望が寄せられるためです。

グリーは自社でUnityの採用を決めた後、日本におけるエクスクルーシブパートナーとして包括的業務提携を行い、グリープラットフォームのパートナーに対して無償二次配布する権利を獲得しています。これに加えてグリーはUnityと協力して技術セミナーやサポートなどを引き続き提供していくとのこと。

■初の社外ゲームエンジンの採用~プロペ

プロペはソニックシリーズで知られる中裕司氏が率いるゲームデベロッパーですが、同社は初の社外ゲームエンジンとしてUnityを採用してスマートフォン向けのゲームの開発を行いました。同社でプログラマーを務める小黒哲郎氏が語りました。

同社ではアミューズメント施設のコインゲームをモチーフにした『Power of Coin』、リアルな動物との触れ合いを楽しめる『Real Animals HD』という2つのiOS向けゲームでUnityを採用、今後の複数のタイトルでも採用を決定し現在開発を進めています。

小黒氏によれば、採用して良かった点としては、開発を始めてすぐに動く絵が確認できるという事が挙げられるそうです。アセットを放り込むだけで動作するものをすぐにPCで確認できるというのは大きいようです。この利点はプロトタイプ制作の迅速化にも繋がり、実際『Real Animals HD』はデザイナーが作ったデモから開発が決定したそうです。また、物理演算など高度な機能が容易に利用できる点や、それぞれの機能がモジュール化されていて、ON/OFFが容易な事がメリットとして挙げられました。

一方で苦労した点としてはiOSのネイティブ機能まではサポートが届いていない点で、例えばInAppPurchaseを導入する場合はネイティブコードとUnityを繋げるプラグインを記述する必要があります。ただし良く使われるものに関してはUnity Asset Storeで販売されているケースも多そうです。また、ツール自体への慣れも必要になってきます。こうした点が苦労した点となるようです。

■技術ではなく手法を導入するということ

最後に登壇したのはフリーランスのゲーム開発者である高橋啓治郎氏。高橋氏は「POSIT」と呼ばれたボードゲームをiOSで再現した『CubeSieger』(発売元:ロゼッタ)というゲームの開発でUnityを利用しました。

開発に当たっては、Unityを使った開発という点に焦点を当て、iOSのネイティブコード(Objective-C)を極力排除し、Unity標準のJavaScriptで組んだそうです。約95%はピュアUnityで記述されています。この理由について純粋にUnityで開発すればマルチデバイスでの展開が容易であることが挙げられます。後にAndroidやウェブで展開したいと思った時も移植がとても簡単になります。今回のプロジェクトではウェブ用に出力したものを問題作成システムとしても活用したそうです。一方でネイティブコードで書かざるを得なかった5%はiOS独自UIやソーシャルネットワークとの連携部分だということです。

高橋氏が語るエンジン導入のコツは「エンジンは技術ではなく手法」という意識を持つ事です。Unityを入れると高度な技術が容易に活用できるというのは物事の一面で、Unityを入れるということはUnity流の作り方にワークフローを変えるということに他なりません。高橋氏はこれを「自動車と飛行機の違い」と例えます。どちらも早く目的地にたどり着く為の手段ですが、速度以前の問題として地面を走ると空を飛ぶという根本的な違いがあります。しかしことエンジンとなると「飛行機で道路を走る人が多い」と指摘していました。

またアドバイスとしてはこれに慣れるために本プロジェクトで採用する前に、一度テストで触ってみて欲しいということでした。「開発経験の豊富な皆さんであれば一週間もすれば勘所が分かるはずです」

■日本法人設立で勢いを増す

最後に再び日本担当部長の大前氏が登壇。大前氏は昨年11月から日本担当としてUnityの普及を図ってきたわけですが、その活動は「草の根のものだった」と語ります。例えばGlobal Game Jamでのライセンスの提供(と大前氏の参加)やIGDA日本のセミナー開催などです。

しかしUnity Technologiesは9月1日付で日本法人としてUnity Technologies Japan合同会社を設立し、代表取締役会長に元セガ・オブ・アメリカでゲーム業界の経験豊富な豊田信夫氏を迎え、企業として本格的な普及を目指していきます。今後は日本語情報やサポートの拡充、日本での活動の可視化などを進めていくとのこと。また、セールスエンジニアも募集しているとのこと。

終わりに国内初のUnity本を執筆したゼペットの宮川氏も登場。「Unity入門のハードルを下げるような一冊にした」と紹介。CEDECの会場ではオライリーのブースにて販売されているのですが、初日だけで150冊も売れて完売状態になってしまったそうです。10日からは一般発売もされますので是非チェックを。表紙はオライリー初の海産物でウニが描かれ「ウニ本」として親しまれそうです。
《土本学》
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