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今どきゲーム事情■杉山淳一:『A列車で行こう8』デフォルメと現実の間〜京浜急行電鉄の品川駅−羽田空港駅、こだわりの再現に挑戦!

 『A列車で行こう』シリーズと言えば、都市づくりゲーム、鉄道経営シミュレーションの代表的なタイトルです。第1作が誕生してから23年目にあたる今年、PC版としてはシリーズ8作目の『A列車で行こう8』が誕生しました。ゲームシステムは前作『A列車で行こう7』を踏襲しつつ、フル3D描画へと大進化。収録車両数も大幅に増やしています。列車を走らせると町が発展する。町が発展すると利益が上がり、さらに鉄道に投資できる。この面白さは永久不変です。鉄道ファンも箱庭ゲームファンも買って間違いなしです。

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高輪方向から見た品川駅。手前が京浜急行線 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

京浜急行の品川駅引き上げ線。両側は泉岳寺へ行く地下路線の出入り口 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 『A列車で行こう8』には、あらかじめ線路や建物が初期配置されたマップがあります。そのマップに線路を追加し、列車を増発し、子会社を建設することで売り上げを増やしていきます。「A列車で行こう7」では、資金不足でもゲームを続行できましたが、「8」では資金がゼロになるとゲームオーバーです。また、ゲームのゴールはありませんから、自分で目標を設定したほうが楽しいでしょう。新幹線やリニアを建設するとか、空港を建設するとか、ランドマークをすべて建てるなどです。張り巡らされた線路上を玩具のような列車が走る。いつの間にか建物が増えていく。街の成長は眺めていて飽きません。ゲームとしてはきちんと楽しめていますから、これ以上を求めるなんて贅沢かもしれません。

 それでは、鉄道ファンはいったい何が不満なのでしょうか?

 それはマップコンストラクションモードで、リアルな街を再現しようとしたときに浮かび上がってきます。そこで今回、私は京浜急行電鉄本線の品川−蒲田−川崎間と、蒲田から分岐する羽田線と羽田空港、川崎を起点とする大師線を再現してみました。





地下路線はこのようにループして品川駅に戻るしくみ Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

手前は新幹線。その向こう側が横須賀線の地下トンネル入り口 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

横須賀線も地下でループする仕組み Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

 
 まずは品川駅。京急品川駅は線路が3本、ホームが2本です。線路が2階にある高架駅です。ここでまず小さな不満が1つ。ホームの配置は駅舎側に対向式ホーム、隣に島式ホームとなっており、これは実際の京急品川駅と同じです。しかし、高架駅ですから駅舎はホームの下にあるべきです。それがゲームでは対向式ホームの隣になってしまう。つまり「駅のデザインが固定されているため、実際の駅を再現するには難しい」、これが最初の不満。

 地上にJRの品川駅を作りますが、やはりホームの位置が変です。山手線と京浜東北線はそれぞれ島式ホームなのに、ゲームでは4線の駅だと「駅舎+対向式ホーム+島式ホーム+対向式ホーム」となってしまうのです。これは東海道線ホームも同じ。品川駅はJR在来線だけで「8面15線」(ホーム8本線路15本)の規模ですが、ゲームでは駅の最大規模が「3面5線」しかないので、大規模駅を再現するには5線以内の駅を並べます。そうするといちいち駅舎が付いてしまいます。線路の数は現実と一致できても、ホームの配置は再現できません。駅舎とホームは切り離し、ホーム単体で配置できたらいいと思います。





南から品川駅全景。東海道線の臨時ホームの配線はかなりアバウト… Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 品川駅を南に線路を延ばしていきます。まずは箱根駅伝の最初の難所、「八ツ山橋」です。ここでは道路が上り坂になり、橋で東海道線などを超えますが、道路橋がないので再現できません。しかしここは私が地面を隆起させてJR在来線のトンネルを作ればリアルになったかもしれません。「品川」を出ると最初の駅は「北品川」です。品川駅の南にあるのに北品川。雑学のネタとして有名な駅です。この駅は本当はカーブしています。しかしゲームではまっすぐなホームしかないので、カーブした駅が作れません。これもなんとかしてほしい。





八ツ山橋付近から俯瞰した品川駅。手前が京浜急行 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

北品川駅の向かいには有名な女子高があります Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 「新馬場」「青物横丁」を過ぎると「鮫洲」駅です。運転免許試験場の最寄り駅として、東京南部の人ならご存知の方も多いことでしょう。この駅は各駅停車が後続の優等列車に追い越される駅です。本来の配置は中央に島式ホーム。その外側に通過用線路があります。しかし、ここでも駅の形が決まっているため、通過用線路にもホームができてしまいます。カーブしている場所にもポイントが設置できたらいいなあと思います。





奥から、新馬場、青物横丁、鮫洲。鮫洲がややオーバースケール気味 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

 
「立会川」は複線の対向式ホーム。「大森海岸」も同様。「平和島」駅は、島式ホーム2本で各駅停車と急行や特急の乗継ができる構造です。しかしゲームでは対向式+島式+対向式になるため、乗り継ぐお客さんが不便です。追い越し設備がある駅なら、島式ホーム2本という構造はとても一般的です。これが再現できないのは寂しい。「A列車で行こう The 21st Century」にはあったのに…。






奥から、鮫洲、立会川、大森海岸、平和島。立会川駅の向こうのスタジアムは大井競馬場をイメージしました。大森海岸駅のそばの国道はマンションが並びます。実は筆者の部屋もこのへん(笑) Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

 
 高架区間が終わると「大森町」「梅屋敷」そして「京急蒲田」です。「京急蒲田」は実際の配線どおりに作れました。羽田線の分岐駅で、品川から来た列車も横浜から来た列車も、羽田線ホームに乗り入れ可能です。蒲田駅の構造を見ると、羽田線の電車が本線に進入するときに、本線の両側の線路を塞いでしまいます。この構造と周辺の踏切を解消するために、現在は高架化工事が進行中です。京浜急行は列車を走行させながら高架線を建設するという「直上高架方式」という技術を持っています。ゲームでも再現してみると面白いでしょう。





奥の平和島の高架を降りると大森町、梅屋敷、そして蒲田。蒲田から羽田線が分岐します Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 「蒲田」から羽田線を作りました。ご覧のように、羽田線は蒲田を出ると単線で国道の踏み切りに差し掛かります。これが道路に大渋滞を引き起こす原因となっています。この踏み切りは箱根駅伝でも登場します。今年はある選手がレールに躓いてしまいました。ここも将来は高架化される予定です。現在は複線から単線になるところで電車が待っていることがあるので、やはり線路に電車を停める機能が欲しいところ。この先、羽田線は大鳥居でトンネルに入り、穴守稲荷で顔を出してまたトンネルに入ります。終点の羽田空港までトンネルの中です。






蒲田駅から羽田線をのぞむ。手前の踏切が箱根駅伝の名物になっています Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 ゲームに出てくる空港が小さいことも気になる要素の1つ。そこで羽田空港を再現するために、道路パーツを使って滑走路と誘導路を再現してみました。羽田空港にはこれだけの土地が必要です。もちろん地下には京急の駅があります。「天空橋」駅も用意しました。こうなるとモノレールがほしいですね。似た形の路面電車で代用しましょうか。





羽田空港はこのくらいの規模が妥当です Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

天空橋から羽田空港をのぞみます。手前の道路は環状八号線 Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

空港ターミナルの地下に京急の羽田空港駅があります Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

地下部分のみを別アングルから Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 本線を進みます。「雑色」までは地平、そこから高架になって「六郷土手」。トラス型鉄橋を渡って「京急川崎」駅です。京急川崎も平和島駅と同じく島式ホーム2つの「2面4線」ですが、やはり再現できません。また、実際には川崎駅の品川よりの鉄橋上に引き上げ線があって、ここで各駅停車が特急の通過を待つというユニークな運行をしています。しかし、駅間が詰まってしまったので再現できませんでした。もっとも、これは私が欲張って駅間を詰めてしまったせいで、本当はここに蒲田駅が来るようにゆったりとした配置にすべきでした。ただ、駅以外の場所にも列車が停止できるような仕様だったら留置線も作れます。運行に幅ができると思います。それから、複線間隔を1ブロックスライドさせる線路パーツも欲しい。現在はシングルシーサス(片渡り)ポイントで代用するしかありません。





川崎駅。大師線が地平ホームから出発します Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


 川崎からは大師線を作ってみました。駅はほとんど田舎駅です。「大師」駅のそばには神社と仏閣を置いてそれらしい雰囲気にします。「平和島」あたりから分岐した道路を南下させて、大師線と交差させます。そこが「産業道路」駅。このあたりは首都高速があります。高架道路パーツがあったら再現できるのに残念です。





横浜方面から見た川崎駅。トラス鉄橋には本当は引き込み線があります Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

川崎駅からマップの端を見ました。渡り線を付けた理由は、常に同じ線路を使って列車を外に出すため。外から帰ってくるときに正しく上り線に誘導します Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

こちらは品川駅から田町方向。山手線と京浜東北線の方向別複々線の場合も、列車を1本の線路に集約してから外に出し、戻ってきたところでポイントを使い、本来の線路に戻します Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示

大師線の川崎大師駅。寺院と神社で雰囲気を出してみました Copyright 2008 ARTDINK.All Rights Reserved. ※クリックで拡大画面を表示


■デフォルメ車両だっていいじゃないか

《杉山淳一》
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