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【インタビュー】 アルテピアッツァさんに『オプーナ』について聞きました!

コーエーから11月1日に発売になるWii向け『オプーナ』ですが、いよいよ来週の発売が近づいてきました。インサイドでは本作を企画・開発したアルテピアッツァ代表取締役の眞島真太郎氏、 取締役の杉村幸子氏にお話を伺うことができました。それではどうぞ!

任天堂 Wii
コーエーから11月1日に発売になるWii向け『オプーナ』ですが、いよいよ来週の発売が近づいてきました。インサイドでは本作を企画・開発したアルテピアッツァ代表取締役の眞島真太郎氏、 取締役の杉村幸子氏にお話を伺うことができました。それではどうぞ!

―――まずコーエーさんと組まれた経緯からお聞かせてください

杉村:⇒『ドラゴンクエスト』シリーズが中世ヨーロッパを舞台とした世界観ですので、どちらも開発するなら全く違う雰囲気の作品にしたいと企画していました。ちょうどそのタイミングで、堀井雄二さんから、コーエーさんがRPGを作れるチームを探しているというお話があって、それなら是非紹介してくださいという話をしたんです。

まだハードは決まってなかったのですが、ボンボンを飛ばして、テンポ良くバトルができるゲームのシステムを考えてました。

―――Wiiで作ろうというのは何か決め手があったんでしょうか?

眞島: あえて言えば、普段ゲームをやらない人にも受け入れられそうな商品という印象があったことです。。ンテンドーDSが従来のゲームユーザー以外の層に受け入れられ、Wiiにもその延長線上にある一般性を感じました。あとはこういう動作[スティックを弾く動作をする] ができるというのが第一条件でした(笑)。ハードに高性能が無いと実現できないような表現に特化したゲームではないので、Wiiは作りやすい環境だということで落ち着いた感じですね。



―――ゲームの簡単な説明をしてもらえますか?

眞島: 基本的にはRPGです。特徴として、一つはアナログスティックを弾く操作方法。もう一つは魔術師や戦士といった直接的に戦闘スキルにかかわってくるものではなく、魚釣りやファーストフードの店員といったライセンスを手に入れることでパラメーターやアイテムの取得、交友関係が変化していくシステムがあります。舞台は近未来的なドームと、その外にはドームとは対照的な野生の世界が広がる、そうした極端な世界観で描かれるゲームです。

―――その中でもゲームでキーポイントとなる部分はどういうところでしょう?

眞島: 誰でも遊べるゲームという点ですね。低年齢層に向けたゲームであるとか、ゲーム自体が至極単純だという事ではなく、キャラクターや世界観はかなり幅広い層に向けて作っていて、中身も大人が遊んでも耐えられる内容です。それでいて、とにかく気軽に遊べます。ゲームは年々複雑になってきましたが、ヌンチャク1個で片手で遊べる、ボタンも2つしか使わない、本当に手軽にラーメン食べながらみたいな感じでも、しっかりした大作RPGが楽しめるという事を目指しました。RPGの敷居が高くなっているのには危機感をずっと感じていて、それを少しでも下げたかったんです。

―――特徴的なキャラクターデザインですね。モチーフのようなものはあるのでしょうか?

眞島: 建築や工業デザインがずっと好きで、そういうものを出したいというのがあって、主人公達はすっと出ました。敵キャラに関しても通常は実在する植物や動物の持つ怖さのイメージを誇張していく場合が多いですが、今回は抽象的な「怖さ」とか「かわいさ」を直接モノとして捕らえていく手法をとりました。ヤカンのシルエットにインスピレーションを得たものもあります。

眞島: やっぱりこれまでずっと慣れ親しんできた手法を踏襲するのは簡単なんですが、モンスターデザインの新しい切り口ってのは何かあるんじゃないか?まだまだ手付かずでなおかつ明快なアプローチの仕方があるんじゃないかと思いこういうチャレンジをしてみました。ある意味では、これまでの自分達の作品を自己否定するところもありますので、大変ではありましたが、楽しくやることができました。

―――世界観という点ではいかがでしょうか?

眞島:現代建築の持つイメージやディテールを取り入れてみました。最近は一般の雑誌なんかでも取り上げられるようになりましたが、僕は学生の頃からずっと好きで、少ない小遣いの中から分厚い建築物の本を買ったりするような人間で(笑)、いつかはこういうアプローチをしたいと思ってました。ここ数年一般誌などでも建築が取り上げられることも多くなり、良い時期かなと思っています。ドーム内は現代建築を取り入れて、ドームの外は全く違う風景が広がる、そういう構成をしています。



―――そういう世界でどのようなストーリーが語られるのでしょうか?

杉村: 「家族である星に旅行に来るんですが、事故にあってみんなはぐれてしまいます。そこで両親を探す冒険に出る」というのが簡単なストーリーです。「大変な事があっても諦めずに頑張るといいことがあるぞ」という話です(笑)。

自分達の親子の話と、ある人物の親子の話があって、2つの展開をしていきます。最終的には対照的な結末を迎えるのですが、それぞれの家族、それぞれの兄弟のストーリーが物語全体の骨格になっています。ある程度、成熟していて、家族と軋轢があるような方には痛いところもあるかもしれません。

ただ全体的なストーリーというよりも、ライセンスに関わるエピソードの積み重ねで冒険が進みますので、プレイヤーによって物語への印象はかなり変わると思います。

――アクティブボンボンバトルという戦闘も特徴的ですよね

杉村: ええ。このゲームのアクティブバトルの特徴はプレイヤーがどんな行動を実行したかによって、待ち時間が変わってくるという点です。ちょっとしたエナジーで戦える攻撃をすれば、すぐに次のターンが回ってきて、逆だと時間がかかります。自分で調整ができるので、ただ決まった時間待たされるということがありません。このゲームの企画で最も直接的な「売り」はこれです。

杉村: 一度遊んでみてもらえると分かると思いますが、コマンドRPGでも、アクションRPGでも無い存在なんですね。コマンドとアクションのちょうど中間の、感触として新しいものを感じられると思います。ドラクエのようにひと桁のHPを削りあうような緻密なバトル構成ではありませんが、いい意味で大味であることの面白さがているのではないでしょうか。とはいえ、敵の種類によっては、左右からのスウィングでないとあまりダメージを与えられないものがいたり、気楽なバトルとはいえ油断は禁物ですよ(笑)。



―――ヌンチャクだけでの操作は、はじめから「そう」と決めて?

杉村: スティックと2つのボタンだけという操作性には非常にこだわりました。特にRPGでは、使うボタンは少なくしたいところです。

眞島: 結局ボタンの操作って、「どれにする」と「イエス」と「ノー」で大体の事を表現できると思うんです。だからちゃんとシステムを練ればボタンの数はどんどん減らしていけるはずなんです。コントローラーは操作が複雑になればなるほど、最初にちょっといじってみようという人を遠ざけて、減らしてしまうと思います。何となく触ったらちゃんと動く、そういう親切さは必要だと思います。

―――ヌンチャクのみと、リモコンをプラス、という2つの遊び方がありますね

眞島: たた、ヌンチャクだけでプレイした方が軽快に遊べます。複雑な操作をするというのは頭で考えてやっている面が強いと思いますが、この作品は手の感覚で憶えていくタイプだと思います。玉を弾く、どちらに?どのくらい?そういったことを指を動かす気持ちよさとして憶えていくアプローチの仕方が面白いと思います。

そういう意味では片手で持って、これを押すとこういうウインドウが出て、次にこれをして、って理屈で考えるよりも、慣れて自然に動いていく、手癖にしていく、ヌンチャクで気軽に始めてもらって、気付くと指が動いて遊べている、ってのがベストなシチュエーションですよね。

僕はもともと右利きなんですが、小指を骨折してしまって、右でデバックができないので左手でデバックをしてたんですが、すると左で慣れちゃって、逆に右じゃ遊べないくらいになりました。そのくらい手で覚える、手に染み付く操作感が実現できていると思います。

―――なるほど

眞島: 一つ感じるのは、『スーパーマリオ』って側で見ていても面白いゲームだと思うんです。上手くプレイをしていくのが面白いだけじゃなくて、谷底に落ちていくのも面白いんです。遊んでる本人が面白いのは当然ですが、周りで見ている側も面白いというのは大事だと思います。玉が飛んでいく、当たった、避けられた、ちょっと遅かった、カウンターになったなど、見ている人にも楽しんでいただけるとうれしいです。

社内でも色々なプレイヤーに試してもらっていますが、パワーを重視する人、補助的な効果を重視する人、、、とにかくプレイする人によって「最強」というのが全然違うというのがこのゲームの特徴だと思います。それぞれが自己流の遊び方をして情報交換し合うような、ちょっと昔のゲーム好きが互いに自慢しあうような光景が見られるといいですね。

僕自身はボンボンを貫通させて敵を一気に倒せる装備がお気に入りなんですが、そういうオプション装備を全く使わないスタッフもいて、性格がかなり反映されるゲームだと思います。アクション的な要素も含んでいるので、自分の技量も試されます。ただ、アクションのように反射神経が全面的に要求されるかというとそうでもないので、アクションのようなアクティブな感じもありつつ、苦手な人でも、「俺こんな事が出来るようになったよ!」というのを感じて楽しんでもらえるゲームになったと思います。

―――分かりました。それでは最後に期待している読者に一言お願いします

眞島: 戦闘の操作だったり、冒険の進め方だったり、従来のRPGとは一風変わったことをしてますが、全体としてみると正当派な作品がしっかり楽しめると思います。ここのところRPG離れしてきた方や、RPGを遊んだことのない方にも楽しんでもらえる作品だと思います。開発者の希望としては、新しい切り口をやれたと思ってますので、そういうところを素直に楽しんでもらえれば、一番嬉しいですね。

杉村: 最近はゲーム業界も盛り上がってきて、若手の20代のクリエイターの方もいっぱい出てきて素晴らしいものを作ってらっしゃいますが、こちらも長年やってきて、その経験を全部詰め込みました。実は企画自体は4年前くらいからスタートしていて、その間にやりたいと思ったことをシンプルに煮詰めて実現できたと思っています。是非、プレイしてください。

―――どうもありがとうございました!
《土本学》
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