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『ステラーコード』『イハナシの魔女』『カガミハラ/ジャスティス』…気鋭のビジュアルノベル制作サークル「フラガリア」を紹介【年末年始特集】

同人サークル「フラガリア」が制作したタイトル3本を紹介します!

ゲーム 特集
『ステラーコード』『イハナシの魔女』『カガミハラ/ジャスティス』…気鋭のビジュアルノベル制作サークル「フラガリア」を紹介【年末年始特集】
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フラガリアはビジュアルノベルの制作を行う同人サークルで、代表作『イハナシの魔女』が合計売上が4万本を超えるロングヒットを記録したことでも知られています。2025年は最新作『ステラーコード』がリリース、コミックマーケット107の2日目(12月31日)には、おまけ本「ステラーコード -Continuum-」の頒布も予定されています。本記事ではこれを機に、フラガリアの作品3本を振り返っていきます。


◆『カガミハラ/ジャスティス』

『カガミハラ/ジャスティス』は、フラガリアが2011年から2017年にかけて制作した、長編ビジュアルノベル作品です。全三部構成の本編に加え多数のおまけシナリオを収録しており、総プレイ時間は35~40時間以上におよぶ大ボリュームの内容です。現在は原作にあたるPC版と、レジスタによるニンテンドースイッチ移植版が発売されています。

物語の主人公は、元ひきこもりの高校2年生・村上太陽。心機一転を図って転校した鏡原高校で新しい生活を始めるはずだった太陽ですが、「悪の組織 セイトカイザー」「正義の味方ミラーレンジャー」が繰り広げる戦いに巻き込まれていきます。

第一部「子供と○○と○○の話」では、学園を舞台にしたドタバタ調のヒーローバトルとラブコメ要素が前面に押し出され、生徒たちの日常的な掛け合いがテンポよく描かれます。一見すると明るく軽快な学園モノとして進行しますが、物語の端々には違和感が差し込まれ、徐々に不穏な空気になっていくのが特徴です。

第二部「子供と大人と○○の話」では物語のスケールが大きく広がり、第三部「子供と大人と戦争の話」へとつながっていきます。後半は単なるヒーローと悪の対立に留まらず、ミリタリー要素や心理戦など第一部では考えてもいなかった方向に物語が転がっていきます。

長編だからこそ可能な積み重ねによって、「人はなぜ争うのか」「正義や悪とはなにか」という問いをプレイヤーに強く投げかけてくる、腰を据えて物語に向き合いたい方におすすめの一本です。また、おまけシナリオが同梱していない、本編三部作のみがプレイできるフリー版がBOOTHで配信中です。

◆『イハナシの魔女』

『イハナシの魔女』はフラガリアが制作したビジュアルノベル第2弾で、10~15時間ほどでクリアできます。2022年8月にPC向けにリリースされ、2023年4月にはケムコよりニンテンドースイッチ、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One向けにも配信されています。

物語の主人公は幼少期に両親を亡くし、叔母の一家にも見捨てられた高校生・西銘光。突然「祖父を頼れ」と沖縄の小さな離島「渡夜時島」へ送られた光は、祖父の家が空き家であること、叔母とも連絡が取れないこと、転校先の学校に自分の名前が存在しないことを知り、居場所を失ってしまいます。途方に暮れて夜のサトウキビ畑を彷徨う中で出会ったのが、不思議な民族的衣装に身を包み、自らを魔女だと名乗る少女・リルゥです。

リルゥは魔法を使える存在である一方、人間社会の常識には極端に疎く生活力も皆無。光とリルゥは衝突を繰り返しながらも、祖父の家で共同生活を始めることになります。序盤は慣れない島暮らしの出来事が中心となり、ドタバタコメディ色の強いシナリオが展開。本作は「プロローグ」「アカリ編」「保険販売員編」「リルゥ編」と全4章仕立てで、上京を夢見る島の美少女・赤摘明や、仕事がうまくいかない保険販売員・比嘉紬といったキャラクターとともに、日常描写が軽快なテンポで描かれていきます。

しかし物語が進むにつれてシリアスが濃くなり、「渡夜時島」に隠された秘密やリルゥが島にやって来た目的が徐々に明らかに。ボーイミーツガールとして感動的なストーリーが描かれつつ、“価値観”の異なる相手とどうやって歩み寄ったら良いのかが描かれるメッセージ性の高いタイトルです。また「渡夜時島」のモデルになった、沖縄県渡名喜村ともコラボしていました。

◆『ステラーコード』

『ステラーコード』は、8月15日にリリースされたフラガリアのビジュアルノベル最新作です。本作ではJAXA認定の宇宙ベンチャー「天地人」が、制作協力(技術アドバイザー)としてクレジットされているなど、同人ゲームとは思えない規模感にリリース前から注目を集めていました。

主人公・佐藤大地は、人工衛星の研究に取り組む大学4年生。父の再婚により、理論物理学を専攻し「ノーベル賞確実」とも称される日系アメリカ人の義妹・佐藤瞳ができ、彼女は日本での講演のため来日します。母を安心させるため兄妹らしく振る舞おうとする二人ですが、大学で確認された人工衛星の異常な観測データをきっかけに、裏山で謎の円筒状物体「ボトル」を発見したことで、平和な日常が大きく揺らいでいきます。

本作はSFミステリーですが、殺人事件ではなく地球外知的生命体とのファーストコンタクトを描く内容で、「彼らは何を伝えようとしているのか」「なぜ地球に来たのか」という問いを解き明かしていく構成です。大地と瞳は大学工作室の管理人・川島桃子や、彼女の後輩でJAXA職員の中野芽依らと協力し、暗号解読を通じて世界の命運に関わる真相へと近づいていきます。

プレイ時間は5~7時間と比較的短めで、『カガミハラ/ジャスティス』『イハナシの魔女』よりコンパクトですが、その分テンポよく濃密な物語が展開。理論物理や宇宙科学といった難解な題材を扱いながらも、作中ドキュメントや丁寧な誘導、登場人物による噛み砕いた説明により、専門知識がなくても理解できます。さらにヒント機能や謎解きスキップによって遊びやすく、気軽にSFらしい大スケールの謎解きと人間ドラマに触れられます。

◆フラガリアについて考える

フラガリアの歩みを振り返ると、処女作『カガミハラ/ジャスティス』に見られた長時間プレイを前提とした重厚な作りから、『イハナシの魔女』を経て、『ステラーコード』ではさらにプレイ時間を絞り込みつつ、エンタメ体験の密度を高める方向へと舵を切っていることがうかがえます。

ただし物語を軽量化したという意味ではなく、各作品では一貫して「価値観の相違」や「他者との断絶と理解」といった重厚なテーマが据えられているため、読後感は非常に濃密です。特に『ステラーコード』では、難解になりがちなSF要素をTIPSやヒント機能などによって補完し、物語への没入を妨げない工夫が随所に見られます。

物語のスケールやテーマ性を保ったまま、テンポや読みやすさ、遊びやすさを刷新し続ける姿勢は、現代的なビジュアルノベルの在り方を的確に捉えたものと言えるでしょう。毎作ごとに表現や題材の更新を続けてきたフラガリアが、次にどのようなタイトルで挑戦してくるのか。次回作にも自然と期待が高まります。


最新作『ステラーコード』は、PC(Steam / DLsite / BOOTH)向けに配信中。おまけ本「ステラーコード -Continuum-」は、コミックマーケット107で頒布予定です(水曜日 南地区 “k”ブロック-15b (南1ホール))。

《SIGH》

RPGとADVに強いと自称するライター SIGH

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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