■セクシー要素目当てだったのに、湧き上がる“守りたい”気持ち

本作はセクシー寄りの演出を多く含んでおり、先ほど触れた衣装が破けるというのもそのひとつ。初めのうちは、衣装が破けると「ちょっと嬉しい」という気持ちが湧き上がりましたが、プレイを重ねるうちに心境がやや変化していきます。
へべれけゲージと方向転換の調整は、セクシー要素を抜きにしても成り立つほど、ゲームシステムとして確立しています。そのため、遊んでいるうちに、自然と“出来るだけいい成果”を目指したくなっていきます。

そして気が付けば、「もっとタイムを縮めたい」というタイムアタック精神や、「次こそ衣装を破らずに帰らせたい」といった保護欲のようなものまで芽生え始めてしまいました。あくまで筆者の一例に過ぎませんが、そうした気持ちになってもおかしくない構成や仕組みが、本作に盛り込まれているのも事実です。
また、ステージ上にはパンツが落ちており、獲得することでキャストの着替えの幅が広がりますし、ステージクリアの評価ランクを上げれば嬉しいご褒美も。こうした要素があるため、ダメージを押さえて素早いクリアを目指したくなり、結果としてアクション性へと没頭してしまいます。

セクシー要素に惹かれたはずなのに、純粋にゲームとして楽しんだり、キャストを守り抜きたいという責任感が芽生えてしまったのは、まったく予想外でした。
■気になるところは、ボリューム感と価格の受け止め方

最初は「上を押しても進まない」ことに戸惑い、その場で延々と回転し続けるようなスタートでしたが、方向修正に慣れていき、ゲージの調整に気を配り始めると、アクションゲームとしての手応えが増していきます。
また、キャストの酔いどれ姿を見るのも楽しく、パンツ集めもクセになります。また、キャストたちの日常を垣間見る物語や、ちょっとしたミニゲームもアクセントとしての味わいがありました。

しかし、気になる点もいくつかあります。まず本作のステージ数は決して多くありません。1ステージごとのプレイ時間も短めで、クリアだけを目的にすると数時間で遊び終えてしまうボリュームです。複数のサブコンテンツがあるとはいえ、いずれも短めで、全体としてはライトアクションという範囲に留まります。
期待させるテイストと実際の内容に齟齬はありませんが、本作はあくまでも『バニーガーデン』のスピンオフ作品であり、価格(2,480円)分の価値を見出すかは人によって意見が分かれることでしょう。

『へべれけ ばにーがーでん』は“美少女と千鳥足”というユニークなモチーフを、独自の操作感と設計により成立させた、ある意味唯一無二のゲームです。可愛い見た目や派手な演出だけでなく、操作と挙動の絶妙なバランスは、“酔いどれアクション”の名に相応しい手触りでした。
長時間遊びたい人よりも短時間で濃い体験を求める人に、そして『バニーガーデン』シリーズのキャストを愛するファンにも、強くお勧めしたい作品です。セクシーさに惹かれ、可愛さを満喫しながら、気づけばアクションに熱くなる。そんな“へべれけ体験”に、ぜひ酔いしれてください。

『へべれけ ばにーがーでん』は、ニンテンドースイッチ/Steam向けに2,480円(税込)で販売中です。詳しくは公式サイトをご確認ください。
¥19,228
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)