◆アクションRPGとして楽しめるメインストーリーと、ハンティングアクションライクなエンドコンテンツを軸に制作中

――まずは、あらためてゲームの概要を教えてください。

イ・ドンジュン『リミットゼロ ブレイカーズ』は、“クラシカルな王道ファンタジー”を目指して制作しているストーリー重視のアクションRPGで、PC(Steam/PURPLE)とスマートフォン(iOS/Android)でリリース予定です。
メインストーリーのほかにも仲間になるキャラクター1人1人にそれぞれの物語があり、まるでアニメ作品を見ているような感覚でストーリーを楽しめるよう、ビジュアル面にも力を入れています。
アクションゲームが苦手な方でも楽しみながらストーリーを追えるように調整を続けている一方で、もっとアクションを楽しみたいというコアゲーマーの方たちにも訴求できるよう、プライマル・ワン(本作におけるいわゆる大型モンスターの総称)と戦って素材を集め、武器を強化するエンドコンテンツも用意しています。

――VIC GAME STUDIOSブースの来訪者は年々増えているように感じます。東京ゲームショウ2025に出展しての手ごたえはいかがですか?
イ・ドンジュン年々本作を応援してくださる方が増えているのは私たちも感じており、本当に感謝しています。ご期待に応えられるゲームをお届けしたいと思っていますので、2026年上半期のリリースまでもう少しお待ちください。
――アートを統括するハンさんにもおうかがいします。本作のビジュアルを作り込んでいくうえのコンセプトを教えてください。
ハン・ソクジュンクラシカルな王道ファンタジーというテーマを念頭に置きつつ、“アニメの世界に入っているような感覚を味わえる”ゲームを目指した絵作りをしています。キャラクターたちの表情や演出を違和感のないスムーズなものにしつつ、現代ならではのビジュアルとはどのようなものだろうかと常に模索しています。2026年上半期のリリース後も力を入れていきたいです。

――本作は去年のTGSまで『BREAKERS: UNLOCK THE WORLD』というタイトルで出展されてきましたが、今年の8月21日に『リミットゼロ ブレイカーズ』とタイトルが変更されました。これはどのような経緯や狙いがあるのでしょうか。
イ・ドンジュン当初は「主人公と仲間たちが出会い、ともに冒険をして世界を救う」というプロットを考えていたのですが、ブラッシュアップを重ねていくうちに、キャラクター1人1人の物語にもっとフォーカスしていく方が現代的なのではないか? と考えるようになりました。
キャラクターたちの物語が冒険となり、成長をうながし、やがて自分自身への救いとなる。そして、その積み重ねこそが世界をも救いうる……という構造の方が本作ならではのストーリーや体験をみなさんにお届けできると確信しています。本作の「世界は救わない。自らを救う物語。」というキャッチコピーにもそうした思いが込められています。また、タイトルにあるリミットゼロという言葉には「仲間たちがそれぞれの目的を果たすために限界を超える」という意味も込められています。
――2024年のTGSでは「大きな問題がなければ2025年中にはリリースしたい」とのことでしたが、この1年の制作はどのようなものでしたか。
イ・ドンギョ氏昨年のTGSでは、ソロプレイとマルチプレイに対応したレイドバトルを実際に体験していただき、みなさんに受け入れていただけるかを確認しつつ、修正点を洗い出すのが目的でした。
全体的な反応はとてもポジティブなものでしたが「まだまだ足りないものもあるよね」という結論になり、この1年は全体的なクオリティアップと試遊してくださったみなさんからのフィードバックの反映に力を入れました。

さらに、ハンティングアクションというよりはアクションRPGと言えるようなコンテンツも新たに追加制作しています。長らくお待たせしてしまっていますが、実際に遊んでいただいた際に「なるほど、このゲームを作るためにじっくり開発していたのか」とご納得いただけるゲームにしたいです。
――近年は本作のようにアニメ調のハイクオリティなグラフィックで彩られるゲームが相次いて発表・リリースされていますが、そうしたタイトルに影響を受けることはありますか?
ハン・ソクジュンまったく影響を受けてない……とは言いきれないと思います。しかし、どの作品にもその作品ならではのこだわりは必ずありますし、それは『ブレイカーズ』にも言えることです。「今ならではのキャラクターや演出、インターフェースで紡がれるクラシカルな王道ファンタジー」という軸を守りながら、他社のタイトルにも引けを取らないよういかにクオリティを上げるかに気を使っています。

――パブリッシングを担当するNCSOFTとしては、本作をどのように位置付けしていますか?
アン・ジンホNCSOFTではプロジェクト別に開発室を用意して開発・運営するのが常でしたが、本作は弊社初のパブリッシングタイトル、かつオリジナルIPということで注力しています。ストーリーや各コンテンツの方向性などはVIC GAME STUDIOSにお任せしていますが、ゲームのコアループ(そのゲームのおもしろさの核をなす、プレイを通して何度も繰り返し行われる一連の行動や流れのこと)に関する意見交換は活発に行っています。そのほか、運営や最適化に関する助言をすることもあります。

◆KADOKAWAやMAPPAと手を携えて日本展開にもとことん注力
――ゲームを取り巻く展開についても教えてください。TGS2025の会期中に世界観PVが公開されましたが、アニメ「呪術廻戦」や「チェンソーマン」で知られる制作スタジオ・MAPPAが手がけていて驚きました。
アン・ジンホMAPPAには、NC Japanからお声がけさせていただきました。MAPPAに手がけてもらうことができれば、そのクリエイティブの魅力で『リミットゼロ ブレイカーズ』というIPをより一層拡充できるはずだと考えたからです。
本作は今後、年末にかけてOPムービーと5種類以上のキャラクタームービーを公開予定ですが、それらに加え、ゲーム中の動画もMAPPAさんと連携して制作しています。MAPPAは世界観PVだけをお願いした単発的なプロモではなく、本作の魅力を継続的にお届けするための大切なパートナーです。
――なるほど。継続的なパートナーシップといえば、2024年5月にはKADOKAWAとの資本業務提携も発表されています。本作の魅力をまとめたファミ通名義の冊子や、コミカライズとノベライズのお試し版を収録した160ページ超の冊子が配布されたりと、非常に力が入っていると感じました。
イ・ドンギョKADOKAWAのような大手とご一緒できるとは……と私たちも感動しました。TGSも昨年まではVIC GAME STUDIOS単独での出展でしたが今年はNCSOFTさんとKADOKAWAさんの協力や助言を得て、よりよいブース出展ができたと思います。おかげで弊社は開発に集中できる環境になり、おもしろいゲームをお届けするためにより一層の注力ができています。

――ゲームそのものだけでなく、今後の展開にも期待しています。プラットフォーム展開についても教えてください。PCとスマートフォンのほか、家庭用ゲーム機でのリリースは考えておられますか?
アン・ジンホはい。ロンチではPCとスマートフォンのみですが、そう時間を空けないうちにPlayStationでもリリースしたいと考えています。
――選択肢が増えるのはいいですね。それでは最後に、本作を待つ人たちへのメッセージをお願いします。
イ・ドンジュン特定の要素だけに力を入れているわけではありませんが、「ストーリー」と「手触りのよいアクション」に期待していただければと思います。PCとスマートフォン、どちらでも等しく楽しんでいただけるように制作していますので、お好きなほうで手に取っていただけたらうれしいです。
ハン・ソクジュンメインストーリーはオムニバス形式のような短編の積み重ねではなく、アクションをまじえながら一つの長尺の物語を描いていきます。物語を追っていただく程でキャラクターを魅力的に感じていただくのも大切なことだと思っていますので、ぜひキャラクターにも注目してください!
アン・ジンホリリースに向けて、本作を応援してくださるみなさんと触れ合える機会をどう増やしていくか、常に考えています。イベントなどへの参加・出展を積極的に行ってみなさんのお声を聞いて随時フィードバックしていきますので、よろしくお願いします。
イ・ドンギョコミカライズやノベライズは、TGS会場で配布した冊子はあくまでお試し版であり、今後の展開の準備もしっかりできています。まずはそうしたところから本作の世界に触れていただいて、リリースを楽しみにお待ちください!