2015年にローンチされたスマホゲーム『FGO』が、早いもので10周年を迎えました。長年追いかけてきたユーザーのみなさんにとっては感慨深いでしょうが、今年は作品的にも大きな節目の年となります。2025年冬にメインストーリー第2部「Cosmos in the Lostbelt」がついに完結するのです。……そう、完結してしまうのです。
「ラスボスはやっぱり“あの人”なのか?」「どんな結末を迎えるのか?」「第2部が完結したあと『FGO』はどうなるのか?」「そんなことより今年の水着サーヴァントは誰なの?」などなど、期待と不安に胸を膨らませている方もいるでしょう。ここでひとつ言えるのは、2025年冬に『FGO』史上最大の戦いと盛り上がりが待っているということです。2016年末に第1部 終章で大規模なレイドバトルが繰り広げられた際には、スマホゲーム史に残る盛り上がりを見せました。

第1部から続くすべての謎と伏線が回収される(はず)の第2部 終章では、それを上回るお祭り騒ぎになるのは確実です。まだ『FGO』に触れたことのない方も、今から始めればギリ追いつけます。より多くの方にこのビッグウェーブをともに感じてもらうべく、サービス開始当初からプレイし続けている筆者が『FGO』の魅力を語っていきたいと思います。
また、記事後半では筆者がこの10年を振り返りつつ、独断で選んだ「お気に入りの名シナリオTOP 5」をご紹介します。こちらはネタバレ全開のため、未プレイの方はご注意ください!
『Fate/Grand Order』公式サイト『Fate』を知らなくてもハマれるストーリー!
『Fate/stay night』に触れたことはなくても、名前くらいは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ざっくりいうと「あらゆる願いを叶える『聖杯』を手に入れるため、7人の魔術師が伝説や神話に登場する英雄を召喚し、『サーヴァント』と呼ばれる使い魔として戦わせる」というバトルロイヤルものです。
『Fate』の派生作品はゲームからアニメ、コミカライズ、さらに小説などたくさんあって、それぞれ世界観を共有していたりしていなかったりしますが、「7組の魔術師とサーヴァントが戦う」という基本設定さえ知っておけば大丈夫。どの作品から入っても十分楽しめます。ちなみに原典の『Fate/stay night』はSteam®やNintendo Switch™でも遊べるし、iOS & Android版は「セイバールート」を無料でプレイできます。

『FGO』はそんな『Fate』シリーズの一作品ですが“続編”や“外伝”ではなく、物語上の直接的なつながりはありません。「『Fate』は作品数が多すぎて、どこから入ったらいいのかわからない」と敬遠する方もいますが、『FGO』から入ったという古参マスターも少なくないんです。
過去シリーズの要素はたま~にスパイス程度に感じることはありますが、「あの作品を知らないと物語が理解できない」ということはないので、『Fate』未経験の方も安心してプレイしてもらえると思います。
初心者向け『FGO』ざっくり物語解説
では、ここで『FGO』第1部の物語をざっくり解説しましょう。
もうじき世界が滅ぶことがわかった!
何者かが過去の歴史を変えたのが原因らしい!
改ざんされた歴史の「特異点」は7つ!
過去の7つの時代に飛んで歴史を元に戻すぞ!
以上です。小難しそうに見えますが意外とシンプルですね。ただ、各エピソードの物語はシンプルではありません。第1章では百年戦争末期のフランスで、「竜の魔女」となったジャンヌ・ダルク率いる竜の軍勢と戦ったり、第2章では古代ローマを舞台に皇帝ネロと協力して歴代皇帝が集った「ローマ連合帝国」相手に大立ち回りしたりと、骨太かつ壮大なストーリーが描かれます。




さらに、第1部のラスボスを倒しても物語は終わりません。そこから開幕する第2部では、突如として襲来した予想外の敵との過酷な戦いが幕を開けるのです。


物語中では胸をえぐられるような悲劇や、非道な敵に反撃の一撃を見舞うスカッと展開、そして登場キャラクター同士の思わずほっこりするやりとりなど、多彩な感動をたっぷり味わえます。シナリオのボリューム感とクオリティは、おそらくスマホゲームのなかでは最高レベルなのではないでしょうか。それを基本無料で楽しめてしまうのだから、恵まれた時代だなぁ……と思わずにはいられません。
『Fate/Grand Order』公式サイト『FGO』を始めるなら今しかない!
『FGO』を一から始めるなら、実は今が一番いいタイミングかもしれません。第2部のラストを飾る「終章」が2025年冬に開幕しますが、タイムリミットまではあと約5カ月。それだけあれば、第1部と第2部、そして「奏章」をギリギリ走破できると思います(かなり厳しいですが……)。今から5カ月間、最終決戦に向けて全力で走り抜けるというのも、それはそれで他にないゲーム体験になるのではないでしょうか。特に第1章は「フレンド機能」で先輩マスターから強いサーヴァントを借りれば、ほとんどの戦いを楽に乗り越えられるはずです。

また、8月には10周年記念サーヴァントや水着サーヴァントなど、新キャラが続々と実装されます。特に水着サーヴァントのうち何騎かはかなり強力なのが通例なので、ゲットできれば攻略もよりはかどるでしょう。
がっつりシナリオを読むタイプのRPGが好きな方なら、きっと『FGO』にもハマれるかと思います。この5カ月を「人理」を取り戻すため駆け抜けて、そして共に最終決戦に挑む高揚感を味わってみてください。
ライターが独断で選ぶ! 名作シナリオTOP 5
さて、ここからは『FGO』歴10年のライターが選ぶお気に入りのシナリオ(メイン&期間限定イベント混合)を、ランキング形式でご紹介したいと思います。なお、最新シナリオまで進めているユーザーに向けた内容となるため、終盤のネタバレを含むので本編未プレイの方はここで読むのを止めるか、覚悟の上でご覧ください。
それでは、第5位からいってみましょう!
第5位 昭和キ神計画 ぐだぐだ龍馬危機一髪! ~消えたノッブヘッドの謎~
経験値氏がシナリオを手掛ける「ぐだぐだシリーズ」は、毎回“シリアス”と“ぐだぐだ”が絶妙な配分でブレンドされていて、楽しみにしているユーザーも多いのではないでしょうか。そのなかでも「ぐだぐだ龍馬危機一髪!」はややシリアス成分多めで、幕末モノ好きの筆者の心にビシバシ刺さるものでした。



新&旧龍馬の対決はもちろん熱かったものの、このイベントで一番株を上げたのは高杉晋作でしょう。ここではバトルグラフィックもない敵NPCとして立ち回っていましたが、軽薄そうでいて何を企んでいるかわからない底知れなさがあり、それでいて詰めが甘いというなんとも魅力的な人物として描かれていました。2年後にプレイアブルキャラとして実装されたのも、その人気ぶりを受けてのことでしょう。
第4位 サーヴァント・サマー・フェスティバル!
夏の水着イベントは『FGO』ユーザーにとって年に1度の特別なお楽しみ。そのなかでも今でも鮮烈に印象に残っているのは、2018年の水着イベ「サーヴァント・サマー・フェスティバル!」です。「サーヴァントたちが即売会に出品する同人誌を描く」というテーマは、毎回コミカルな内容の水着イベのなかでも特にぶっ飛んでいました。


しかし、ただ同人誌制作をして水着サーヴァントたちとキャッキャウフフしているだけではありません。この特異点での問題を解決するまで、同じ7日間を繰り返す“ループもの”の要素も光っていました。前回の失敗を糧にトラブルを回避しつつ、少しずつ真相に近づいていく物語は、『Fate』シリーズのひとつ『Fate/hollow ataraxia』っぽさを感じさせました。
なにより、このイベントでヒロイン格として描かれたジャンヌ・ダルク〔オルタ〕の魅力がとても鮮烈で、それ以降不動の人気を博したのも印象深いです。

第3位 魔法使いの夜アフターナイト 隈乃温泉殺人事件 ~駒鳥は見た!魔法使いは二度死ぬ~
『FGO』のメインシナリオライターであり総監督である奈須きのこ氏が手掛けたノベルゲーム『魔法使いの夜』とのコラボイベントです。「アフターナイト」の副題通り『魔法使いの夜』の後日談ともいえる内容で、青子や有珠、そして草十郎といった登場人物たちとの再会は『まほよ』ファンにとっては涙ものだったといえるでしょう。



そしてなんといっても、大人になった鳶丸の近況に全『まほよ』ファンが驚愕したはずです。私もびっくりしました。「お前、“あの子”と結婚しとったんか! よくやったなワレェ!!」と、大変ほっこりさせていただきました。

第2位 第2部 第7章 黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン
第2位に選ばせてもらったのは、数あるメインストーリーのなかでも冒険活劇的エンタメとアクの強いキャラクターたち、そして『FGO』史上もっとも絶望的な戦いを盛り込んだ第2部 第7章「ナウイ・ミクトラン」です。
この章で訪れる世界では恐竜が霊長となっており、見た目はいかついけれど明るく穏やかな彼らとの交流は、殺伐とした物語に添えられた清涼剤のようでした。特に本章のキーパーソンであり、メガネをかけたインテリ世捨て人のテペウさんは、奈須きのこ作品のひとつ『月姫 -A piece of blue glass moon-』の“あの人”を思い起こさせてグッとくるものがありました……。


また、メインの登場人物たちの個性が強烈でした。第2部のラスボスと目されていたU-オルガマリーが主人公たちの仲間になり、共に行動することになるなんて誰が想像したでしょう。しかもこれがまたいいキャラで、いずれは敵味方に別れるとしても、このなごやかな時間を少しでも味わっていたい……と思わせる人でした。


そしてなんといっても「ナウイ・ミクトラン」で外すことができないのは、TYPE-MOON世界で“物理系最強”とされているORTとの戦いです。これまで見たことがない体力ゲージの多さと、「倒したサーヴァントを吸収する」という凶悪なギミックがユーザーに絶望感を刻み込みます。一度の戦いではどうやっても倒しきれないので、何度も挑んで体力を少しずつ削っていくのですが、味方が倒されるたびに吸収されて出撃できるメンバーが減っていくというのは相当精神にきました。
単騎で出撃した仲間が決死の宝具発動でORTの体力を削り、一矢報いながらも力尽きて吸収されていく――。ピキーンという音とともに緑の結晶と化すのを見るたびに、筆者のゆるめの涙腺はもろくも決壊するのでした。
『Fate/Grand Order』公式サイト第1位 第2部 第6章 妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ
個人的第1位は……! おとぎ話のような妖精國を舞台に展開する壮大かつ緻密な群像劇を描いた第2部 第6章「アヴァロン・ル・フェ」です!! 文庫本に換算すると4冊分もの大ボリュームを誇る物語がヒロイックかつ残酷に紡がれ、そして最後ははかなくも壮絶な終焉を迎える――。エンディングにたどり着いたあとは、しばらく虚脱状態になって何もできなくなるほどの感動を味わいました。


群像劇として描かれる本章は味方陣営だけでなく、敵陣営の人々にもスポットが当てられ、それぞれの思惑や過去が緻密に描かれていきます。主人公の仲間であるアルトリア・キャスターやオベロン、討ち取るべき異聞帯の王・モルガン、彼女に仕える3騎の妖精騎士たち、そして妖精國に住まうさまざまな勢力の妖精たち。他の章に比べても破格といえるほど登場人物が多く、語りだすとキリがありません。




衝撃的な展開も両手の指では数えられないほどありますが、もっともびっくりだったのはオーロラさんの本性です。一番おっとりふんわりしているように見えた美人が、一番ヤバい人だったとは……。

「アヴァロン・ル・フェ」は戦闘面でも絶望を味わいました。ORT戦は精神的にきつかったのですが、本章終盤で戦ったケルヌンノスは今でもトラウマになるほど強かった。私は令呪だけじゃ足りなくて石を割りながらゴリ押しで倒しましたが、コンティニューなしでクリアできた人は当時いたのでしょうか?
さて、思わず長々と語ってしまいましたが、ここまで『FGO』歴10年で現役マスターの筆者が独断で選んだ名作シナリオランキングをお届けしました。とはいえ、『FGO』の名シナリオは当然5本にはとどまりません。
今回紹介した以外にも、読者の皆様にとって「これだけは語りたい!」というシナリオもあることでしょう。本稿をきっかけに、皆様もこの10年を振り返り、お気に入りのシナリオを語って頂ければ幸いです。
改めて振り返ると筆者自身も内容をいい感じに忘れているので、第2部 終章が開幕するまでにお気に入りのシナリオを読み返してみようと思います。みなさんもぜひあの感動を再度味わいながら、10周年イヤーの展開に期待しましょう!
『Fate/Grand Order』公式サイト