
配信プラットフォームSteamを運営するValveは、コンテンツの配信に関するルールとガイドラインを更新しました。
決済代行業者などの基準による「特定の成人向けコンテンツ」を規制

今回の更新が行われたのは、開発者向けツールサービスであるSteamworks内のドキュメント。このガイドラインではさまざまなヘイトスピーチをはじめ、適切な年齢制限が設けられていないアダルトコンテンツや名誉を毀損するものなど「配信するべきではないコンテンツ」の基準を定めています。
ヘイトスピーチ(人種、宗教、性別、年齢、障がい、性的指向などに基づき、特定の集団に対する憎悪、暴力、差別を煽る表現)
実在する人物のヌードや露骨な性的画像
適切な年齢指定および制限が行われていないアダルトコンテンツ
中傷的または名誉棄損的陳述
所有していない、または適切な権利を持っていないコンテンツ
裁判管轄区域の法律に違反するコンテンツ
嫌悪感やショックを与えることが意図されている、または明らかに不快なコンテンツ
子どもを不当に扱う一切のコンテンツ
マルウェアやウイルス等、予期できない、または有害な方法でユーザーのコンピューターに変更を加えるアプリケーション
Steam認証情報や財務データ(クレジットカード情報)などの個人情報を不正収集するアプリケーション
Steamで配信されている製品と直接関係のない動画コンテンツ
インタラクティブではない360 VR動画
暗号通貨またはNFTの発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション
広告ベースのビジネスモデルを備えたアプリケーション
日本語のページでは新たに追加された部分の確認が出来ないものの、英語版の「Onboarding(登録作業)」セクションでは更新されたガイドラインを確認できます。英語版ガイドラインではこれまでの14箇条に加えて、新たに15個目の項目が追加されています。
Content that may violate the rules and standards set forth by Steam’s payment processors and related card networks and banks, or internet network providers. In particular, certain kinds of adult only content.
(Steamの決済代行業者、関連するネットワーク、銀行、またはネットワークプロバイダーが定めるルールや基準に違反する可能性のあるコンテンツ。特に、特定の種類の成人向けコンテンツ。)
この文章が意味するところはつまり、Steamは特定の内容を含む成人向けコンテンツに対して「規制」を行う可能性があるかもしれないということです。なお、特定のジャンルや内容の例示などについては、明確な線引きはなされていません。
しかし一方で、近親相姦や合意に基づかない行為など過激な内容が「性的暴力を助長する」として、成人向けタイトルの『No Mercy』が英国政治家などの要請によって販売停止を余儀なくされるという事例が今年の4月にもあり、判断基準のひとつとなるかもしれません。
また、DLsiteやPixiv Fanbox、Patreonといったこれまで「表現規制」を受けてきたプラットフォームのガイドラインと照らし合わせてみると、過度な暴力や合意に基づかない性行為、近親相姦や性的搾取といった内容が含まれるゲームはSteam上でも規制の対象となる可能性があります。
Steamの成人向け作品やクレカ決済はどうなる?
今回のガイドライン更新により、特定のジャンルや内容を含んだ作品はSteamでのガイドラインに違反するとして、作品の削除などアクセスできなくなる措置を執られる可能性が考えられます。
また、これまでにもゲーム業界だけでなく、あらゆるコンテンツを取り扱う業界でVisaやMasterCardといったクレジットカードでの決済ができなくなるなど、「クレカ問題」は幾度となく話題となってきました。
Game*Sparkではこれまでの「クレカ問題」に関する記事や、日本のデベロッパーが銀行からの送金拒否によって収益を受け取れなかった事例なども紹介しています。
成人向けのタイトルも幅広く取り扱っていたプラットフォームであるSteamですが、今後は他と同様に特定のコンテンツの規制が厳格化されていくのでしょうか。Valveの声明や実際に規制されるタイトルが登場するのかなど、今後の動向にも注目です。