
2025年5月8日、KONAMIからスイッチで『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』がリリースされます。インサイドでは先行プレイレポートをお届けしましたが、1994年のPCエンジン版『ときメモ』リアルタイム勢の筆者はとても懐かしい気持ちになりました。
この記事では、そんな平成初期(1994年=平成6年)の学生ライフ事情、清い男女交際事情(の一部)を振りかえってみようと思います。昔話ですが、よろしくお付き合いください。
◆気になる子に電話をかけよう……自宅の固定電話へな!
94年当時の学生には、携帯電話などというものは影も形もありません。学校から帰宅後に連絡したくなったら、自宅の固定電話から相手宅の固定電話にかけるのが普通でした。当時の固定電話は、居間やリビングに置かれている家庭が一般的だったでしょうから、気になる女の子に電話するとしても、本人が電話に出てくれるともかぎりません。その子の家族が応対する可能性も十分にあります。
そんな時は「●●(自分の氏名)といいますが、▲▲さん(当然、苗字ではなく名前でいう必要があります)はいらっしゃいますか」と挨拶しなければなりません。兄弟姉妹ならまだしも、電話に出たのが気になる子の親だったりしたら、気まずすぎてすでにある種の罰ゲーム状態です。ちなみに『ときメモ』でも、親友・好雄の家へ電話をかけると妹の優美ちゃんが電話に出てくれることがあります。

余談ですが、PCエンジン版『ときメモ』発売から数カ月後となる1995年頃からは、高校生の女の子たちの間で携帯電話の前身となるPHS(Personal Handy-phone System)、小型通信機器であるポケベル(ポケットベル)、ついでにルーズソックスや茶髪が爆発的に流行。オシャレも含め時代の先端をいく女の子たちはやがてコギャルと呼ばれるようになり、昔の話とはいえ、今日でも比較的想像しやすい姿になっていきました。
『ときメモ』は、まさに時代の過渡期に生まれた作品だったわけですね。中学3年の頃に受験勉強しつつ『ときメモ』で高校生活を予習していた筆者は、高校に入学して「なんだか思っていたのと違うな!?」とギャップで風邪を引きました。
◆電車が混んでも待ち合わせには遅れないというアレ
前述したPHSやポケベルすらまだ普及しきっていなかった時代は、女の子とデートの約束をできても当日の待ち合わせでまた一苦労。家を出たら最後、現地で合うまでお互いに連絡を取る手段がないからです。
約束の時間までにきちんと集合場所に着いていればよいですが、何らかの事情で遅れてしまったら、相手を不安にさせてしまうこと請け合いです。そんな事情から、当時は待ち合わせした際に「ごめん、待った?」「こっちも今来たところ」とやりとりするのも普通のことでした。


『ときメモ』にもこうした時代性は再現されており、流行に敏感で遊ぶのが大好きな朝日奈さんとデートの約束をすると、デート当日の待ち合わせ場所に走ってきたであろう彼女から「ごめんね。電車がもろ混みで…。」と挨拶されたりします。当時のラブコメ/ラブストーリー作品では「集合場所を聞き間違えて名前がよく似た別の場所に行ってしまい、会えずじまいですれ違ってしまう」なんてシーンも定番のひとつでした。

◆学校は学び舎ではなく気になる子にアプローチする場である(言い過ぎ)
「ケータイがないことによる生活様式の違い」はまだ続きます(これが本当に大きいので!)。前述したように、自宅から相手の家へ毎日のように電話をかけて長話するのは、いろいろな意味であまり現実的ではありません(お互いの親公認の交際であれば、ほほえましく見守ってくれるかもしれませんが)。
つまり、気になる子と交流したいなら学校にいるときが勝負ということになります。いわば下校時は「その日のラストチャンス」。「よかったら一緒に帰らない?」と声をかけることで、さまざまなドラマが生まれるのです。「一緒に帰って友達に噂されたらはずかしい」と断られたりね!


ちなみに、1999年に発売された『ときめきメモリアル2』では、校内で女の子に会ったときに“呼び方を変えてみることができる”という手に汗を握るシステムがありました。「今までは苗字を「さん付け」で呼んでいたけれど、仲よくなってきた(気がする)からそろそろ名前で呼んでみようか……」と決断するのは、ゲームであってもドキドキでした。『ときメモ2』もリマスターされないかな……。
令和の現代と比べると不自由なこともたくさんありましたが、当時ならではのドキドキもあった(と思いたい)平成初期の恋愛事情。『ときめきメモリアル』は個性豊かな少女が大勢登場しますが、そんな時代性の一端を味わえる作品でもあります。もしスイッチの『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』で初めて本作に触れる方がいたら、そんなところにも注目してみてください。
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※記事で使用している画面写真はPCエンジン mini収録のものです