
豪ブリスベンの地裁が4月1日、YouTuberのKarl Jobstさんによる、『ドンキーコング』世界記録保持者のBilly Mitchellさんに対する名誉棄損を認め、35万豪ドル(約3,300万円)と利息および費用の支払いを命じました。
Mitchellさんは1980年~1990年代にかけ、『パックマン』のパーフェクトスコアや『ドンキーコング』のRTAなど、複数の記録保持者として広く知られるゲーマーです。2018年には『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』でのRTA記録に関して、アーケード用筐体ではないエミュレーターを使用した疑惑により一時はスコアが削除されましたが、その後新たな証拠や証言をもって名誉を挽回、2020年のギネス世界記録にもその名を復活させたという過去を持つ人物。一方、35万豪ドルの支払いを命じられたKarl Jobstさんは主にRTAなどのゲーム関連の記録、ゲーム内での不正行為といったコンテンツを配信するゲーム系YouTuberです。
“ビデオゲーム史上最大の詐欺師”と題した動画が発端に

ただし、今回の裁判の争点はMitchellさんが保持する記録には一切関係がありません。先述の数々のゲーム記録について、また別のYouTuberが2020年に「不正行為による記録だ」とする動画を投稿。この動画を巡ってMitchellさんは訴訟を起こし、最終的には問題の動画の削除、Mitchellさんに関する発言を今後行わないといった条件で和解したものの、同年12月にYouTuberの自殺という結末を迎えてしまいました。
Jobstさんは2021年、“The Biggest Conmen in Video Game History Strike Again!”(ビデオゲーム史上最大の詐欺師、再び現る!)という扇情的なタイトルの動画を公開。その内容は上記の2020年のYouTuber自殺の一因が「訴訟と100万ドルの損害賠償金や、Mitchellさんに精神的に追い込まれたことにある」とするもので、Mitchellさんがその死を「喜んでいた」と示唆したとのこと。(※実際にはこの判決による金銭の授受は行われなかった)動画は50万回再生され、Mitchellさんが名誉毀損の訴訟を起こしたという次第です。
英メディア「The Guardian」によれば、判事はKarl Jobstさんに対して5つの名誉棄損を認め、損害賠償として30万豪ドル、加重損害賠償として5万豪ドル、さらに利息として3万4,000豪ドルの支払いを命令。動画公開前にきちんと調査を行わなず、真実について「驚くほど無関心だった」と述べたとのことです。
JobstさんはXにて「私の負けです 裁判官はBillyが信頼できる証人であることを認め、彼の証言をすべて信じた。その時点から、残念ながら私を救えるものは本当に何もなかった。」と投稿。さらにYouTuberの死因について「私は故意に嘘をついたことはありません。複数の情報源から誤った情報に頼ってしまった。情報が不正確だと確認できた時点で発言を撤回しましたが、十分ではなかったようです」とし、「今日の判決は正しいものではなかったと今も信じています。いつかは全てを議論する動画を制作するつもりです」とも述べています。