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巨大な少女との生活ADV『SAEKO: Giantess Dating Sim』試遊レポ&インタビュー「“冴子”の残酷さだけじゃない、少女としての魅力や悩みを感じ取ってもらいたい」【TGS2023】

中学生時代から「巨大娘」が好きだったというkyp氏。さまざまな魅力を伺いました!

ゲーム Steam
巨大な少女との生活ADV『SAEKO: Giantess Dating Sim』試遊レポ&インタビュー「“冴子”の残酷さだけじゃない、少女としての魅力や悩みを感じ取ってもらいたい」【TGS2023】
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HYPER REALは、インディーゲームスタジオSAFE HAVN STUDIOの手がけるビジュアルノベル『SAEKO: Giantess Dating Sim』をPC(Steam)向けに2024年リリース予定です。

本作は、2000年代の日本を舞台に不思議な能力を持つ少女“冴子”と、彼女に縮められた小人たちの生活を描く作品。プレイヤーは小人の一人となり、昼は机の引き出しで仲間の小人と生活しながらパラメーターを管理し、夜は巨大な冴子と命をかけて会話を楽しむ事ができる作品です。

本稿では「東京ゲームショウ2023」にて展示されていた試遊版のプレイレポートと、メイン開発者のkyp氏へのインタビュー内容をお届けしていきます。

小人生活はあまりに衝撃的

今回の試遊では小人と生活する昼間の生活パート「1日目昼」と、“冴子”と会話する「1日目夜」の2つの場面をプレイ可能でした。

昼パートは他の小人仲間と会話しながら物語を進めていく形式。状況に応じて引き出し内にあるアイテムをドラッグアンドドロップで渡すことで、小人たちのステータスが変わったり会話が発展したりします。今回の試遊版ではお腹が空いたという“チオ”に、レーションを食べさせるためのちょっとした仕掛けが用意されていました。

画面内にあるオブジェクトを調べると細かな情報も表示されます。その後、もう一人の小人仲間“イルマ”が求めるものを渡して「ああ、みんなと絆を結んでいくんだなあ」と思っていたのですが、ここで急転直下。部屋に帰ってきた巨大な“冴子”が、美味しそうな状況になっている“イルマ”を持ち上げて……ペロリ。いきなり仲間を一人失った衝撃を忘れられぬままに昼パートの試遊は終了しました。

続いて夜パートは、勉強中の“冴子”の会話相手を務めるパートです。プレイヤーは“冴子”の会話に合わせて「うん」「いいえ」などの相槌をいつでも打つことができます。“冴子”は占いについての話など、他愛もない会話をこちらに投げかけてくるのですが、その状況に応じて会話を進めていきます。

しかし、この会話でタイミングや返事を間違えれば“冴子”はこちらに手を伸ばしてあっさりと殺されてしまうので注意が必要です。話が進めば相槌の選択肢が増えて、より彼女に寄り添った会話ができるようになっていきます。

命の危機はあるものの、夜パートは不思議なほど心地よく“冴子”との会話を楽しみたくなる魅力があります。しっかり相手の話を最後まで聞いて返事をする……そこには恐怖だけでない、ちゃんと向き合わなければならない関係があるのだなと思わされました。

『SAEKO: Giantess Dating Sim』開発スタッフインタビュー

――まずは自己紹介をお願いします!

kyp氏 SAFE HAVN STUDIOのkypといいます。現在は『SAEKO: Giantess Dating Sim』というゲームを手がけています。

『SAEKO: Giantess Dating Sim』は3人体制で制作していて、僕とグラフィックを描いてくれているKohくんとデザイナーの方でプロジェクトに取り組んでいます。

――作品の開発経緯やコンセプトについて教えてください

kyp氏 そもそもとして、僕が巨大な女の子が出てくる小説が好きなんです。それと『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』みたいな、海外の少し暗めのノベルゲームが好きで、それらの要素を組み合わせたら面白くなるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

――プレスリリースの中で、kypさんは「2000年代のネット文化・作品を自分なりに再解釈する試みの作品」というお話があります。当時どれくらい、またどのような作品を体験してきたのでしょうか?

kyp氏 僕は中学生時代にコンピューター部に入っていたので、色々とディープなネット文化に触れてきたと思います。特に『SAEKO: Giantess Dating Sim』の原案となる笛地静恵さんの作品は本当に大好きで、2日に1回は読んでいるくらいでした。

ゲームの舞台設定は2007年です。2002年くらいに書かれた笛地静恵さんの作品に登場する“冴子”は当時中学生という設定なのですが、それだとちょっとゲームには出せなくなってしまうので、7-8年経った大学生になった“冴子”という設定で作品に登場しています。

『SAEKO: Giantess Dating Sim』を開発するにあたって、笛地静恵さんからも“冴子”に関するさまざまな了解はいただいています。ただし、色々と設定を変えているので、「原作」ではなく「原案」として使わせてもらっています。

――やはりとてもインパクトの強い、素晴らしいグラフィックが特徴的です。グラフィック担当のkoh氏とはどのようなお話をした上で作品を作っていったのでしょうか?

kyp氏 kohくんは僕の大学の一個下の後輩で、同じ創作サークルでゲームを作ったりもしていたんです。その後はお互い就職して、最初は僕一人で『SAEKO: Giantess Dating Sim』を制作していました。

でも、絵はやっぱり上手い人に頼みたいなと思って。それでKohくんに恐る恐る「巨大娘というジャンルがあって……」という話をしたんです(笑)。嬉しいことにKohくんも原案小説を読んで気に入ってくれたので、そこからはしっかりと話し合いながら僕らなりの“冴子”を形作っていきました。

――Steamストアページの紹介では「ミニマルな全年齢向けビジュアルノベル」と紹介されている一方で、成人向けの説明もあります。とても気になりましたが、どちらが正しいのでしょうか。

kyp氏 事実としては、少しエッチな話があるなど成人向けの要素がしっかりあります。でも、あくまでも物語として書きたいのはエロではなく、ストーリーの深さを描きたかったんです。なので、全年齢と描いたのは自分に言い聞かせるためでもありますね。

僕の好きなゲームに『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』があります。作品の中では会話の中で下ネタやアダルトな話もあるんですが、ゲーム自体は決してそういう目的じゃないんですね。『SAEKO: Giantess Dating Sim』でも、そういった会話や裏ではアダルトな部分はあるものの、決して主題にはしない、そういった方向性を目指したいなと思いました。

――笛地静恵氏の原案小説も読ませていただきました。原案の“冴子”は非常に奔放なイメージが強いのですが、そこには「少女」としての精神性があると思います。そういった部分も表現したいという感じでしょうか。

kyp氏 “冴子”は怖いし強い存在でもあるんですが、ただそれだけの少女ではないんです。普通の女の子でもあるし、女子大生だし、色々な悩みも持っています。

誰かが支えてあげられたら、小人を殺す以外の選択肢や人生の関わりを選べるようになるかも知れない。そういったお話を描写したいのはありますね。

――原案小説の先の話であるひとつの「if」を書こうという気持ちが伝わってきます。

kyp氏 原案の“冴子”はとっても無邪気なところがありますよね。もちろんこれはあくまで僕なりの解釈でしかないんですが、“冴子”も歳を重ねていくうちに無邪気なだけじゃいられなくなるんだろうなと。

これは元々考えていたわけじゃないんです。ゲームとして“冴子”を出すときに中学生で、しかも性的な要素があるのは出せないと思いました。そこで大人として登場させようと思い、じゃあ女子大生になった“冴子”はどうなっているんだろうと自分なりに考えた結果でもあります。

――ゲーム的な意味で設定を作り、そこに自分なりの解釈があるんですね。本当に好きな作品だからこそできることだと思います。

kyp氏 ありがとうございます。

――ゲームパートについて。昼のサバイバル部分で色々とゲームの展開は変わっていくのでしょうか?

kyp氏 昼パートは会話での選択肢などがないので、部屋にあるアイテムをプレイヤーが誰に渡すのかで小人のパラメーターが変わっていきます。小人にはそれぞれ体力と魅力という数値があって、その変化によって生死に関わっていきます。

できれば誰を生き残らせるのかをプレイヤーの手に委ねて、分岐があるものを作りたいなと思っています。今回の試遊では体験できない部分なのですが、ストーリーが進むと新しい小人も増えていきます。

この小人たちの性格によって、夜パートでプレイヤーが選べる相槌の種類が増えるようにしていきたいです。例えば「仲良くしようよ」という小人が生き残っていれば“冴子”にこちらから「趣味はある?」と聞けたり、その逆もある感じですね。

ただ、インディーゲームなのでどうしても開発に限界はあります。それでもプレイヤーの皆さんにそういう感覚を楽しんでもらえるようにしたいですね。

――ゲーム内でサバイバル要素はどれくらいあるのでしょうか?

kyp氏 主人公にも体力と魅力の数値は設定されているので、こちらも管理する必要があります。ただし、あまりシミュレーション要素を強くしすぎると、シナリオを作りづらくなってしまうかなとも思っています。

現在の開発状況では最終的にどうするかはまだ決まっていませんが、やはり『SAEKO: Giantess Dating Sim』では一本の物語を楽しんでほしいなと思っています。

――ゲームではどれくらいのエンディングや結末があるのでしょうか?

kyp氏 今のところは複数のエンディング候補があります。でも、せっかく作るなら本当に納得できるものにしたいので、多分最終的に1つか2つくらいに絞られて行くんじゃないかなと思います。

例えば夜のパートだと、今のビルドでは選択に失敗したら問答無用で殺されてしまいます。でも、ストーリーを進めていくうちに“冴子”もこちらをただのオモチャじゃないように扱うようになってきて、間違えた選択をしても「どういうこと?」と聞き返してくれるようなシステムも考えています。

――ズバリ、kyp氏にとっての「巨大娘」の魅力を教えてください!

kyp氏 中学生の頃に出会って以来ずっと好きなジャンルなんです。現実では絶対起きないことなので、色々な想像の余地があったり、テンプレートがないからこそ創作小説も個性的で面白いものが本当にたくさんあるんです。

色々な小説を読んできましたが、やはり一番強烈な出会いは笛地静恵さんの“冴子”に関する小説だったんです。ただ性的な要素だけじゃなく、文学的な要素もあって、何度読んでも新しい発見があるんです。

――小説をいくつか読んで、確かに文学作品としても面白いなと思いました。出てくる主役の小人によって雰囲気も“冴子”への解釈も違うし、それに対する“冴子”の奔放さのリアクションも違っていて興味深いです。

kyp氏 ゲームと原案小説はもちろん別物なんですが、そういった衝撃性や“冴子”のもつ人間性、少女性、さまざまな部分をゲームとして描写できればいいなと思っています。

ゲームの“冴子”も、長年さまざまな「遊び」をやってきた上で悩んでいる部分があります。そこにどう向き合っていくか、それはゲームのテーマとしてあるので、プレイヤーのみなさんも色々感じ取っていただければ嬉しいですね。

――今回、先に原案小説を読んで良かったなと思います。

kyp氏 原案の“冴子”はものすごく残酷な女の子でもあるんですが、一方で少女としての部分も印象的に描写されています。僕もゲームの中でそれができれば嬉しいなと思っています。

原案を含めてかなりハードな部分は多いんですが、ゲーム内ではなるべく直接的な表現は書かないようにしています。事実としてはそういうこともあるんですが、そこは想像の余地をしっかり持たせられるようにしたいですね。

――読者へのメッセージと『SAEKO: Giantess Dating Sim』の魅力をお願いします!

kyp氏 さまざまなメディアさんにゲームを紹介してもらって「巨大な女の子に襲われる」みたいな、キャッチーな部分は伝えられてると思います。でも、『SAEKO: Giantess Dating Sim』はそれだけのゲームじゃなく、もっと深い部分の魅力を感じられる作品を目指して作っています。

ジャンルとしては相当ユニークなゲームだと思います。プレイしていただいた人が少し違った価値観を得られるような、そんな体験を提供できれば嬉しいと思っています。今後は体験版配信の予定もありますので、ぜひとも『SAEKO: Giantess Dating Sim』を楽しんでもらえれば嬉しいなと思います!

――ありがとうございました!


『SAEKO: Giantess Dating Sim』はグラフィックや音楽、なんとも衝撃的な展開など、さまざま魅力的な要素が目白押し。原案小説を元に自分なりに解釈したという“冴子”はとても美人で怖く、そしてどこか不思議な少女性を持っています。

kyp氏は本作について「20人プレイして19人は笑ってるけど、1人は心の奥にジャンルに対する何らかの形が残るような作品になって、そこから興味を持ってくれるなら嬉しい」とのこと。2000年代のディープなネットの文化が受け継がれていく、そういった作品として『SAEKO: Giantess Dating Sim』は今後も要注目です!

《Mr.Katoh》
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