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ゲーパスは好調? そもそも“ゲーマー”なの? マイクロソフトCVPサラ・ボンド氏合同インタビューで「ゲーム熱」を直に訊いた【TGS2023】

日本やアジア地域におけるXboxの展開などについて訊きました。

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ゲーパスは好調? そもそも“ゲーマー”なの? マイクロソフトCVPサラ・ボンド氏合同インタビューで「ゲーム熱」を直に訊いた【TGS2023】
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東京ゲームショウ2023の開催に合わせて、マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントのサラ・ボンド氏が来日しました。本記事では、21日に同社・品川オフィスにて実施された合同インタビューの様子をお届け。日本やアジア地域におけるXboxの展開などについて、各メディアから質問が投げかけられました。

本インタビューは21日に配信されたXbox TGS Digital Broadcastの内容にも触れられています

――『ペルソナ』シリーズや『龍が如く』シリーズなど、日本発のタイトルがXbox Game Passに展開されるようになったことで、日本のユーザーからの反応に変化はありましたか? また、昨今では日本産タイトルのリリースも多く、日本のデベロッパーが更にXboxコンソールに注目するようになりました。やはり、日本発のタイトルを多く展開してきたことがかかわってきているのでしょうか。

サラ・ボンド氏(以下、敬称略) Game Passを含むXboxユーザーは「自分が遊んでみたい全てのゲームをプレイできること」を重要視していると考えています。「どこの国で作られたのか?」「どんなジャンルなのか?」「どんな特徴があるのか?」など様々な理由でゲームを選ばれると思いますが、Game Passを通じて“今まで自分が予期しなかったものを見つけよう”という気持ちも高められると思います。

そしてアジアの――特に日本のプレイヤーやクリエイター、ゲーム業界には、信じられないような歴史や奥深さがあり、リスペクトしています。そのため、Xboxとしては過去10年間にわたって関係構築に注力してきました。

更に注目されるようになったことについては、おっしゃる通りだと思います。フィードバックを見ていると、そうした声も少なくありません。過去5年間で、日本のクリエイターによる作品が500本ほどGame Passに追加されました。また、アジアではXbox向けに開発するクリエイターが約600名ほどおり、その半分ほどが日本で活躍するクリエイターやデベロッパーです。過去3年間にPC向けのGame Passは4倍に増加しました。このように、継続的に投資した結果としてコンテンツや人間関係が進展しているのは喜ばしく、これからも楽しみにしています。

――eスポーツシーンについてお聞かせください。Game Passに『VALORANT』や『リーグ・オブ・レジェンド』が追加されましたが、ユーザーからの関心はどのようなものでしたか。

サラ・ボンド私たちにとって「eスポーツ」という文化は、“知恵を絞ってプレイする、通常のゲームプレイと違う楽しみ方”だと考えています。普段からゲームを遊ばない人でも「白熱する試合を観て選手に声援を送る」など楽しみがありますし、これまでゲームをプレイしてこなかった人達にその世界を気付かせる優れた手法と思っています。

――マイクロソフトのWebサイトにアクティビジョン・ブリザードの買収について記載がありましたが、ブリザードが「オーバーウォッチリーグ」の運営を止めるかもしれないという情報が出ています。このリーグを完全に買収された後に継続するのか否かについて、現時点の考えをお聞かせください。

サラ・ボンドアクティビジョン・ブリザードについてはまだ買収が完了していないため、こちらから働きかけることはありません。今のところ買収は当局からの判断待ちの状態なので、明確に答えられません。

――ここ数年で、日本におけるGame Pass利用率はどれほど変化しましたか?

サラ・ボンド日本に特化した数字というのは無いのですが、アジア全体ではPCゲーマーの数が過去3年間で4倍の規模に増加しています。フィードバックを確認すると、幅広いゲームがプレイできることに価値を見出していることが分かります。また日本のゲームがGame Passに入ったことで、日本以外に住んでいるプレイヤーも『ペルソナ』や『龍が如く』シリーズ、『キングダムハーツ』などが遊べるため、日本のクリエイターによる作品を海外のプレイヤーが好きになることがあるのです。

――日本のインディーゲームはまだまだGame Passに登場していない印象を受けています。今後、拡充する予定はあるのでしょうか?

サラ・ボンド私たちとしては「Game Passでゲームを幅広く提供すること」に力を入れています。プレイヤーによって多様なニーズがあると思いますし、それに対応できるようなものにしたいのです。そういったニーズに対応することで、幅広いプレイヤーが楽しめる優れた体験を提供したいと思っています。

私たちはクリエイターへの支援を行ってきましたが、その規模が広大な地域におよぶことで、多種多様なゲームが提供できることを考えています。そういった展開をユーザーの皆さんも求めていると思いますし、今後もそういったアプローチを進めていきたいと思います。

――Xbox Series Sのブラックモデル(1TB)が登場して、ゲーマーの選択肢が広がりました。ハードの新バージョンが登場したことで、日本を含めたグローバルでの売り上げはどう変わりましたか?

サラ・ボンドXbox Series S(1TB)がリリースされることになった理由は、プレイヤーからのフィードバックにありました。私たちはプレイヤーが集うコミュニティの声に耳を傾けるようにしています。エクスペリエンス(体験)というのは、プレイヤーを中心として考えなければならないと信じているからです。

私たちの役割は、様々なデバイスや機能など選択肢を開発・提供していくことで、プレイヤーがいつでも全てのゲームを遊びたい時に遊べるようにすることです。このことから、我々による「新しいモノを発表する」というアクションは、プレイヤーのことを中心に考えて決断した結果なのだと考えていただければと思います。

またデベロッパーにもプレイヤーにも、より簡単に速く“繋がること”ができるようにしたいと考えています。プレイヤーからも「もっと簡単に色々なゲームが遊べるように、試せるようにしてほしい」という声をいただいていますし、デベロッパーからも「もっと、プレイヤーが自分達のゲームを見つけやすくしてほしい」という要望が届いています。

――アクセシビリティへの取り組みについてお聞かせください。Xbox アダプティブコントローラーや『Forza』シリーズは、聴覚や視覚に障がいがあるプレイヤーに向けてゲームを楽しむ方法を提供されています。マイクロソフトとして、今後はどういったアプローチができると思いますか?

サラ・ボンド「アクセシビリティ」は、すべての人に関係があるトピックだと思っています。正確な数字ではないかもしれませんが、ゲーマーはおよそ10億人ほど存在していて、その中には何らかの障がいを持っている方もいます。また、人には手の骨を折る事故に遭遇しまったりなど、何らかの支援が必要になることがあるでしょう。ゲームにおけるアクセシビリティを発展させていくためには、業界全体へ啓蒙していくことが必要と思います。

そのため、私たちはデベロッパー向けツールを支援し、アクセシビリティ機能を持たせられるものを開発できるようにしてきました。コントローラーのマッピング機能を筆頭としたツールを用意することで、機能の組み込みに対してもデベロッパーが理解しやすくなると思います。

――私(インタビュアーのうちの1名)の知り合いに、Game Passへゲームを提供しているクリエイターがいます。ユーザーとしては素晴らしいサービスだと思う一方で、開発者としてはビジネスとして「果たしてこのサービスがずっと続くのだろうか?」と気にしています。Game Passがビジネスとしてどういった状況であり、今後のどのように展開していきたいのか、お聞かせください。

サラ・ボンドビジネスモデルとしてのGame Passはとても成功しています。複数の理由がありますが、クリエイター側で見ると「自分のタイトルを見つけてくれる恩恵が大きいこと」。Game Pass加入者側で見ると「もっとゲームを遊ぶようになって、Game Pass対象外のタイトルもよく購入するようになること」です。

これはクリエイターや業界にとっても非常に良いことだと思いますし、エンターテインメントとしての“ゲーム”にもっと多くの人が関わるという効果が生まれています。“ゲーム”というエンターテインメントには様々なコミュニティがありますし、Game Passのライブラリの中で友人などと同じゲームを遊びやすくなっていると思います。

また、“ゲーム”は音楽やテレビ番組といったエンターテインメントと異なり、「追加の収益」をゲーム内で得られることもアドバンテージです。そしてこれはクリエイターからも言われるのですが、Game Passが誕生する前は「クリエイターがリスクを負うこと」が難しかったのです。実際にゲームを作ったとしてもターゲットになるようなプレイヤーが見つからないかもしれない、ということですしかし、Game Passというサービスにより、クリエイターの方々も「革新的なものを作ってみたい」と思ったときに挑戦できるようになりました。総合的に見れば、Game Passは満足できる状況です。プレイヤーにも良いサービスとなりましたし、クリエイターにもメリットがある。そして私たちの事業としても、優れたものになっています。

――多くのゲーマーは、「ゲーム事業を主導する人物には“ゲーム好き”であって欲しい」と願っています。最後に、サラ・ボンドさんご自身のゲームとの関わり方や、好きなゲームについて教えてください。

サラ・ボンドもちろん、私たちはゲームが大好きです。私個人で言えばパズルゲームやプラットフォーマーも好きですし、私のパートナーはFPSなどのシューティングゲームが凄く好きでプレイも得意なのですが、私が手助けすることもあります。私の子どもたちは、『マインクラフト』や『Hi-Fi RUSH』が好きですね。家族で、幅広く様々なゲームを遊んでいます。

個人的に好きなタイトルと言えば『ゴールデンアイ 007』だとか、最近の作品ではないかもしれませんが『Ori』シリーズが好きです。また、ここ数週間は時間があるときに『Vampire Survivors』を遊んでいます。すぐに遊べるゲームということもあって、10分ぐらい時間を見つけると「ちょっと遊ぼうかな」と思ってしまうんですよね。他の皆さんがどのようにゲームを楽しんでいるかも聞いてみたいです。

その上で私は「Xboxの中に自分が好きなモノばかりを入れること」を避けるように、気をつけています。「私の好きなもの」だけでなく「他の人が好きなもの」も提供することを考えている、ということです。様々な方の意識を尊重して理解したいですし、私もそこから考えたものを提供していきたいと思っています。様々なゲームイベントで発表されたタイトルがリリースされた時、プレイヤーの中には「音楽が気に入ったからプレイする」という方もいるかもしれませんし、「ビジュアルが好きだからプレイする」という方もいるかもしれません。あるいは、「恐ろしい体験をしたいからゲームをプレイする」という方もいるかもしれませんね。そのようにして、すべてのプレイヤーの好みを平等に考えたものを提供したいと思っています。

――本日はありがとうございました。


《G.Suzuki》
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