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【追憶ゲーマー】GB版『テトリス』(1989年)―ソ連製パズルゲーでガキ大将の右腕になった話

ゲーマーの記憶に秘められた過去の“思い出話”を、Game*Sparkとインサイドのライターが連載形式でお届けしていきます。今回は1989年6月14日に発売されたゲームボーイ版『テトリス』です。

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本当に夢中になったゲームの体験は、若かりし頃でも、たとえ幼少時代のことであっても、記憶に深く刻まれています。祖母とゲーム屋に並んだ発売日、一緒にプレイしたクラスメートの笑顔、家族に隠れてこっそり遊び続けた日々……。そうした当時の出来事も、まるで昨日のことのように鮮明に思い出せるものです。

本企画「追憶ゲーマー」では、そんなゲーマーの記憶に秘められた過去の“思い出話”を、Game*Sparkとインサイドのライターが連載形式でお届けしていきます。

今回は1989年6月14日に発売されたゲームボーイ版『テトリス』です。



タイトル:『テトリス』
機種:ゲームボーイ
発売日:1989年6月14日
発売元:任天堂
ジャンル:パズル
公式サイトhttps://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/tra/index.html


これは6歳の筆者が地方都市にあるマンションで暮らしていた頃の話です。そのマンションは父親の社宅だったので、筆者はそこの住民とはほぼ知り合いでした。週末には、仲が良い住民同士で集まってマンション近くの空きスペースを利用してバーベキューが行われており、我々子供はサッカーやごっこ遊びに興じながら焼かれた肉などを食べていたものです。また、マンションでは「他の子の家へお泊まり」が日常的に行われていて、子供達の両親は、「今日は○○さんの家に泊まりにいくのね」という感じで、お世話になる親御さんへの気遣いや心配などは最小限だったような気がします。つまり、筆者が暮らしていたマンションは、地方都市にありながらも村社会に近いコミュニティが形成されていたのです。

ただ、そのせいなのか、筆者はマンションの外に友達が少なく、いたとしてもマンションの子供達とよくつるんでいたA君のみ。その子の家では、強面なブルドックを番犬として飼われていて、6歳児ひとりで伺うのはとても無理がありました。

そんな折、筆者はマンションの近所にあるアパート周辺に6人規模の子供グループを発見します。彼らを率いているのは、絵に描いたような「ガキ大将」で、ブタゴ○ラとかジャ○アンといったあだ名が似合いそうな大柄な子でした。


こいつに取り入れば、このグループに入り込める――筆者は、ガキ大将を見たとき、このような邪な考えが頭に浮かび、ガキ大将達がいる方向を背にして自宅に戻り、ゲームボーイを手にしました。何も手にしなくても「はじめまして」のような挨拶の言葉や「一緒に遊ぼうよ」といった常套句でも彼らと仲良くなれると思うのですが、このゲームボーイをガキ大将に献上するしかないように思えたのです。

再びガキ大将達の元まで走ってきた筆者は、息切れを起こしながらもゲームボーイを水戸黄門の紋所のように振りかざし、「ぼく、ゲームボーイ持ってるよ!」の一言だけ放ち、彼らの注目を集めます。まず最初に身を乗り出したのは、やはりガキ大将です。「マジで!やらせてやらせて!」と筆者に迫ってきました。


ちょうどゲームボーイ本体に差し込まれていたカセットは、今では知らない人はいない『テトリス』。落ちもの系パズルゲームの元祖ともいえる同作は、ルールも簡単で理解しやすいため、ゲームボーイ未所持のガキ大将達にも簡単に受け入れられ、次第にひとりひとり交代しながらスコアを競うように遊んでいました。

筆者は、ただその光景を見ていただけなのですが、なぜかこのグループに受け入れられたような、ガキ大将の右腕として突如君臨した“やり手”のような気分になっていました。そして、筆者は、ゲームボーイと『テトリス』のおかげでマンションの外で初めて友達を作る事が出来たのです(まぁ友達の定義は人それぞれだと思います)。

その頃、『テトリス』を生んだ超大国・ソビエト連邦は崩壊し、まさに世は干戈騒乱。当時筆者もテレビは観ていたはずなのですが、光GENJIが紹介する美味しそうな冷凍食品のコマーシャルや、NHKの教育番組に夢中になっていて、まさかそんな歴史的大事件があったなんて知りませんでした。
《真ゲマ》
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