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日本のデジタルマーケティングカンパニーアイモバイル社が見据える海外戦略とは?-海外事業部担当者インタビュー

韓国最大のゲームショウ「G-STAR2016」B2Bブースにて、日本でも有名なインターネット広告会社アイモバイルが出展。モバイルアドネットワークを中心にふるさと納税専門サイト「ふるなび」なども手がける同社が考える韓国ゲームショウ出展の意図とは?その真相に迫りました。

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韓国最大のゲームショウ「G-STAR2016」B2Bブースにて、日本でも有名なインターネット広告会社アイモバイルが出展。モバイルアドネットワークを中心にふるさと納税専門サイト「ふるなび」なども手がける同社が考える韓国ゲームショウ出展の意図とは?その真相に迫りました。


――まず自己紹介をお願いします。

佐藤大介(以下佐藤):佐藤大介と申します。アイモバイルの海外事業部の責任者として動いています。担当していることは主に2つありまして、1つ目はアイモバイルの海外営業としての活動です。アイモバイルが日本で最大級のアドネットワークとしてやっていて、海外のお客さんから弊社のプロダクトを使いたいという要望があった時に、英語ができる者として対応しています。もう1つが海外の新規事業開発です。海外でアイモバイルとしてどういったビジネスができるかというのを開発しています。

――G-STARへの出展は今年が初めてですよね?

佐藤:はい、初めてです。

――今回、G-STARのB2Bブースに出展している理由を教えてください。

佐藤:まずアイモバイルはアドプラットフォームをやっていて、広告主と媒体社を繋ぐプラットフォームです。広告主さんに関しては、エンドユーザーさんを獲得するために広告を配信したいという時にFacebookさんやGoogleさんに出すといった色々な手法がありますが、それを我々が束ねている媒体に対して広告を配信するという側面があります。また、日本に関して言うと、我々が持っている広告を提供して、それを表示させることでマネタイジングをサポートしています。

今回G-STARに初めて出展した理由は、狙いとしてアイモバイルとして海外事業を進めていく必要があると考えていて、サンフランシスコに支社があるのですが、それとは別にアジア圏で何ができるかを検討している段階です。台湾や韓国、中国は大きいマーケットなので、マーケットリサーチをやっているところです。弊社の広告主はeコマースやゲーム会社などがありますが、ゲーム会社様の比率が高いため、G-STARで広告主やメディアさんに対して認知拡大を狙っています。

――今までは大きい意味で海外展開はしていないですか?

佐藤:はい、大きい意味ではサンフランシスコに支社を出した以外では、アジアでは走り始めた段階です。

――先程おっしゃていたように、同時に行っているんでしょうか?

佐藤:全部同時にやっています。実際、マーケットリサーチの段階ではあるので、具体的なこのソリューションでいけるかどうかというのは調査中ですが、皆さんの話を伺って、どうすれば一番良いかを調べています。

――こういったゲームショウへの出展は今まであったのでしょうか?

佐藤:ゲームショウへの出展はないですね。

――イベントはありますか?

佐藤:アドテック系のイベントには出展していますし、フィードテックというものにも出展しています。

――G-STAR2016の印象はどうですか?

佐藤:今回の弊社ブースの配置が角でひっそりとしていて、お客さんが来ないかなと思いきや、結構来ていただいていてハッピーなサプライズでした。こういうイベントは日本だと積極的に営業するイメージですが、韓国はかなりカジュアルで、ブースに来てくれる人も営業されるのを身構えているのではなく、何やっているの?という軽いノリで来てくれているので、認知活動という意味ではすごい成功していますね。

――海外メディアと広告主だとどちらの方がブースに足を運んでいる印象でしょうか。


佐藤:ブースに訪れるのはクライアントサイド(広告主)だと思いますが、どちらかと言えば同業者というか競合他社さんが多いですね。競合ではありつつもカオスマップがあるぐらい複雑な作りになっていて、競合だけどRTBでフィッティングしてくださいとか、トラフィックを買いたいだとかそういった話が多いです。うちも応えられるだけ応えますが、韓国でやっているけど、日本展開を目指しているという会社さんも来ています。うちは逆のパターンなので、情報交換も盛んに行われている印象です。

――韓国の企業が日本でプロモーションしたいからアイモバイルさんを使いましょうと言う形ではなくて、韓国内でアイモバイルのネットワークの拡大を目指しているという感じでしょうか?

佐藤:そうですね。アイモバイルのネットワークはほぼ日本のみでやっているプロダクトではあるものの、日本で最大級なのを生かして横展開できるかどうかというところですね。現在の主力製品が壁にある2つですが、「maio」と呼ばれる動画リワードのソリューションです。かなり今伸びていて、日本でも去年の1月にスタートして約1年経つんですが、一番成長率が高いプロダクトです。

今まで広告はクリックベースでしたが、こちらは視聴完了ベースでやっていて、ユーザーがオプトインする手法でやっています。今まで広告はネガティブな印象を持たれる方が多くて、見たい記事を邪魔するイメージが強かったですが、広告を見ることによってゲームオーバーからライフを回復できたりコインをもらえたりと、ユーザー目線で見ても邪魔にならず、広告を見るバリューを感じてもらえています。

――日本で作ったソリューションなのでしょうか。

佐藤:日本でやっているのはうちだけですね。もう1つはネイティブアドネットワークですが、これはコンテンツにきれいに入り込むソリューションで、同じ概念ではあるんですが、広告は邪魔なものというイメージがあるので、より自然に馴染むソリューションで、こちらも好評です。このトレンドが日本でも起こっていますが、同じトレンドが韓国や海外でも同時に発生しています。

今までの印象は日本企業、日本のテクノロジーはイケていて、アジア圏は5年ぐらい遅れているというイメージを持っていましたが、実際に韓国に来るとそこまで差はなく、同じぐらいのクオリティを持っています。日本で持っているテクノロジーをすぐに海外に発信していかないと、やりつくしたテクノロジーで勝負することになってしまいます。

――韓国のゲームマーケットについて改めて気付いたことはありますか?


佐藤:一時期韓国はPCオンラインゲームがものすごく強い印象がありました。『ラグナロクオンライン』や『TERA』など、日本でも流行っているゲームが多かったですが、規制が入って0時~7時の時間帯はプレイができないというようなものがあり、韓国企業が撤退したり日本に流れてくるんじゃないかという噂もあり、盛り下がっているのかと思っていましたが、ブースを出したりB2Cに行ってみると、まだまだ元気があります。色んな人に聞いてみると、PCオンラインゲームの市場の方がまだモバイルゲームよりも大きいとのことで、日本とは異なるところですね。

――基本のターゲットはスマホゲームでしょうか。PCゲームはターゲットにする予定はあるのでしょうか。

佐藤:はい。そこに強みを感じていて、アドネットワークの会社はスマホオンリーでやっているところが多いんですが、マルチプラットフォームに対応していてPC・モバイルどちらもできるというのは強みだと思っています。PCのネットワークという意味でも、韓国でPCゲームが流行っているのであれば、PCのアドネットワークが1つの答えかもしれないと思っています。

――メディアを集めるのが大変そうですが、勝算はありそうですか。

佐藤:特に「maio」は色々な会社さんと話していても、動画リワードを取り入れているところが少ないと聞いていて、Unity Adsさんが一番アグレッシブにやっているというぐらいで、他の企業さんはそこまでやっていないそうです。そういうところに動画リワードソリューションを持っていくというのもブレイクスルーになるかもとは思っています。

――韓国で行われているマーケティング手法で、日本でも使えそうなものはありそうでしょうか。

佐藤:日本と似ているところで言うと、事前登録をしてブースティングを打ってというところだとか、ディスプレイアドネットワークをして、リエンゲージメントを打ってというところも似ています。ユニークだと思ったところは、バイラルマーケティングをやっている企業さんが多いのと、CPIベースでやっているところもあります。韓国ではゲームを紹介してお金をもらえるというシステムが流行っていて、日本では流行っていませんが、CPIベースのバイラルマーケティングやインフルエンサーマーケティングというのは日本でも結構使えると思います。実際日本企業でもやり始めているスタートアップは聞くんですが、ひょっとしたらすごい伸びるのかなと思います。

――今後のアイモバイルさんの韓国やアジア圏、記事を読む日本企業の方へ何かあればお願いします。

佐藤:アイモバイルは2007年頃から色々な企業さんに使っていただいていて、ありがたいことに日本で最大級になりましたが、会社のコンセプトとして、日本を中心に世界で貢献できる企業になるというものがあるので、これから日本市場が少子高齢化と言われていますが、ゲーム市場や他の市場とシュリンクして海外へ出ていくという時に、日本で使っているアイモバイルが海外でも使える、というようなソリューションにしていきたいと思っています。最近、ゲームはもちろんそうですし、eコマースもそうですが、今年、来年から海外に積極的に展開していく企業さんが多いです。そういった際に利用できるようなマーケティングツールを提供していきます。日本のお客さんと一緒に世界に行けるような海外展開をしていきたいと思っています。

――ありがとうございました。

佐藤:ありがとうございました。


日本ではトップクラスのアドネットワーク会社として結果を残しているアイモバイル社。本インタビュー実施後に、日本企業の台湾への広告出稿需要が増加していることから、台湾子会社「台灣艾摩貝爾有限公司((i-mobile Taiwan Co.,Lt)」も設立。多様化する国際市場へのニーズに対応し、更なるサービスの拡充を図っていくようです。今後、国内のみならず、海外に対しどういったアプローチを行っていくのか、気になるところです。
《森 元行》

森 元行

海外のゲームショウにてeスポーツの大会に出会い衝撃を受け、自身の連載「eスポーツの裏側」を企画・担当。プロプレイヤーはもちろん、制作会社や大会運営責任者、施設運営担当者など「eスポーツ」に携わるキーマンに多くのインタビューを実施。 2022年3月 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 博士課程前期課程(修士/MBA)修了。

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