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いい企画とは「夢を語り、未完成であるべき」・・・レベルファイブ日野氏が九州CEDECで語る

レベルファイブの日野晃博社長がKYUSYU CEDECに登壇し「日野流 企画立案術」と題して、同社が得意とするクロスメディア戦略の核となるコンセプトデザインについて、その一部を明かしました。

ゲームビジネス 開発
【KYUSYU CEDEC2015】いい企画とは「夢を語り、未完成であるべき」・・・レベルファイブ日野氏が語る
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2015年10月19日に九州大学大橋キャンパスで開催されたKYUSHU CEDEC 2015。過去2回開催されてきた札幌(2014年11月)、関西(2015年2月)に続き、九州で初めて開催された今回の地方版CEDECでは、秋晴れの空の下でプロ・学生を含めて約800人が参加。大盛況のうちに終了しました。

その基調講演をつとめたのが、レベルファイブの日野晃博社長です。日野氏は「日野流 企画立案術」と題して、同社が得意とするクロスメディア戦略の核となるコンセプトデザインについて、その一部を明かしました。本基調講演はまた、異業種のクリエイターとのコラボレーションについて語ったCEDEC 2015、経営者とクリエイターの融和を説いた東京ゲームショウ2015に続く、日野晃博基調講演三部作の最後を飾る内容でもありました。

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仮タイトルの決定に全力を傾ける



『レイトン教授』『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』『二ノ国』『妖怪ウォッチ』シリーズと、次々にオリジナル作品でヒットを記録してきたレベルファイブ。日野氏は「企画とは関係者が素晴らしいクリエイティブを行うための発端となるアイディア、すなわち『コンセプト』の提示である」と語ります。そこで日野氏が一番大事にしていることが「最初にタイトルを作ること」です。

実際、『二ノ国』では難航していたスタジオジブリとの打ち合わせが、タイトルをきっかけにまとまったというほど。同社では「仮タイトルが商品化で変更される例はほとんどない」といい、全力を傾けて欲しいと言います。

タイトルを決める上でのポイントは「聞いた時に引っかかりがあるか」「そこからビジュアルイメージや感情が生まれるか」です。

例として上げられたのが『妖怪ウォッチ』でした。最初のアイディアは日本の妖怪を題材にしたRPGを作るというもの。そこで妖怪の持つ「古さ」「不気味さ」と正反対のイメージを持つ言葉を探した結果「ウォッチ(時計)」が浮上し、「妖怪+ウォッチ」というタイトルが誕生しました。ここから過去の妖怪モノにない、現代的で新しい妖怪のイメージが次々に膨らんでいったのです。

キャラクター設定は色でチェックする



続いてあかされたのが「キャラクター設定の秘密」です。はじめに説明されたのが主人公像の作り方で、日野氏は(同社が得意とする少年モノの作品群の)主人公は「成長型」「普遍型」に分類できるといいます。

成長型は主人公が成長すること自体がストーリーになるもので、振れ幅が大きいほど伸びしろがあると説明。『イナズマイレブン』(廃部寸前のサッカー部が世界一になる)」「ダンボール戦機』(プラモオタクの少年が世界を救うヒーローになる)などの実例も示されました。これに対して「普遍型」は絶対的な能力を持つ主人公の無敵の気持ちよさを軸にするもので、『北斗の拳』『水戸黄門』などの例を提示。(少年モノの)主人公を作る上では、この2択だと説明します。

一方でメインキャラクターの設定は「5色でチェックする」とのこと。赤(主人公)、青(身近なクール)、黄(お笑い、ずっこけ)、桃(ヒロイン)、緑(ライバル、敵、上司など)がバランス良く配分されているかが重要で、いわゆる『ゴレンジャー(戦隊モノ)』の法則だといいます。『レイトン教授』シリーズでは、「赤:レイトン、青:ルーク、黄:グロスキー警部、桃:レミ、緑:デスコール」という配分。ここを最初に決めておくとエピソードが広げやすくなるのです。

世界観設定は異世界の常識作り



最後は「世界観設定の秘密」があかされました。日野氏は世界観設定とは、「架空世界での『常識』を設定すること」で、ビジュアルイメージを作ることだけではないと指摘します。たとえば「砂嵐が吹き荒れる荒廃した大地/ある男が乗ったバイクが爆走している」という描写はNGで、「砂に覆われた惑星/ある男がエアスピーダーと名付けられた宙に浮くバイクを疾走させている」という描写はOKとのこと。これだけでSF的な世界観だとわかるからです。

そのうえで、この「架空世界の常識」を短いテキストの中に、どれだけ組みこめるが重要だと補足しました。理由は簡単で、長い文章はそれだけで読んでもらえないからです。「タイトル、キャラクター設定、世界設定があれば企画書は成立します。優れた企画書は1ページに収められます」と日野氏は力説します。

良い企画は夢を語り、未完成



最後に日野氏は「良い企画とは、良いだし汁のようなもの」と語りました。その前提として「企画が良いから、作品が必ずしも成功するわけではない」とも指摘します。冒頭で述べられたとおり、企画とは関係者のさまざまなアイディアを引き出すコンセプトにすぎません。重要なのは細部に至る説明よりも、どんなアイディアでも吸収して、一つにまとめられる包容力。つまり「だし汁」というわけです。

そのためには、「コンセプトがしっかり明示されていれば、企画書は多少足りないくらいが丁度良い(=だからこそ1枚でまとめられる)」といいます。逆に企画書をたたき台として、どんどん関係者からアイディアが出てくる仕掛けも必用。そこで必勝の企画会議として、設定や案をまとめた上で、あえて要点書類のみを公開し、まったく決定事項のないところから始める「隠し設定会議」が有効だとしました。

いい企画とは「夢を語り、未完成であるべき」だと日野氏は整理します。20年以上ゲームを作り続けていると、いい加減にネタもつきてくるし、毎回新しいことを思いつけるわけでもない。そのためには、いろいろな人のアイディアを取り込んでいくことが大切で、それこそが幅広い人に受ける必勝パターン。だからこそ企画は仕様作成ではなく、「夢を語って欲しい」。そんな風に日野氏はまとめました。

【KYUSYU CEDEC2015】いい企画とは「夢を語り、未完成であるべき」・・・レベルファイブ日野氏が語る

《小野憲史》

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