これに加えてアメリカではゲーム専用のセットトップボックスや、Amazon専用のスマートフォン、はたまた音声認識デバイスまで登場しており、巨大なエコスシステムが形成されつつあります。
GDC2015で開催されたスポンサーセッション「An Overview of the Amazon Devices and Services for Game Developers」では、そんな同社のゲーム業界における取り組みの概要が紹介されました。またスウェーデンのパブリッシャー兼ディベロッパー、G5 Entertainmentからブラッド・スグロポフ氏も登壇し、Amazonアプリマーケットの特性について語りました。
はじめにAmazonのエコシステムについて整理しておきましょう。現時点で同社がリリース中の、アプリが走るデバイスは「kindle FIRE(タブレット)」「FirePhone(スマートフォン)」「Fire TV(ゲーム向けセットトップボックス)」の3種類。これに加えて昨年11月には音声認識機能を備えた生活アシスタント器機「アマゾンエコー」も発売されました。
アプリ登録数は全世界で約30万本で、Google Playの約140万本やApp Storeの約130万本の後塵を拝していますが、同社のデビッド・イスビスツキ氏は顧客単価が高いと言います。アプリの売り上げが月額500ドル以下の登録者の割合で、Androidが59%、iOSが52%、FireOS搭載デバイスは41%というのです。スグロポフ氏は「Amazonの顧客はクリックで商品を買うことになれており、これが顧客単価を押し上げる要因になっているのではないか」と分析します。
またイスビスツキ氏は、Amazonならではの要素として、Amazonコインをプロモーションに使用することができる点を上げました。ユーザーはAmazonコインを使ってゲームやアイテムを購入することができ、友人間のギフトにも使用できます。当然アプリ事業者もリワードに使用できるというわけです(最大20%の期間限定バックなども頻繁に行われています)。こうした施策が可能な点もAmazonならではでしょう。
周知の通りFire OSはAndroid OSをベースとしており、最新版はAndroid OS 4.2.2とコンパチブルとなっています。Amazonコインをはじめとした、さまざまなAPIを活用することも可能で、SDKはiOS、Android、Unity、HTML5、Xamarin向けに提供されています。海外ではアドネットワークのAmazon Mobile Adsのサービスも行われています。課金アイテム用のAPIも、もちろん使用可能です。
このほかカメラでウェブのアドレスなどを自動的に読み取る「ファイアーフライ」機能などを備えたFirePhoneや、ゲーム向けセットトップボックスの「Fire TV」などの概要紹介もありました。Fire TVではフルHD向けにゲームを作れば、テレビの解像度や特性にあわせて、自動的に画角や色味を調整する機能も搭載。プレイヤーのキー入力やモーション操作の情報を自動的に習得する機能も備えています。
こうした概要紹介をふまえて、スグロポフ氏はAmazon向けにアプリをリリースするメリットを大きく感じていると説明しました。
同社の主力アプリは、画面上に隠されたアイテムをタッチで収集しながら進めていく一連のアドベンチャーゲーム群で、文字通りタブレットで本を読む感覚で楽しめる点が特徴。ビジネスモデルはF2Pで、メインユーザーは中年女性となっています。このように電子書籍の読書層とゲームのユーザー層が重複していることが、ビジネスを下支えする要因になっているといいます。
また講演では言及されませんでしたが、大量のクレジットカード情報と顧客のデータベースを抱えている強みがあるのも明らかです。会場でも「とりあえず概要を知りたい」という聴講者が多く、注目度が高まっている印象が感じられました。
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