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【TGS 2014】スマホで世界市場を狙うには何が必要? 国内外5社が徹底議論した基調講演

東京ゲームショウ2014の基調講演・第一部は、これまでに例のないパネルディスカッション形式となりました。テーマは「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」で、国内外5社のエグゼクティブが登壇し、海外展開について議論を交わしました。

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東京ゲームショウ2014の基調講演・第一部は、これまでに例のないパネルディスカッション形式となりました。テーマは「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」で、国内外5社のエグゼクティブが登壇し、海外展開について議論を交わしました。

パネリストは『ブレイブフロンティア』で全世界1500万ダウンロードを誇るエイリムの高橋英士氏。『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』『白猫プロジェクト』が大ヒット中のコロプラ馬場功淳氏。『チェインクロニクル』で中国展開を進めるセガネットワークスの里見治紀氏。多彩なIPでゲーム・玩具と立体展開も進めるバンダイナムコゲームスの浅沼誠氏。そして『キャンディクラッシュサーガ』で有名なキングのアレックス・ダール氏です。これにCESA会長の鵜ノ澤伸氏がコメンテーターとして加わりました。モデレータをつとめたのは日経BP社の浅海直樹氏です。

パネルに先立ち、鵜ノ沢氏は「毎年、主役が変わっているといってもいいほど、ゲーム業界は非常に変化が激しい」と切り出しました。そうした中で新たな主役に躍り出た感があるのがスマホです。鵜ノ沢氏はTGSの基調講演という場をかりて「このように激動の中で、各社がスマホゲームでどのようにグローバル展開に取り組んでいるか、勉強会をしてみたかった」とパネルの意義について説明しました。

■5社5様? 最近の気になる業界事情

はじめに浅海氏は自己紹介もかねて、各パネラーに最近注目している話題について尋ねました。高橋氏は「スマホで動画を見る文化が広がっている」として、「動画」に注目していると回答しました。動画はゲーム実況をはじめ、プロモーションで無視できない存在になっていると説明し、ゲームを補完する二次的な存在として活用していきたいといいます。

馬場氏はソフトバンクのスーパーセル買収と、キャリアによる帯域制限をあげました。馬場氏も自社タイトルを戸外で遊んでいて帯域制限にひっかかったそうです(思わずバグだと思って会社に電話したとか)。「動画をスマホで見る文化が広がると、帯域制限の問題も出てきます」(馬場氏)。ゲームは収益性が高いビジネスなので、キャリアとの良い落としどころを考えたいとしました。

里見氏はアプリの課金市場で日本が米国を抜いて最大規模になったことを上げました。「ここ数年、日本が話題の中心になることはなかったので、すごく喜ばしいこと」(里見氏)。また不動のランキング1位だった『パズル&ドラゴンズ』を『モンスターストライク』などが脅かしていることをあげ、人気タイトルの登場で市場全体が拡大していると解説。まずは日本市場に注力しつつ、家庭用や業務用とのスマホ連携も進めたいとしました。

浅沼氏も日本市場の拡大について触れつつ、中国をはじめとしたアジアのモバイルビジネスについての対応策について語りました。「日本のゲームコンテンツは世界的に見てユニークな進化を遂げてきました」(浅沼氏)。一方でアジア市場では特に日本のキャラクターIPが人気だと解説し、これにどのように自社のゲームや商材をからめつつ、進出するかが課題だとしました。

最後にダール氏は世界的に見て、スマホのゲーム人口やゲーマー層が拡大している点をあげました。「50代の女性がスマホでゲームをしています。これは過去の歴史でなかったことです」(ダール氏)。一方で各々の国でマーケティング事情が異なることについて触れ、中でも日本は重要な市場だとしました。「自分もソニックのゲームでで育ちました。キングの社員もみな同じです。イベントの方法など、学ぶべき点はいろいろあります」(ダール氏)。

■海外市場は「広くて深い?」 日本からみた海外事情

続いて浅海氏は「日本から世界市場はどのように見えるか?」と質問を投げかけました。高橋氏は海外展開は親会社のgumiと二人三脚で行っていると説明し、「去年の今頃はアジアファーストと言っていた」と振り返りました。韓国・台湾・中国と展開し、少し遅れて欧米市場に乗り込んだそうです。もっとも『ブレイブフロンティア』は欧米市場の方がヒットしており、コンテンツによって向く市場は異なるとしました。「まず日本でヒットするものを作り、そこから海外にローカライズしたらどうなるか、というのが基本です。もちろんカルチュアライズをしっかりすることは言うまでもありません」(高橋氏)

馬場氏は海外市場を「日本と違って広くて深い」と説明しました。日本と同じセオリーで宣伝をしても、たしかに新規会員は増えるが退会率も高く、底が見えないといいます。一方で『白猫プロジェクト』については、まだ海外展開をしていないにも係わらず、台湾や香港からダウンロードが増えているとのこと。「(『黒猫』と同じでドメスティックなコンテンツだが)工夫次第で海外にも通用するのでは」と手応えを語りました。

古くからゲームビジネスにかかわってきた里見氏は「スマホゲームは先進国・発展途上国関係なく、全世界で同時に成長している。これは今までのゲームの歴史になかったこと」と語りました。また家庭用では2000年代中盤から各地域で嗜好の差が広がってきたが、スマホゲームはまだ8Bitや16Bitゲーム機の時代に近いと分析。『キャンディクラッシュサーガ』などのように、グローバルなヒットタイトルが出やすい環境になっており、日本企業にとっても海外進出のチャンスだと示しました。

浅沼氏はアニメキャラクターなどを例に、アジア圏との文化的親和性の高さについて語りました。「ただし、では中国にすぐ展開できるかと言われると、そう簡単ではないのですが・・・」(浅沼氏)。キャラクターをアプリにして、どのように遊んでもらうのが良いのか、常に考えているところだと言います。同じバンダイナムコグループの経営幹部である鵜ノ沢氏も「ゲーム業界に関係する分野が広がっていて、多種多様なことが同時におきている。すべてのことを把握できている人など、もはやいないのでは?」と補足しました。

■ランキングの違いから読み取れること

このようにパネリストからは異口同音に「海外進出は重要」というコメントが出ました。しかし、これは裏をかえせば、日本のアプリが海外にうまく進出できておらず、ガラパゴス化が進んでいるということでもあります。モニターには日本・アメリカ・フランス・インドネシアのアプリランキングとともに、日本のランキングだけが異なっている様子が紹介されました。

浅沼氏は「日本のランキングだけ異質で、一方で課金市場が世界一という、非常におもしろい形になっている」と分析。まだまだ世界でチャンスがある一方で、(巨大市場につられて)海外のコンテンツも日本に入ってくるので、これらとどう戦うか、または共存するかがポイントだと指摘されました。

これに対して里見氏は「日本のゲームはイベントドリブンなので、ガチャやコラボイベントなどで日本のタイトルも欧米でトップ10に入る時がある」と指摘。また『チェインクロニクル』は台湾・韓国・香港ではトップ10に入っており、欧米市場もgumiとの協業で展開していくので、これから変わってくるはずだと意気込みを語りました。「グローバルでトップ3に入る企業になれるようにがんばります」(里見氏)

一方ダール氏は「キングにとって重要なのはオーディエンス(プレイヤー)で、マネタイズは副次的要素と説明しました。「まずオーディエンスを作っていくことに焦点を当てています。これはすべての国で同じです」。またプロモーションではFacebookの活用を重視しているといいます。

馬場氏は海外で受けるゲームの要素に「シンプルであること」「競い合う要素があること」「運用で大きな波が出ないこと」を上げました。同社では新規タイトルが7ライン走っており、そのうちの2ラインでこの条件を満たしたゲームの開発を進めているそうです。また日本企業なので日本で一番強いのが望ましいが、できれば海外市場の売上比率を4-5割に引き上げたいと語りました。

■海外展開、成功の鍵はローカルの人間に任せること!?

続いての質問は「では、日本のコンテンツは世界市場で力があるか」というものです。里見氏は前述のように、スマホゲームではまだ地域別で嗜好の差が乏しいと語り、今がチャンスだとしました。「『ブレイブフロンティア』は社内のマーケッターから『欧米ではヒットしない』と言われていました。これがヒットしたので、逆に『チェインクロニクル』の社内評価も上がったほどです」(里見氏)

高橋氏は「日本・中国・台湾・韓国は国ごとにランキングが違う。逆にアメリカとフランスとインドネシアは似ている」と説明しました。また海外展開ではどの言語から翻訳するか悩みどころだとしました。「英語にするのが一番多くのユーザーにささる。逆に韓国語にしても韓国でしか展開できない。コンテンツごとに向き不向きもあるので、いつも悩みどころ」(高橋氏)。鵜ノ沢氏も「なんで家庭用みたいにスマホでも世界同時発売をしないのかと、いつも言っている。でも、そのたびに『運用とかローカライズとか、まったく違うんですよ』と浅沼に反論される」と社内でのやりとりをあかし、ここをどうするかが鍵だとしました。

ダール氏も「日本でたくさんミスをしました」と振り返りました。当初は翻訳もいい加減で「甘いお菓子」が「苦いお菓子」と表記されていたそうです。テレビCMも本国と同じモノを、まず北海道で放映しましたが、反響はサッパリだったとか。そこで日本人の監督にロンドンで撮影してもらったものを流したところ、次第に風向きが変わってきたそうです。「広告展開は日本独自でやっています。ローカルの文化にあわせるのが重要です」(ダール氏)

高橋氏も『キングはFacebookでの広告宣伝を重視していると言われたが、これも国によって異なる』と説明しました。『ブレイブフロンティア』でも国内では3-4万イイネ程度なのが、海外では4-50万イイネと、桁が違うとのこと。「現地のスタッフが宣伝をしないとメディアの選定から間違ってしまいます。翻訳もゲーム的な意訳を行わないとユーザーにササりません。そこはgumiの強みを活かしてやっています」(高橋氏)。

これについては浅沼氏も「日本で日本人だけで考えても難しい」とこれに同意しました。その上で日本人だけ、海外パートナーとの協業、海外パートナーに全て任せるなど、さまざまなパターンを試しているそうです。一方で里見氏は「今は海外売り上げが2割くらいなので、これを5割以上に引き上げたい」と抱負を語りました。一方で開発とローカライズについては、「日本のスタジオは国内向け、海外は海外市場向け」と明確に切り分けているそうです。その上で、「ヒットしたら改めて海外展開を考える」と戦略を示しました。

最後に馬場氏は海外展開の三要素として「カルチャライズ」「マーケティング」「面白いゲームを作る」というキーワードを示しました。「弊社の場合、今はまだ日本によりすぎているきらいがあります。マーケティングも海外に向けてしておらず、カルチャライズについても確証がありません。点数だと3点くらいでしょうか。でも97点も加算できる余地があります」(馬場氏)

■2015年は日本企業が大活躍できる年に・・・

最後に2015年にむけての豊富が語られました。鵜ノ沢氏は「今日のパネルで、各社毎にいろいろなビジョンがあり、勢力的に取り組みが進んでいることがわかった。来年の今頃に再度パネルをやったら、ランキングが変わっている可能性が大いにある」と感想を語りました。

先ほど「海外展開については3点くらい」と自己採点した馬場氏は「これを2-30点くらいにしたい」とコメント。そのうえで事業は長く続くので、継続的に良くしていきたいと語りました。また日本市場の重要性についても改めて語り、動画に対する施策を組み込みつつ、精進していきたいとしました。

ダール氏は新作『ペットレスキュー』を日本でちょうど今日、リリースしたところだと話しました。同氏は「これまでで一番好きなゲームで、665レベルまで無課金で到達した」と言います。「無料でしっかり遊べることが重要なのです」(ダール氏)

浅沼氏は中国展開について、DeNAとの協業で『ワンピース』版権モノを近日中に開始すること、『ナルト』モノもテンセントとスタートすることを紹介しました。また北米も欧州も重要な市場なので、自分たちが持っているIPや資産を総合的に使っていきながら、グローバル化を進めていきたいと語りました。

一方、『ブレイブフロンティア』でいち早く海外展開をはたした高橋氏は「継続的な運営を進めつつ、新規プロジェクトでも話題性で勝負したい」と語りました。「年内に発表して、海外に広めたいですね」(高橋氏)

里見氏は「世界市場でトップ3の企業をめざす」としつつ、そのためには最低1000億円の売り上げがグロスで必要だという見方を示しました。「もっとも2015年には最低ラインが1500億円から2000億円に上昇するかもしれないが、まずは1000億円を達成したいですね」(里見氏)。またこれだけ日本市場が世界から注目を集めているのは10年ぶりくらいで、やっと日本企業の活躍できる素地が出来てきたと分析。2015年は日本企業が世界を席巻していけるように業界としても努力していきたいとまとめました。
《小野憲史》
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