現在、薄型テレビの主流は37型や42型。価格もずいぶんとこなれてきており、昨春発売の型落ちモデルでは、国内主要メーカーにおいても37型で7万円台半ばから、42型で8万円台後半から存在する(2010年10月中旬時点)。当然、多くの人の購入ターゲットがこの辺りになってくるだろう。
テレビは、例えば東芝「REGZA」の超解像技術、シャープ「AQUOS」の4原色技術「クアトロン」など細かい機能の違いはあるが、それは好みによる。見方を変えれば、テレビは今、携帯電話と同じ状況に陥っていると言えるのかもしれない。機能はそれほど大差なく、テレビメーカー側がいくら技術を投入しても、「大画面ならどれを買っても同じ」と考えている人も多いはずだ。
しかし、そう考える人たちのテレビライフを豊かにしてくれるアイテムが存在する。エコポイントと地デジ移行に伴う昨年来の「テレビ特需」の中で、切っても切れない存在となっている「テレビ台」だ。
中でも注目を集めているのは、ただ置くだけのテレビ台ではなく、高性能な音響システムが組み込まれた「シアターラックシステム」である。これまで「ホームシアターを楽しむ」というと、音響マニアのものと思われがちだった。多くの人にとっては自分とはかけ離れた製品になってしまった感があり、興味がわかなかった人も多いことだろう。だが、シアターラックシステムは前面にスピーカーが組み込まれ、大がかりなスピーカーやウーファーを室内に設置する必要がない。昨今では、主要なテレビメーカー各社が取りそろえる標準品となっているのが現状だ。
テレビメーカー各社以外では総合音響メーカーとして長い歴史をもつヤマハの健闘が光る。同社は既に、フロントサラウンドスピーカー「YSPシリーズ」で、ホームシアターの世界では高い評価を得ている。
「POLYPHONY」(ポリフォニー)は、その「YSPシリーズ」のスピーカーを専用にカスタマイズし、さらにサブウーファーを組み込んだヤマハのシアターラックシステムの主力製品群だ。内訳は、65型まで対応する「YRS-2100」(価格は130,000円前後)、50型まで対応する「YRS-1100」(価格は100,000円前後)、コーナーカットを施し、省スペース設計とした42型まで対応の「YRS-700」(価格は80,000円前後)の3ラインアップとなる(ただし「YRS-700」はYSP技術ではなく、別途「AIR SURROUND XTREME」技術を採用する)。
■「壁面反射」を利用する7.1chサラウンドシステム
今回、ヤマハの特別室にて、実際に「YRS-1100」のサウンドを試聴する機会を得た。ヤマハエレクトロニクスマーケティング 企画・広報担当の藤井陽介氏の説明によれば、今年、同社では「NEWリビング・オーディオ」をテーマに掲げ、自宅における高品質なサウンド提供に力を入れているという。
「YRS-1100」の第一印象は「洒落たテレビ台」。女性デザイナーも開発に参加し、薄型テレビはもちろん、インテリアにマッチするスマートなデザインとした。しかし、すっきりしたフォルムの前面に、実はYSPビームスピーカーが埋め込まれ、サブウーファーも搭載されている。すべてのスピーカーを合わせた実用最大出力は232Wとなっている。
だが、これらのシステムはどこまで部屋の構造を考えているのだろうか。部屋の大きさはユーザーによってさまざまであるし、部屋に設置されている家具や視聴する場所で大きく音は変わるのではないだろうか。
同製品最大の特長は、その点を配慮しているところにある。「YRS-1100」は、音の壁面反射を利用した「7.1chサラウンド再生」を採用する。わかりやすく説明すると、これは前面のスピーカーから5方向に“音のビーム”を発射し、その反射をもってサラウンド効果を演出する仕組み。また同社では今年、3Dテレビに対して“3Dサウンド”を打ち出している。シネマDSPという機能によって奥行き感、縦方向の表現力を広げることができるという。
反射ポイントの設定には、付属の「インテリビームマイク」を使う。部屋の任意の場所にマイクを置くことで、約3分間で部屋の形状を認知し、最適なサラウンド環境を構築する。これはすべて自動で行なわれ、都合3ヵ所までのサラウンド設定・記憶が可能。たとえば自室で、隣室とのドアを開け放った場合と閉じた場合などにも対応するというわけだ。
この設定の過程が非常に面白かった。実際にマイクを設置すると「部屋から出てください」という指示が画面に現われ、自動的に設定が始まる。「ビューン」「シューン、シューン」といった独特なビーム音が部屋内の壁面に跳ね返り、そのさまは正に「インテリビーム」。また、「この方向にはカーテンがあるために音が吸収される」「この方向には障害物があるので音を大きめに出す」といった判断も自動で行なうのだそうだ。
この自動設定とは別に、コーナー置きや壁置き、ビーム角度の調整(水平角度、ビーム経路長、焦点距離)などの詳細設定も可能だ。現場では実際にいろんな方向にビームを飛ばしてもらった。まず左の壁面に音を飛ばし、次は右へといったように、任意の場所にビームを飛ばす。藤井氏は「部屋を真上から見て、ビリヤードの玉のように音が反射していると思ってください」と解説してくれたが、自分がいる場所を音がぐるりと取り囲む様子が手に取るようにわかった。
■映画ばかりでない!普段視聴するコンテンツにも配慮した設計
ところで、「映画を観る時だけ音響が良い」というのでは魅力が半減する。同製品は、映画や音楽、スポーツなど、ジャンルに合わせて最適な音を創出する「シネマDSP」を搭載している点も注目だ。これは同社が20年来取り組んできた技術である。中でも同社が注力したのが、ゲームソフトメーカーのスクウェア・エニックスとの技術交流によって開発した「ゲームモード」。このモードにより、最新のRPGなどはもちろんのこと、たとえばスタジアムの音の鳴りにこだわったサッカーゲームなどでも大迫力の音が楽しめる。家庭ではテレビにPlayStationなどを接続して楽しんでいる人も少なくないだろう。そんな人たちにはちょっとうれしい機能ではないだろうか。
また、別売りのDockアダプターを用いて、iPhone/iPodの無線音楽転送にも対応(無線方式には独自の「AirWired」を採用)するなど、さまざまな機器からこのシステムを利用してほしいとの狙いが見て取れる。
次回は実際にコンテンツを試聴した様子をレポートする。
【変わるテレビライフ(Vol.1)】楽しみを次のステージへ高めるアイテム
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