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【E3 2008】任天堂の新たな取り組みが明らかに、任天堂プレスカンファレンス

任天堂がニンテンドーDSとWiiでテレビゲームを再定義したことに、意義を唱える人は少ないでしょう。そして今年のE3プレスカンファレンスで、任天堂はDSとWii自体の再定義を試みました。

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任天堂がニンテンドーDSとWiiでテレビゲームを再定義したことに、意義を唱える人は少ないでしょう。そして今年のE3プレスカンファレンスで、任天堂はDSとWii自体の再定義を試みました。



初めに岩田社長は「5年前には、まさか当社が何百万台も体重計(=Wiifit)を売ることになるとは、任天堂自身も考えていなかった」と述べ、WiiとDSの発売で、いかにゲーム業界の常識が変化したかについて語りました。具体的には「1.長期的に売れ続ける商品の登場」「2.美麗なゲームだけが求められるわけではない」「3.顧客層の広がり」「4.新しい社会的交流の発生」の4点です。その上で「新しい常識もすぐに見慣れたものになる」と述べ、常に常識を破壊していくゲーム作りの必要性を訴えました。

まず第1はWiiとDSのニューデバイスと、それを生かしたソフトウェアについてです。同社はカンファレンス直前に、Wiiリモコンの底部に装着し、センシング能力を向上させる付属装置「Wiiモーションプラス」を発表していましたが、会場ではこれを用いたソフト「Wiiスポーツリゾート」が発表されました。収録ゲームのうち会場で紹介されたのは、Wiiリモコンで投げたフライングディスクを犬にキャッチさせる「Disk Dog」、ジェットスキーでのレース「Power Crusing」、フェンシングのような剣による対戦ゲーム「Sword Play」です。手首の微妙な動きでフライングディスクを投げわけたり、ジェットスキーの運転などを可能にしています。発売時期は来春としました。



WiiリモコンとWiiバランスボードを併用するタイトルも発表されました(これはE3会場の展示場でも何作か見られ、新しいトレンドとなっていました)。代表例は、宮本茂氏自らがデモプレイをした「Wiiミュージック」です。本作はWiiの開発段階から存在した4作品「はじめてのWii」「Wiiスポーツ」「Wiifit」の一つで、性別や年齢、文化などを超えて楽しめるゲームには、音楽が欠かせないと紹介されました。ただし、これは通常の音楽ゲームと異なり、伴奏にあわせて楽器のようにWiiリモコンを動かしつつ、ボタンを適当に押すと、それらしい音楽が演奏できるというものです。これにより楽器が演奏できない人や、楽譜が読めない人でも楽器演奏が楽しめるとしています。



ゲームには60種類以上の楽器が内蔵され、ギターやバイオリン、和太鼓など、Wiiリモコンとヌンチャクの両方を使うものや、Wiiバランスボードとのフルセットで、ドラムセットの演奏もできます。参加プレイヤーは4名までですが、他にコンピュータが担当するパートも加えられるようで、演奏だけでなくミュージックビデオの作成や、自分でアレンジした曲データをWiiコネクト24を経由して友人と交換することもできるとしています。壇上では宮本氏を含む4名がスーパーマリオのテーマを合奏、会場をわかせました。気になる発売日は年末で、こちらは通常のWiiリモコンでプレイが可能となります。

このほかDS向けタイトルでも、アクティビジョンのヒットシリーズ「ギターヒーロー オンツアー」が紹介されました。GBAカートリッジに専用のインターフェースを装着し、片手でコードを押さえながら、タッチペンで弦をかき鳴らすことができます。他にWiiリモコンを使ってライトセーバーを振り回す「スターウォーズ・ザ・クローン・ウォーズ」(ルーカスアーツ)、Wiiザッパー対応で協力プレイもできるFPS「コールオブデューティ・ワールド・アット・ウォー」(アクティビジョン)、バランスWiiボードとWiiリモコンを併用して、全身で遊ぶアクションゲーム「レイマン TVパーティ RAVING RABBIDS」(UBI)が映像紹介されました。



第2にインターネットを利用し、ユーザーが作り上げたデータの交流を生かしたタイトルの発表がありました。満を持して投入された「どうぶつの森Wii(仮称)」です。自分の部屋を飾ったり、他人の村に遊びに行くなどのほか、Wii版ではメールをPCや携帯電話、Wii伝言板に送ることもできます。村だけでなく新たに街フィールドも登場し、アイテムのオークション機能も加わりました。街の美容院ではキャラクターの顔をMiiに変更することもできます。Wii Speakというマイクデバイスも発売され、プレイしている人が全員でボイスチャットができることも紹介されました。プロデューサーの江口勝也氏もムービーで登場し、「自分たちで作って、訪問し、共有し、結びつける場を持ち続けて欲しい」とコメント。ユーザークリエイテッドコンテンツという、インターネットの新しいトレンドに対する、任天堂としての回答というわけです。



このように、今回のカンファレンスでは、WiiとDSをデバイス面やネットワーク面から活性化させていく姿勢が感じられました。これまで任天堂はE3カンファレンスでコアユーザー向けとカジュアルユーザー向けのラインアップをバランス良く発表してきましたが、マリオカートシリーズやWiifitなどを経て、デバイスの進化とオンラインの広がりという、新しい軸を徐々に加えてきた印象も受けます。

このほかアメリカ任天堂社長のレジー氏から、最新のマーケティングデータを用いてWiiとDSの優位性がアピールされました。レジー氏は特に北米でも携帯ゲーム機の割合が年々上昇していることと、その中心がDSであること。DSの売上が北米で売買ゲームで増えており、息切れの兆候はないこと。さらにDSユーザーの女性比率が2007年度は48%まで増加したことを説明。Wiiについてもハード・ソフト共に好調で、本体発売後19ヶ月の時点でライバル機を遙かに上回る246タイトルが発売されたこと、などを紹介しました。



最後に個人的に感じたことを補足しましょう。それは「母性」のイメージの強調です。実は今回、最初に登場したのは、岩田氏やレジー氏ではなく、アメリカ任天堂のセールス&マーケティング上級副社長で、自身も男の子の母親のキャミー・デュナウェイ女史でした(任天堂のプレスカンファレンスで女性が前面に登場したのは、これが初めてではないでしょうか)。女史は「かっこいい母親にはテレビゲームが必要」と述べ、任天堂コンソールの家庭性を強調しました。その後、トリノ五輪金メダリストのShaun White氏をフィーチャーした、UBIソフトの新作スノーボードゲーム「Shaun White Snowboading」をデモプレーしてみせました(今回最初に紹介されたゲームはサードパーティ製でもありました)。また「DSお料理ナビ」の北米版の発売もアピールしました。



コアゲーマー、ゲームキッズ、高齢者、メタボ対策の中年男性と市場を広げてきた任天堂は、いよいよ母親という"最強の敵"に挑むステージに来たのかもしれません。
《小野憲史》
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