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モントリオールで、小泉歓晃氏が「マリオに携わってきた13年間」を語った

カナダのモントリオール市で開催されたモントリオール・インターナショナル・ゲーム・サミットで27日、任天堂の小泉歓晃氏が「スーパーマリオギャラクシー:箱庭から銀河への旅」と題した基調講演を行いました。小泉氏は講演の中で、『スーパーマリオ64』から『スーパーマリオギャラクシー』に至る13年間の過程で、快適な3Dアクションゲームを開発するため行われてきた工夫の数々を、ロードムービーに見立てて解説しました。

任天堂 Wii
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2005年、「スーパーマリオレボリューションズ」(仮)と題した企画書が提出されました。後の『スーパーマリオギャラクシー』です。このゲームのコンセプトは「マリオが球状地形を走り回って遊ぶ」というものでした。これは宮本氏が5年間も温めていたモチーフで、小泉氏にとっても課題となっていたものだといいます。



一般には「重力による遊び」が注目されがちな球状世界ですが、小泉氏はメリットとして「カメラを振り向かせる必要がない」点を指摘しました。

平面のフィールドでは、どれほど広くても「世界の果て」があり、まっすぐ歩くと行き止まりになります。そうするとプレイヤーはキャラクターを振り向かせる必要があり、ここでカメラも向きが変わります。このとき、プレイヤーによっては方向がわからなくなるリスクが発生します。しかし、球状世界なら「世界の果て」がないため、キャラクターの移動方向に対してカメラの動きが齟齬をきたす恐れがありません。そのためカメラを意識しないですむゲームが作れます。

また本ゲームには新しく「プラネットカメラ」というカメラが用意されています。これは惑星全体を俯瞰するような視点から、マリオの動きをトレースするように動くカメラです。これによってプレイヤーに重力を感じさせるだけでなく、マリオの移動でカメラが大きく変化しないメリットがあります。これによって3Dゲームにもかかわらず、2Dゲーム的な印象を受ける画面ができ、3D酔いや迷いを抑えることができました。



プレイヤー操作についても、大きな変更が加えられています。それがWiiリモコンを振ってマリオを回転させる「スピンアクション」です。これによって敵キャラクターの行動を麻痺させられ、その間にジャンプして踏めば、簡単に敵を倒すことができます。これは奥行きがわかりにくい3Dゲームの欠点を改善するもので、「踏む」アクションのフォローの役割を果たしています。これによって『ギャラクシー』は、ジャンプアクションから、走り回ってスピンアタックするゲームへと、基本アクションが変貌しました。

もう一つの追加点が「スターポインター」です。これによって一定時間、無重力ジャンプを行って、星から星へと銀河を移動することができます。これもWiiリモコンをスターポインターに向けてAボタンを押すだけの、直感的で体感的な操作で、『ジャングルビート』で培ったシンプルな設計の流れを汲む物とのことです。

さらに『ギャラクシー』では、2人で遊ぶ「アシストプレイ」も実装されています。これは対戦プレイではなく、マリオのアクションをパートナーがWiiリモコンで手助けするというもので、協力プレイの一種です。これもまた「ジャングルビート」からの流れであり、不思議な連帯感が味わえるので、家族や友達だけでなく、ぜひ恋人同誌で遊んで欲しいとコメントしました。

このように『スーパーマリオギャラクシー』は、任天堂や小泉氏の13年間の様々な挑戦の集大成であり、何か特別なアイディアで作られているのではなく、多くのアイディアの結晶だといいます。これは「商品開発を通してユーザーのストレスをコツコツと軽減していく」という、メーカーにおける、まっとうな物作りの姿勢だと言えます。

ただし、この「ロードムービー」もここで終わるわけではなく、東京に戻ったら、またすぐ次の目的に向けて再スタートしたいと抱負が述べられました。「ギャラクシー」についても、未実装のアイディアや、可能性だけで終わっているものも多数あるとのことでした。



最後に小泉氏は、自身のゲームデザイン哲学について、「Y字路に突き当たったら、選択肢をできるだけ増やす努力をする」と述べました。一人で実現できなければ、多くの人の協力を借りてでも行うといいます。その上で、自分の選んだ道を楽しみながら、胸を張って進むとのことでした。3Dマリオを一度封印し、その上で新たな解決策を提示した小泉氏らしい言葉です。

小泉氏は「箱庭から銀河の先へと続く、次の目的地はどこになるんでしょうね」と漏らしました。これからの舵取りが楽しみです。
《小野憲史》

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