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【イベント】先端技術を使ったバーチャリアリティが集結―IVRC東京予選大会

あいにくの小雨模様となった9月29日・30日、日本科学未来館で国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)の東京予選大会が開催された。今年で15回目を迎える本大会は、バーチャルリアリティやロボットなどの、先端技術を用いたバーチャルリアリティコンテストで、学生の手作り感覚あふれる作品が激突するのが特徴だ。

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あいにくの小雨模様となった9月29日・30日、日本科学未来館で国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)の東京予選大会が開催された。今年で15回目を迎える本大会は、バーチャルリアリティやロボットなどの、先端技術を用いたバーチャルリアリティコンテストで、学生の手作り感覚あふれる作品が激突するのが特徴だ。

会場となった日本科学未来館。企画展「地下展UNDERGROUND-空想と科学がもたらす闇の冒険」も開催されていた


また、会場では米シーグラフのエマージングテクノロジーズ部門に入選した作品の凱旋展示をはじめ、最先端のインタラクティブ作品を展示する「インタラクティブ東京」や、IVRC審査委員長・筑波大学の岩田洋夫氏が研究代表者を務める「デバイスアート展」も開催され、数多くの親子連れでにぎわった。

「バーチャルリアリティ」と「手作り感覚」は、互いに矛盾する印象を受けるかもしれないが、実際はそんなことはない。確かに高度なハイテク作品も存在するが、既存技術の組み合わせで新しい価値を創造することもできる。学生ならではのユニークな作品でも世界的な賞賛を受けられる、幅の広い分野なのである。IVRCで総合優勝を果たした作品は、米シーグラフへの渡航サポートが受けられる。それ以外にもIVRC発の作品が多数入選していることが、この分野の懐の深さと、日本の学生のレベルの高さを実証している。

またバーチャルリアリティ技術はテレビゲームにも隣接することから、フロムソフトウェアが協賛しており、審査副委員長にもセガでジョイポリスの運営に携わっている武田博直氏が名前を連ねている。

IVRCは書類審査・プレゼンテーション審査・東京予選・岐阜本選という4ステージに分かれている。ただしプレゼンテーション審査で高順位を得ても、実際に作品が完成しなければ絵に描いた餅だ。しかも一般の芸術作品と違い、インタラクティブ作品には、「子供からお年寄りまで誰もが楽しめ」「体験しても壊れない」という、高いハードルが求められる。これが如何に厳しい条件かは、ゲーム機やゲームソフトの設計・製造・開発に携わっている人なら、誰でも理解できるはずだ。このように実践的かつ世界に繋がる登竜門となっているのが、IVRCなのである。

来場者は1枚ずつシールを渡される。最も好きな作品に1枚ずつ貼り付けて投票する仕組みだ


■プレゼン審査の通過順位と作品の完成度は?

それでは東京予選大会に出展された作品のうち、団体部門の10作品を紹介していこう。なお、紹介順はプレゼンテーション審査の順位となっている。つまり審査員が企画書を読み、開発チームに面接を行って、「これは期待できる!」と感じた順になっているのである。もっとも、数多くの番狂わせが発生するのも東京予選の魅力。岐阜本選に進めるのは、この中の4作品のみだ。どれが通過するか、写真と紹介文から想像してみると楽しいだろう。あっと驚く逆転劇は見られるのだろうか?(カッコ内はチーム名と学校名)。


No.01 MABOROSHI
(The 理工系男子/電気通信大学 知能機械工学科 松野・長谷川研究室)

スクリーンに表示される「透明人間」を鑑賞する作品。スクリーン上にはうっすらと人間の輪郭が映っているだけだが、顔の前で手を振ると、指の間から輪郭が、よりはっきりと表示される。スクリーンの奥から飛び出した透明人間は、鑑賞者の前でペタペタと足跡をつけ、再びスクリーンの中に戻っていく仕組み。この時、鑑賞者に対してスクリーン右上から空気の塊が飛び出し、透明人間にぶつかった感触を与える。透明人間の表示にはDLPプロジェクターを使用しており、この表示原理が応用されている。ただしCGにアンチエイリアシングをかけると、投影時にエッジが際だってしまうため、1つのポーズを5回にわけて表示するなど、透明人間の投影方法に苦心したとのことだった。

作品の特性上、写真に撮りづらい点は御容赦してほしい


No.02 かげかみさま
(かげかみさまのおかげ/奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 像情報処理学講座)

スクリーン上に投影される物体の「影」を、鑑賞者が指の「影」でつまんで投入口に入れると、変換器を通って足下のスクリーンに飛び出し、CGで表示される。この「モノの影」と「実際の形」のズレを楽しむという作品。スクリーン上の影の位置をカメラで撮影して位置を検出し、同じく指の第一関節と第二間接の動きを捉えて解析し、「つまむ」アクションを実現している。この認識プログラムの開発に苦心した。ただし「おじさん」と「傘」を表示させると、スクリーン上で「おじさんが傘ゴルフを始める」など、組み合わせの面白さを演出するまでコンテンツを作り込めなかったのが残念だったという。「影で影とのインタラクションを楽しむ」点がユニークだ。

影を投入口に入れると、ゴロゴロと台車が滑り落ちて、CGが表示される


No.03 虫 HOW?
(たまごちゃん/電気通信大学)

腕をはいまわる蟻と戯れることを楽しむという、なんともヘンテコな作品。腕に大人用は32個、子供用は20個の振動モーターのついたリストバンドを巻き、スクリーンに手を乗せると、次第に蟻が集まってくる。やがて振動モーターが次々に振動し、腕に「チリチリ」とした感触が伝わってくる。この感触を蟻の動きに見立てている仕組みだ。リストバンドには加速度センサーが付いており、腕を上下に動かすことで蟻の移動の向きが変えられ、腕を激しく振ることで蟻を振り落とせる。再びスクリーンに手を乗せると、今度は大量の蟻が腕をはい回るのが体験できる。現在は片手のみだが、PCやスクリーンを増やすことで両手で体験したり、大勢で体験することも可能とのこと。ただし人によって好き嫌いがハッキリ分かれるようで、得票は伸び悩んでいたようだ。

(左)二次元から三次元へと蟻がはい上がっていく感触が独特だ(右)こちらは子供用のリストバンド。振動モーターは樹脂プリンターで作成


No.04 いれたら
(にゃー/電気通信大学)

「人と真実の口のセカンドコンタクトが今、始まる。」とう鮮烈な煽りと、アナログさが楽しい作品。ローマの有名な「真実の口」のように、口の部分に手を差し込むと、ガブリと噛まれるのではなく、ペロンと指先を舐められ、ヒャーッとなる。中には人間が入っている……わけはなく、シリコンでできた舌にラテックスで皮膜がつけられ、独特の感触を生みだした。当初は手と舌の動きを連動させる予定だったが、最終的に舌が自動的に回転を続ける仕組みに落ち着いている。このほか頬の丸い部分を押したり、鼻の穴に指を突っ込むなどして、楽しませたり、怒らせたり、鳴き声を上げさせたりできる。「夏にアイスを舐めながら思いついた」とのことで、会場でも多くの観客が歓声を上げていた。

顔の部分は紙粘土で作成、素材探しに苦労したとのこと


No.05 HOP AMP
(ライトフライヤー/筑波大学)

トランポリンの跳躍にあわせて、下からプロジェクターで映像を投影し、まるで数十倍の脚力でジャンプしているような感覚が得られるという作品。映像が上下するだけでなく、何度も飛ぶことで高度が増したり、着地点が変化したりする。跳躍にあわせてスピーカーから効果音も流れ、跳躍を盛り上げる。トランポリンの膜に紐をつけ、ロータリーエンコーダーで振動を検知し、PC上で体験者の位置を物理計算して、それにあった画像をスクリーンに投影する仕組みだ。トランポリンにはホビー用の物が流用されており、膜が目の粗いメッシュ状になっているので、スクリーンに表示されたCGが上から透ける点がミソ。「スパイダーマンやスーパーマンのような世界を体験したかった」とのことだ。

ビル群の他に、Google Earthや雪山などの上を飛び跳ねられる


ここまでが上位5チームの作品となる。ここまでで、すでに作品の傾向が多種多様で、完成度もバラバラという、まさに玉石混合ぶりがわかるだろう。続く下位5チームも同様で、油断しているとトンデモない作品にぶちあたり、新鮮な体験をもたらしてくれる。

■下位作品にもハジけた作品が続出


《小野憲史》
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