「『ポケットモンスター(『ポケモン』)』は好きだけど、ガチの対戦環境に手を出したことがない」
『ポケモンチャンピオンズ』は、そんな人にこそ“刺さる”タイトルでした。誰でもスタートラインに立てるよう、様々な障壁を取り除いているのです。

改めて、これは株式会社ポケモンが送る最新作、『ポケモンチャンピオンズ』のメディア向け先行体験の様子をレポートする記事となります。
ざっくり本作の魅力を先にお伝えしておくと、育成がとてもカジュアルになったことで、ガチなバトルを楽しむためのハードルを非常に下げてあることがいちばんの特徴となっています。『ポケモン』のバトルが持つおもしろさだけをうまく抽出し、それ以外の要素は極力抑えたような仕様ですね。

ポケモン1匹ごとのステータス、いわゆる「生まれつきの強さ(6Vとか言われるアレ)」が廃止されたことにより、旧作プレイヤーに新規勢が追いつきやすく、また戦闘における複雑な読みも少しばかり軽減。
そこに賛否がある熟練のポケモントレーナーもいるとは思いますが、個人的にはおおむね“賛”であることをあらかじめ伝えておきましょう。
だって、こうなっていなければ長州力さんがDDラリアットをくり出すことなんてなかったでしょうから。
◆誰でも“ポケモンバトル”のスタートラインに立てる。手軽な育成で奥深い戦闘を
「なぜいきなり長州力?」という疑問はもっとも。まずは前提からお話しましょう。
このメディア体験会はプロレスの聖地“後楽園ホール”で行われ、体験の前にエキシビジョンマッチとして長州力さんvs武藤姉妹(タレントである武藤十夢さん、武藤小麟さん)によるポケモンバトルが行われていました。


その際に長州力さんがガオガエンをくり出し、専用技であるDDラリアットを武藤(姉妹の扱うポケモン)に、お見舞いする……という一幕があったんです。
この光景を見て、そのときはただ「長州力のラリアットを『ポケモン』でやるとは。おもしろいことをするなあ」ぐらいの感想だったんですが、実際に自分で『ポケモンチャンピオンズ』をプレイした後はもうちょっと別の意味にも見えてきたんです。
ようは、『ポケモンチャンピオンズ』は、誰でも手軽に、好きなポケモンで、好きな技を出せるようになっている、ということを見せたかったのかなと。

このエキシビジョンマッチ自体は公式がポケモンや技などを全部用意していたので、長州力さんが育成したポケモンで戦ったというわけではないのですが。あくまで「プロモーションの意図としてはそうだったのかな」という筆者自身の考えです。
まず本作は、ポケモンの育成が“トレーニング”という形で簡略化されています。そもそもレベルの概念がなく、あるのは“どの能力値をどれぐらい伸ばすのか”という、いわゆる努力値振りだけ。技や特性、能力補正(いわゆる“せいかく”を本作ではこう表記しています)も自由に選択可能です。
個体を厳選して、努力値を振りつつ必要レベルまで育てて……という部分が一切取っ払われているわけですね。

ただし、トレーニングにはVPと呼ばれるリソースを使用します。今回の試遊会ではVPがほぼ無制限に使えたため、実際に1体のポケモンを育成しきるためのVPを集めるのに、どれぐらいの時間がかかるかまではわかりませんでした。ただ、リソースが一元化されているぶん“育成にかかる手間”は大幅にカットされていると見ていいでしょう。
努力値振りは操作も感覚的。ゲージを使って振り分ける形になっているので、どのステータスをどれぐらい伸ばすのかが視覚的にわかりやすいものになっています。多少ゲームに疎かったり、年齢が幼かったりしても理解しやすいような表示だと感じられました。

そして、育成に関しては本当にこれだけ。好きにステータスを割り振って、能力補正(せいかく)と技を選んで……とすれば、待機時間なども無くすぐに実戦へ投入できます。
もちろん勝つためには様々な策を練らなければいけませんが、実際にバトルをするまでのハードルは非常に低い。それこそ長州力さんが、“実戦レベルに育てたガオガエンでDDラリアットを撃つ”のも、歴代の『ポケモン』シリーズに比べれば難しくはないはずです。

ここまでの育成についても、いろいろな意見はあると思います。手間がかからないからこそ「ポケモンに愛着が生まれない」とか「これは“育成”なのか?」とか、“生まれつきの強さ”がないことで「個性が失われる」とか、「読み合いの幅が減る」とか。
とくに“生まれつきの強さ”については、過去作からポケモンを持ってきた際にもフラットな状態(『ポケモンチャンピオンズ』の仕様に合わせられる)になる※とのことで、「せっかくの相棒が……」という気持ちになる人もいるでしょう。
※恐らく「生まれつきの強さ」がリセットされるわけではなく、『ポケモンチャンピオンズ』内ではそう処理されるという話かと思われます。

とはいえ、全体的にはハードルが下がったことによる良い面のほうが多いのではないでしょうか。実戦投入が簡単になり、複雑“すぎる”部分の読み合いは無くし、純粋なポケモン同士の戦いをシンプルかつダイレクトに味わえる。それこそ『ポケモンチャンピオンズ』が目指した形に思えます。

実際、体験会ではカジュアルマッチによる対戦ができたのですが、個人的にはすこぶる楽しいものでした。
バンギラスですなおこしした後、個人的に大好きなポケモンであるボスゴドラをメガシンカさせ、てっぺきを積んでのボディプレスですべてを粉砕。お互い最後の1匹がメガミミロップとメガサーナイトであり、期せずして人類惑わせ系ポケモンによる戦いが勃発。シンプルに強いガブリアスにチームを壊滅させられることもあれば、おうじゃのしるしを持たせたカイリキーでばくれつパンチを連打して無傷のまま相手のポケモンを2匹葬り、脳からいけない汁が出ることも。
いまでもその情景を思い出すと頬がほころんでしまうほどに、ポケモンバトルをエンジョイしていました。超楽しかった。


ちなみに今回体験できたバトルの形式は、お互い6体の中から3体を選出してシングルバトルを行う、非常にオーソドックスなもの。選出段階からヒリつくあの空気感はもちろんのこと、「相手がどういう行動をしてくるのか」という読み合い要素も当然あります。
もっともっと『ポケモン』のバトルに対しガチな方々であれば、当然ながら違う角度の意見が出るとは思います。ですが、遊んだ身としてはすごくいいシステムになっているように感じられました。



唯一の懸念点が、ポケモンの獲得がいわゆる“ガチャ”のようなシステムであること。育成にも使うVPか、もしくはチケットなどを使って、10匹の中から1匹を選ぶというもので、作中では“スカウト”と呼称されています。

(ほかに獲得の経路がなければ、ですが)スカウトでほしいポケモンが出るかは完全に運のように見えました。ここは明確に、過去作のポケモンを『Pokémon HOME』を使って集めることができる既存プレイヤーに有利な要素と言えるでしょう。
VPがどれぐらい手に入るかにもよりますが、既存プレイヤーの持つ“ポケモンの選択肢”という優位性を覆すのはそれなりの期間が必要なのではないでしょうか。好きなポケモンを引き当てるのも大変そうです。


ちなみにこの体験中に何度かスカウトを実施したのですが、ポケモンの種類自体は相当多いように見えました。ゾロアーク(ヒスイのすがた)など、リージョンフォーム系列の個体も数多く見られました。扱いの難しそうなスコヴィランやロトム(ロトムのすがた)なども確認。
ただ、スカウトを行う中で進化前のポケモンは見られませんでした。とはいえ当然「実装されている全ポケモンが確認できた!」と言えるほどスカウトをできたわけではないので、こちらは実際にリリースされてから改めて確認したいところです。
◆『ポケモンチャンピオンズ』は、“ポケモンバトル”の新たな盛り上がりの火種と成りうるか
総じて『ポケモンチャンピオンズ』は、純粋に“ポケモンバトルの楽しさ”が抽出されている、新たな『ポケモン』シリーズだと言えるでしょう。自身で感じた対戦の楽しさは、そう言い切れるほどに確かなものでした。
とはいえトレーニング、スカウトともに重要なリソースであるVPが獲得できる量などについてはまだまだ未知。そのため実際にプレイしてみないとわからない部分も多いです。ニンテンドースイッチ版の正式リリースは2026年の春を予定しているとのことなので、それはリリースされてから改めて判断される部分になるでしょう。

スマートフォン版は夏に配信が予定されています。もちろんニンテンドースイッチ版とのクロスプレイも可。先ほど書いたとおりバトルに参入するまでの障壁はかぎりなく取り除かれているので、もしかしたら家庭内の親子でカジュアルに対戦するような光景も見られるかもしれません。

“ポケモンバトル”を誰でも楽しめて、未来永劫続くものにする新たなタイトル。『ポケモンチャンピオンズ』を一足先に試遊した身としては、そのポテンシャルが発揮される日を、いまかいまかと待ちたいと思います。
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