
日本一ソフトウェアが発表し、現在も開発が進んでいる『ほの暮しの庭』。本作は初発表の時点でたちまち注目をされ、SNS上でも様々な話題が飛び交います。
ただし、その盛り上がりの一部には、「『ほの暮しの庭』にはホラー要素がある」「実は怖いゲームに違いない」といった推察を交えた声がありました。
もちろん、情報や映像をもとにどんな想像をするのかは、ユーザー側の自由です。しかし、はっきり明言されていないホラー要素を、さも真実のように語りすぎる風潮はいかがなものか……と個人的に思うところもあります。

確かに、『ほの暮しの庭』の企画・ゲームデザインを担当する溝上侑氏は、屈指のホラーゲーム『夜廻』シリーズを生み出した中核的な人物です。また、『ほの暮しの庭』開発責任者の勝又美桜氏も、『夜廻』チームのひとりでした。
とはいえ、前作がどれだけ怖いゲームだとしても、『ほの暮しの庭』をそのイメージに当てはめすぎていないかと感じている次第です。あんなに可愛いビジュアルで、スローライフ要素も楽しげなのに、みんなちょっと穿ちすぎじゃない!?
こうした思いから、開発陣の代表として溝上氏と勝又氏をお呼びし、『ほの暮しの庭』の実態に迫るインタビューを敢行しました。ホラーなんてありませんよね?『ほの暮しの庭』は明るく楽しいゲームでいいんですよね!?

──発表当時から大きな注目を集め、映像の再生回数は跳ね上がり、SNSでも話題の的だった『ほの暮しの庭』について、その本質や魅力について率直なところをたっぷりお聞かせ願えればと思います。溝上さんと言えば『夜廻』シリーズを思い出しますが、今回の『ほの暮しの庭』はまったく違うゲームになっていますね!
溝上侑氏(以下、溝上氏):そうですね。『夜廻』を作ってる時から、こういう明るいゲームを作りたくて。ずっと念願だったんですよ!
その念願が、今回ようやく叶って。明るくてほのぼのした平和的なゲームが作れて、我々もすごく嬉しい限りです。
──これまで『夜廻』シリーズを3作品作ったことで、ホラーゲームはもう一旦いいかな、と?
溝上氏:もう怖いのはやり尽くしましたよね。うん。
勝又美桜氏(以下、勝又氏):みんなもう「ネタが出ないよ」って。
──ホラー要素は『夜廻』で出し尽くしたんですね。
溝上氏:そうですね。そもそも怖いゲームはちょっと人を選ぶと思うので、次は誰でも触りやすい、平和的で穏やかなゲームがいいなって。
ほのぼのしたゲームなので、我々も毎日楽しく作っております。
──では、開発の職場は全員ニコニコで。
勝又氏:そうです。場の雰囲気がめちゃめちゃよくて、みんなで和気あいあいと楽しく作っていますね。
──そうした明るい開発環境から、どんなほのぼのとしたゲームが生み出されるのか、今から楽しみです。
溝上氏:『ほの暮しの庭』は『夜廻』を作っていたチームで開発しておりますが、ギャップというか、意外性を感じていらっしゃる人が多いですよね。
「『夜廻』を作ってたのに、こういう明るいゲームを作れるんだ」というところをお見せできればいいな、と思っております。

──『夜廻』を作られてた頃は、作品の雰囲気にちょっと引きずられて、開発の雰囲気に緊張感が漂っていた……みたいなことはありましたか?
溝上氏:そうですね。やっぱり、明るい気持ちにはならないですよね。
──題材が題材だけに。
勝又氏:『夜廻』の頃は、ネタ出しとか、どういうコンセプトのステージにしようかという時に、調べ物をするんですよね。その時には、やはり暗いものを調べるため、開発の空気もそちらの雰囲気に寄っていってしまいますね。
──『ほの暮しの庭』では、そういうものは全くないんですね?
溝上氏:もちろんです!
勝又氏:毎日、可愛い動物や綺麗なお花、美しい川とか見ながら開発していますからね。
──『ほの暮しの庭』はスローライフということで、色々な果物や植物を育ててますよね。『夜廻』とは全く違って、生の実感を覚えそうです。

溝上氏:『夜廻』ってゲーム画面も暗くて、出てくる人たちもみんな死んでるんですね。でも『ほの暮しの庭』は生きてる人ばっかり出てくるので、確かに「生」を感じるゲームかなと思います。
勝又氏:本作は自然が豊かですし、野生動物もいっぱい出てきますしね。家畜の動作が可愛いですし、息づいてる感じというのも画面から感じ取ってもらえると思います。
──今回はさらに四季もありますしね。目にも鮮やかな春夏秋冬からも、息づいている感じが味わえそうですね。

溝上氏:そうですね。『夜廻』は暗い画面だけだったんですけど、『ほの暮しの庭』は明るい昼間ですからね。そして四季折々の移りゆく景色や、舞台となる穏やかな村で流れる時間を、ぜひ感じて欲しいです。
──『夜廻』は、暗い路地裏で孤独と恐怖に震えていました。でも今回は、ものすごくリラックスした気持ちで遊べそうですね。
勝又氏:そうですね。それこそジョウロ片手に歩き回って、好きな植物でガーデニングしちゃったりだとか。
あと今回はクラスト要素もあるので、斧を手に山へ入って木こり気分で素材を集め、帰ってきたら自分の好きなものをクラフトする、みたいな。怖いことなんて、なにひとつありませんね。
溝上氏:今おっしゃられたリラックスっていうのは、確かにその通りです。リラックスしすぎて寝ちゃうかもしれませんね、ゲーム中に。
勝又氏:そうですね。思わず眠ってしまいそうな要素として、今回すごく音楽がいいんです。四季折々で音楽も変わりますし。
雨の日は雨ならではの落ち着いた、本当にチルな音楽が流れたりするので、そういった意味でも寝ちゃうくらいリラックスできると思います。

──作中の主人公は、朝起きて農作物の世話をして、住民とコミュニケーションし、山へ行ったり釣りをしたり。そういう1日を送ってると、身も心も充実して、夜なんてすぐ眠っちゃいそうですね。
溝上氏:そうですね。多分夜眠たくなっちゃうかなと思いますね。安心してぐっすりですよ。
勝又氏:次の日にまた明るい世界を見たいなって、多分すぐ寝ちゃいそう。
溝上氏:日々の作物の成長とかも楽しいですし。
勝又氏:早く明日の作物を収穫したいとか、生まれたての卵が欲しいとか、明日も住民に会いたいとかで、きっとすぐ眠くなりますよ。
──『ほの暮しの庭』は、明日の訪れが楽しみなゲームなんですね。
溝上氏:そうですね、うん。
──毎日、日の出を待ち焦がれるような。
溝上氏:そうですね、朝日を待つゲームです。
──話を聞いていると、夏休みの楽しい毎日がずっと続くような印象を受けますね。
勝又氏:本当に、毎日自分の好きなことをやって暮らすという形になりますね。

溝上氏:また、お庭だったりだとかも自分の好きなように配置してレイアウトできるので、自分だけの世界を作ることができるゲームだと思います。
──ゲームの雰囲気や物語、そしてシステムも含めてですが、『夜廻』とは全く違うゲームですね。安心して楽しめそうです。
溝上氏:よかったです。そう言っていただいて嬉しいです。
──次の作品は明るいゲームにしたかったという思いは、『夜廻3』の開発が終わった頃には固まっていましたか?
溝上氏:私自身は、『夜廻』シリーズを作ってる最中から常々、「明るいゲームを作りたい」と言ってましたね。
勝又氏:そうですね。『夜廻3』を作っている時から結構雑談をよくしていたのですが、その時から「もう暗い画面は作りたくない。早く明るい世界に行きたい」と口にしていました。
──では、『ほの暮しの庭』は本当に念願の作品ですね。
溝上氏:そうです。ようやく、こういう明るくてほのぼのとしたゲームを作ることができました。

──まだまだ開発中だとは思いますが、明るく楽しいゲームの完成を楽しみにしております。
溝上氏:ありがとうございます。開発者一同、これからも 明るく楽しく開発していきます。
勝又氏:はい! 今後も変わらず可愛らしいものをどんどん作り出していけたらと思います。
──きっと老若男女問わず楽しめるようなゲームになると思います。そうした将来のプレイヤーに向けて、メッセージを一言お願いします。
溝上氏:『夜廻』と違って、『ほの暮しの庭』は幅広い層にプレイしていただけるゲームになるよう開発しています。絵柄や雰囲気が気になった方は、ぜひ手に取っていただきたいなと思います。これからも開発を頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
勝又氏:『ほの暮しの庭』は、自分がプレイしていてもすごい楽しく感じています。レイアウトなどで自分の個性が出せるゲームなので、自分ならではのプレイングを楽しみたい方は、製品版が出た暁にはぜひ遊んでみてください。
──少し先になりますが、明るく楽しいスローライフが始まる発売日を、今から楽しみにしていますね。本日はありがとうございました!

ここまで読んでいただければ、今回の結論は明白でしょう。『ほの暮しの庭』は、「明るく!」「安心して遊べる!」「毎日が楽しい!」ゲームです。ええ、おふたりに直接聞いたので、もう間違いないでしょう。
これだけはっきりとコメントをいただいたのに、もし『ほの暮しの庭』にホラー要素があったら、今回お呼びしたおふたりを激しく問い詰めたいと思います! まあ、そんなこと、万が一にもありませんけどね!!
『ほの暮しの庭』は、老若男女が楽しく遊べる、明るいゲームです(にっこり)。
