
1986年に発売されたファミリーコンピュータ向けソフト『ドラゴンクエスト』は、当時はまだ広く親しまれていなかったRPGの楽しさを広く普及させ、後に盛り上がりを見せる“RPG黄金期”へと続く大きな1歩を記した名作です。
この『ドラゴンクエスト』と続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を元に、ドット絵と3Dを組み合わせる“HD-2D”によってフルリメイクしたHD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』が、2025年10月30日に発売されます。(※Steam版のみ10月31日)

RPG史を語る上でも外せない名作がどのような姿で蘇るのか、気になっている人も多いはず。先日行われた第2回メディア向け試遊会におけるプレイ体験を通して、本作に収録されているHD-2D版『ドラゴンクエストI』が持つ魅力の一部を、いち早くお届けします。
なお、プレイしたのはPS5版となります。また、ゲームバランスなどは試遊プレイ時の内容となり、製品版とは異なる可能性があります。
■HD-2D版『DQIII』をベースに、設定はさらにきめ細やかに

本作に先駆ける形で、シリーズのナンバリング3作目をHD-2Dでリメイクした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が、2024年11月14日に発売されています。
もちろん、物語からゲーム内容まで異なりますが、ベースとなるゲームシステムはHD-2D版『DQIII』と共通しており、HD-2D版『DQI』の操作面におけるプレイ感は、ほぼ同じような手触りで楽しめました。
レバーやボタンの入力はスムーズで、レスポンスも良好。移動速度やメッセージのスピードも十分で、もたつきなども感じません。また、「ダッシュ」による移動も可能なほか、会話内容などのメッセージを一瞬で表示する設定もできます。

設定面では、このほかにも様々なサポートがあり、プレイアビリティの向上に一役買っています。3段階のバトルスピードの変更、敵の弱点が視覚的に判別できる有利コマンド機能、目的地をガイドするテキストやマーカーの表示など、本作ではきめ細やかな設定が可能です。
HD-2D版『DQIII』から受け継がれた要素だけでなく、マップ上の宝箱表示のON/OFFのような“プレイヤーレベルで「欲しい・いらない」が分かれそうな要素”が個々人で調整可能になるなど、更なるブラッシュアップを感じさせます。
■1対多数の戦いは、広範囲武器と戦闘中の持ち替えで対抗

原作と同じく、HD-2D版『DQI』は主人公のみのひとり旅。戦闘中に頼れる仲間はおらず、攻撃はもちろん、HPの回復や毒などの異常状態の治療など、全てひとりでこなさなければなりません。
しかし、遭遇する敵は原作と異なり、複数の敵が群れを成して襲いかかってきます。1対多数の戦いが多く、数的には不利な状況ですが、この形勢を覆すシステムも用意されています。

まず、原作では常に1体の敵しか攻撃できませんでしたが、今回の試遊プレイにて、1グループの敵をまとめて攻撃できる「とげのムチ」の存在を確認。ムチ系の武器は他のDQ作品でも役立つ場面が多く、ひとり旅のHD-2D版『DQI』でも頼もしい相棒となってくれることでしょう。

ただし、ムチ系の武器は広範囲に攻撃できる反面、単体に与えるダメージはやや低め。そのため、1体のみの強敵やボスと戦う場合は剣や槍などが適しています。ちなみに、戦闘中も武器の持ち替え(装備)が出来るため、戦況に応じて適した武器に持ち替えられます。ひとり旅なので、武器の使い分けも重要です。
■勇者の戦いを支える「とくぎ」

また、HD-2D版『DQI』の旅を支えてくれる新要素のひとつに「とくぎ」があります。シリーズでは定番要素のひとつですが、初代や2作目のリメイクに「とくぎ」が導入されるのは今回が初。特にHD-2D版『DQI』では、ひとりで全てをこなすため、その重要度もより増すことでしょう。
今回のプレイで、開始時点から覚えていた「とくぎ」は、特定の敵に有効な「けもの突き」と「かえん斬り」、攻撃を受け流して敵か自分がダメージを負う「うけながし」、華麗に攻撃をかわす「みかわしきゃく」の4つでした。
なお、未習得を示す「???」の欄がいくつもあったため、製品版では数多くの「とくぎ」を使った冒険を味わえることでしょう。

ちなみに、「とくぎ」や様々な効果がある「じゅもん」は、レベルアップ時に覚えるだけでなく、新たなアイテム「巻物」を使うことでも習得できます。試遊プレイでもいくつかの巻物を発見し、「ちからため」「ヒャド」「トラマナ」などを覚えました。
新アイテムの「巻物」は、HD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』に収録される『DQII』にも登場するとのこと。パーティ人数が多いため、「巻物」の入手で戦略の幅が大きく広がりそうです。

原作と比べると敵の数こそ増えましたが、範囲攻撃のムチや多彩な「とくぎ」が使えるため、戦闘の難易度が跳ね上がったという印象はありません。むやみやたらと苦戦するようなことはなく、どの敵から倒すかといった戦略性が増し、戦闘の手応えや醍醐味がより感じられるような仕上がりになっています。