ある日、Game*Spark編集部にKONAMIからお誘いのメールが舞い込んできました。内容は『pop’n music』の新筐体を取材しませんか?というもの。

『pop'n music』といえば、KONAMIの『beatmania』に続く、BEMANIシリーズ第二弾としてリリースされた、9つのカラフルボタンを音楽に合わせて叩くリズムゲームです。初代『ポップン』リリースから27年経つという、実は音ゲーの中ではでぇベテランな作品。
先日も『ポップン』新筐体のロケテストが関東・関西で行われていたのですが、過去の筐体には存在しなかった新たなボタンなど、様々な新要素が盛り沢山だったようで、非常に話題になっていました。

筆者は本作を初代からプレイしている大ファンなのですが、残念ながらロケテストには参加できませんでした。ということで、これは渡りに船!と、晴海にあるコナミのオフィスに突撃してきました!
これが新筐体だ!

ドドン!と、こちらが『pop’n music』の新たな筐体です!
モニターは43インチで、なんと120fps対応の高性能モニターが搭載されています。スピーカーも従来の2スピーカーから、4スピーカー&1ウーファーへと大幅パワーアップ。ボタンとメインモニタの間にはタッチパネルも用意され、楽曲セレクトやオプションの管理、そして演奏中はHIDDENやSUDDENのオプションの微調整が可能なスライダーにもなる便利な端末に!
そして、筐体中央部にあるヘッドホンのアイコンの部分には、イヤホンジャックを標準搭載しています。ただし、現在の位置ではプレイ中に端子やケーブルが干渉してしまうこともあるため、もう少しサイドの方へと移すとのことでした。細やかな気配り……!


そしてそして、今回一番目を引くのが、この2つのポップ君!ただの飾りではなく、プレイ中のHIDDEN・SUDDENのON/OFFに使えるという有能ボタンでした。今までは演奏中にテンキーでON/OFFを行う必要がありましたが、今作からはポップ君を押せばOK。

黄色・白色ボタンからポップ君ボタンへの距離はこのくらい。ポップ君ボタンは軽くも重くもなく、でも押そうと思えばパコッと押せるくらいの重量感です。高レベルの曲をプレイ中だと、勢い余って強めにポップ君を叩いてしまいますが、パッコォーンといい音を出してくれます。

おでこに取り付けたアクションカメラで撮った画像、こんな感じでオプションの調整が行えます。
アクションカメラでプレイ動画も撮らせていただきました!01:00~のあたりで、青ポップ君を押してSUDDENをONにしている様子も確認できます。ただ、おでこにカメラがある状況に慣れていないのと、開発の方に見られているという環境に気づいてしまったことで筆者のパフォーマンスは乱高下、もうすこしだけボタン周辺もカメラに映るようにしておきたかった……!
プロデューサー・ディレクターインタビュー!「もっともっと愛されるポップンに」

プレイの後はプロデューサーとディレクターにお話を伺いました。
左から今作のプロデューサーの「Des-ROW」氏と、ディレクターの「wac」氏です。両氏ともBEMANIシリーズには古くから関わり、作曲などを行われています。
――今回、新たな筐体を作ろうとなった経緯などを教えていただけますか。
Des-ROW 僕はずっと新しい『ポップン』の筐体を作りたいなと思っていたんです。なかなかタイミングと機会が無かったのですが、ようやく今回立場的にも作れることになり、愛情たっぷり込めて新筐体作るぞ!という気持ちで作りました。
今回に関していえば、ファンに愛されたベースとなる部分や『ポップン』の文化があって、慣れ親しんだ『ポップン』を正統に進化させたいと。みんなに愛される『ポップン』を、もっともっと愛される『ポップン』にしたい、そういうコンセプトで作ってます。(左右のポップ君を見ながら)かわいいっしょ、これ!

――まさにそこを聞こうと思っておりました。初代『ポップン』から27年、まさか実物のポップ君を叩ける日が来るとは思ってもいませんでした。どういった経緯で「左右にポップ君のボタンを設置しよう」という流れになったのでしょうか。
Des-ROW 『ポップン』は9ボタンで遊ぶゲームですが、プラスで何かギミックを追加したいなとは思っていました。それで、はじめはシンプルなボタンを置いていたんですよ。ボタンを置いて、それでオプションを操作してもらったり、このボタンだけで2レーンのミニゲームをしたらどうか、といったようなことを色々考えていました。そんな中、プロジェクト立ち上げのメンバーがみんな集まって色々話してるときに「これ、ポップ君にしたら良くないですか?」って言ったスタッフがいるんです。メカハード担当の若いスタッフなんですけど、昔からすごく『ポップン』が好きな子で。「それだ!」と言いましたね。
wac なんかテレビのドキュメンタリーとかの、その瞬間に何かが生まれた…、みたいな(笑)。改めて、ゲームってこういう風にできていくんだなと、ちょっと感動しましたね。
――ロケテストに参加したユーザーもびっくりしていましたね。ゲームセンターでは絶対に目が行きますし、触りに行きたくなりますね。
wac やっぱりただのボタンとポップ君ボタンではインパクトが全然違います。素晴らしいアイデアをもらえたなと思いました。
Des-ROW 『ポップン』の筐体らしさをさらに際立たせるアイコンになっていますからね。かわいいんですよ、本当にこの子たちが。なんなら今後喋らせたいなと思ってます。
――夢が膨らみますね。ロケテストではこちらのポップ君はオプションのつけ外しに使っていましたが、正式リリースとなった際は他の使い道も考えられているのでしょうか。
wac そうですね、オプションの切り替え、また今言ったように喋らせる、でしたり。使い方に関しては初心者の方にも楽しんでもらえる遊び方だったり、ミニゲームを用意できるんじゃないかなど、色々検討しているところです。
Des-ROW 僕は、このポップ君ボタンを愛されるボタンにしたいんですよ。
wac あんまり憎まれる使い方はしたくないですよね。なので、そのあたりはしっかり考えています。
Des-ROW ですので、ポップ君を足して11レーンにする、みたいな難易度を上げるような方向の使い方は今のところ考えてはいません。
――新型筐体にはイヤホンジャックが標準装備になりました。これはユーザーからの要望が多かったのでしょうか?
wac そうですね。前から要望自体はよく耳にしていましたし、ロケテストの直前にアンケートも取ったのですが、その時もやはり「イヤホンジャックが欲しい」という声はたくさんいただいていたので。正当進化として今時の筐体には標準装備にすべきだろうと、今回用意させていただきました。
――今回行われたロケテストでは楽曲それぞれへのジャンル名が復活していました。復活となった経緯などをぜひお聞きしたいです。

wac 当時は、一つの楽曲に対して曲名とジャンル名が混在することで、他の機種などから入ってきた方などが曲名で探せなかったり、わからなくなってしまうことがあるだろうということで外されたと記憶しています。
ですが、やはり『ポップンミュージック』におけるジャンル名というものは『ポップン』の面白さ、『ポップン』を『ポップン』たらしめているものだと思っています。これがあるから『ポップン』の曲の世界観が広がったというところがありますので。
今もいい曲がいっぱいありますが、これにジャンル名が付いたらもっと面白く感じてもらえるだろうなと。ジャンル名を見ただけでなんだか遊んでみたくなる、または過去の楽曲でも本当に訳のわからないジャンルもありましたけど、それも含めて『ポップン』らしいよねと。先程の正統進化というお話もあり、ジャンル名も『ポップン』の取り戻すべきひとつの要素だろうということで、今回ジャンル名を復活させていただきました。
Des-ROW 僕も当時担当していなかったので、ジャンル名を復活させたかったんですよ。『ポップンミュージック』のアイデンティティだと思っているので。
――『ニコニコサンフラワーキッス※』がジャンル名に使われて話題になっていましたね。
※あさき氏が作曲した『魚氷に上り耀よひて』という名前の楽曲。「うおひにのぼり かがよいて」と読むのだが、読み方が難しいということで「ニコニコサンフラワーキッス」に変更された経緯がある。なんで?。

wac ネタとしてご存知なのは相当古参な方ですね。あの曲は作曲者本人がジャンル名も付けてたと思いますが、ジャンル名が復活したということをお知らせするには一番いい使い方をしたなと。流石です(笑)。
――プレイ中に左右に表示されるキャラクターに関してもお聞きしたいです。今回新たに用意されたモデルはとても可愛く動いていますね。
wac そうですね、『ポップン』といえばという部分で、先程のジャンル名もそうですし、キャラクターたちも重要だと感じています。ただ、最近はあまり新しいアニメーションを作れていなかったので、今回新筐体を用意するにあたって、やはりこれも正統進化という部分でキャラクターのアニメーションを増やしていければと思っています。

wac 画面サイズも大きくなったことで、新しく用意したキャラクターは現行のキャラクターよりも大きく作っています。また、今までのキャラクターもそのまま拡大してしまうと表示が荒くなってしまうため、きれいに見える処理を行っています。
加えて、新たに制作したキャラクターのアニメーションは現在のロケテストバージョンではまだ完成形ではなく、これからどんどんブラッシュアップしていく予定ですし、今後様々なキャラクターを作っていこうと思っています。ロケテストバージョンは今後のアニメーションの作り方などを提示したという感じですね。
ちなみに、ロケテスト段階でキャラクターのアニメーションにLive2Dが使われているんじゃないかと言われていましたが、実は違うんです。近い動きではありますが、あれはすべてアニメーションを描いているんです。
Des-ROW 『ポップン』って、キャラクターが愛される音楽ゲームの元祖だと思っているんですよ。なので、その部分は正統進化として、もっと深くフィーチャーしていきたいと思っています。
wac キャラクターを選んで、自分の推しキャラはこれだぞっていうのを出せる音ゲーって『ポップン』が割と早かったんじゃないかと思っていますね。どのキャラも好きになってもらえる、そういう世界を作れたのが『ポップン』の面白みだと思っています。

Des-ROW キャラクターという意味では、今回モニターが120fpsのものになったことで、ポップ君もかなり滑らかに降ってくるようになっています。さらに今回は判定調整のオプションも入れさせてもらっています。
wac 判定調整も事前のアンケートでたくさんの要望を頂いていましたので、急遽ロケテスト段階から用意しました。だいぶプレーしやすくなるんじゃないかなと思っています。
――ハイスペックな筐体が用意されたということで、『ポップン』がBPL(BEMANI PRO LEAGUE)に来るのでは、といった期待のつぶやきも散見されます。
Des-ROW スペック的にはもうバッチリ問題ない作りになっています。ただ、いまのところその予定はないです。というのも、僕の考えなんですけど『ポップン』って、みんなでわいわい楽しむことができるタイトルなんですよね。もちろん大会だったり、いろんな競う場っていうのはすごく良いものなので、軌道に乗ったら他とはちょっと違う、オリジナルな魅せ方のできるものがやれたらいいなと考えています。
――初代『pop’n music』リリースから27年という歳月が過ぎ、初代からプレイしていた少年も今や大人です。同時に、ゲームセンターで『ポップン』をプレイしている若い方も多く目にします。開発側から見てユーザーの世代交代といいますか、世代移行、そのあたりはどう感じているのでしょうか。
wac そうですね、おっしゃるように、リリースから27年くらいのゲームですので、やはり昔から遊ばれている方ですとご自身の環境で離れざるを得なかったりということもあると思います。同時に、確実に新しい方も入ってきていただいてるというところはありまして、ゲームセンターの各BEMANIシリーズでしたり、音楽ゲームそのものの盛り上がりなどの部分で『ポップン』に興味を持っていただくことや、キャラクター要素から入っていただける方も今でもたくさんいらっしゃいますね。そういう意味では、何かしらの新陳代謝は行われているのかなとは思います。
そして、今回の新筐体によって、興味を持っていただける人が増えてくれればと思っています。ポップ君ボタンがつくことで「なんだこれは」と目に付く人が増えるかもしれませんし、過去にプレイしていたけど、最近は遊べていなかったという方もこの機会に思い出していただければと。
あと個人的には、世代交代というよりも、「交代」する必要は特になくて、ただ新しい世代がどんどん入って『ポップン』をプレイしてくれるユーザーがどんどん増えていってくれればと思っています。抜けないで欲しいです(笑)。
Des-ROW ゲームセンターに行くと、たまに親子でプレイされている方も見かけるんですよね。そういう世代を超えて、一緒に遊べるゲームになればいいなと思っています。
wac 昔から遊んでくれている方はもう親御さんの世代だったりするんですよね。お子さんに「これ遊んでたんだよ」って伝えて、一緒に遊んでもらえるような、そういうゲームになってくれると本当にいいなと思っています。
――親子大会とかもできそうですね。
Des-ROW 楽しそうですね。
wac 親子部門のある音ゲーの大会。『ポップン』ならではですね。
Des-ROW まだまだ100年以上続けるつもりですからね。
wac 100年後のことは知らんすよ(笑)!
Des-ROW 続くんだよ!

Des-ROW氏、wac氏が手掛ける『pop'n music』の新バージョン・新筐体は絶賛開発中です。正式なリリースなどは今後アナウンスされる予定ですので、ワクワクしながら「ボクらの未来がカムヒアー!」する瞬間に期待しましょう!
新筐体が待ち切れないぜ!という方には、最新作『pop’n music Jam&Fizz』がゲームセンターなどで好評稼働中です。さらに、お家でも『ポップン』を楽しめる『pop’n music Lively』もPC向けに好評配信中です。こちらを遊んで新筐体に向けて音ゲー力を蓄えてみてはいかがでしょう。
ゲーム画面は開発中のものです。
©Konami Amusement