斬!打!突!
この3文字で鋼が火花を散らすガキィイン!という音が聞こえたそこの武具マニアのあなた。何も言わず『Blades of Fire』をプレイしてみてください。きっとあなたが探しているロマンがそこにあるはずです。
『Blades of Fire』はスペインのスタジオ「MercurySteam」のオリジナル作品で、武器製作にフォーカスしたアクションRPGです。開発に携わった『メトロイド ドレッド』は高い評価を受けており、かつては『キャッスルヴァニア ロードオブシャドウ』シリーズ3作品も手掛けました。アクションに定評があるこのスタジオがどんなものを送り出してくるのか、気になっている方もいるでしょう。今お伝えしたい本作の魅力はたった一つ。
鍛冶師として武器をひたすら作り続けるべし!
主人公のアランは不思議な鍛冶の力を持っており、戦う武器は全て自分で作らなければなりません。そのうえ、武器は使っている内に刃が鈍り、耐久性が落ちていき、最終的には修理すらできなくなって溶鉱炉行きに。どんなに良い武器を作ろうとも永久に使い続けることは不可能です。

斬撃と刺突を続けていると刃を消耗するので、威力を維持するには適時研ぎ直しが必要です。研ぎ直しは耐久値を大きく消費し、無茶な使い方をすると一層武器の寿命を縮めてしまいます。倒した敵からは素材が入手できるので、壊れるまでに集めた分を使って、常に新造の武器に入れ替えていく必要があるのです。
切れ味か、バランスか?奥深い武器カスタマイズで理想を形にしよう


本作の武器製作は考慮すべき要素がたくさんあり、刀身一つ取っても長さ、先端や刃に使う金属の種類までカスタマイズできます。もちろん威力を上げる鋼を使いたいところですが、武器の扱いは単に切れ味が良ければ良いというものでもありません。

武器には全体の重心バランスがあり、ブレードや各パーツの素材が武器の扱いやすさに影響します。バランスが悪く扱いにくい武器になると、消費するスタミナ、振りの速さにマイナスが付いてしまいます。
強敵相手になると防御回避主体で隙を突く戦術が必要になる場合があるので、攻撃力だけを見て重い武器を作ってしまうと、当てに行こうとしても次撃にやられてしまうでしょう。「振り回される」ような武器を作っているようでは鍛冶師失格です。自分の手の延長として思い通りにコントロールできることを第一としましょう。

武器の設計が決まったら、自らハンマーを振るって打ち延ばす「鍛造」の工程に入ります。打ち方を自由にコントロールしながら、設計図の通りの形に近づけていきます。鍛造の出来によって武器の最大修理回数が決まり、より長く使い続けられる武器にするには、しっかりとハンマーを振るって品質を上げなければいけません。(なお、鍛造で修理回数以外の性能は変化しません)
武器が完成したら早速素振りで出来栄えを確かめましょう。同じ武器種であっても、先述の重さやバランスによって使い勝手が大きく変化します。パリィや回避は十分か、ガードはどれだけ受けきれるか。僅かな差が生死を分けるので、納得いかなければ作り直すのも手です。
倒されてしまうと使っていた武器は紛失し、落とした場所まで取りに戻らなければなりません。せっかく作ったのにろくに使えなかった、なんてことにならないよう、必要な性能をしっかりイメージしてから設計してください。
『Blades of Fire』ストアページ武器と防具の歴史を知って、ゲームに活かそう

武器の歴史は道具の歴史、ひいては人類史そのものと言っても過言ではありません。石斧で木や骨を割り、槍と弓矢で動物を狩り、鋭い刃で肉や皮を切る。そうした生活の道具がやがて人間に向けて使われるようになりました。斧で木を伐るように、ナイフで肉を切るように、それは武器になっても基本的には変わりません。つまり、相手がどこに防具を身につけているか、どんな素材で防具が出来ているか、それに応じて使い分けをする必要があります。ピッケルはナイフとフォークの代わりにならず、フォークで鉱石は掘れないのです。
そのため、武器の歴史は防具と表裏一体。特に武器の形態を大きく変えたのが、全身を覆う十字軍時代のチェインメイル、そして完全防備を可能にしたルネサンス期のプレートメイルです。

それ以前の鎧は先ず頭と胴体を守り、籠手などを手足に補助で付け、そして大きな盾を使って全身をカバー。そのため、弱い布革や素肌のままになっているような無防備な部位が多くありました。近接戦ではそれを歩兵の片手剣で斬り、突くことでダメージを与えます。
木製の盾を破るために斧も積極的に用いられました。欧州で猛威を振るったヴァイキングは日用道具と武器で共通する斧を使い、遠征先での暮らしに役立てていました。

中世に入ると金属の加工技術が上がり、それまで胴回りだけだったチェインメイルが手足まで完全に覆う形に発展。クッション性の軽い厚手の服を重ね着して、従来の軽い武器では通りにくくなります。すると、チェインメイル越しでもしっかり衝撃を与えられるよう、武器はより重く大型化していきます。騎士槍のような金属を全体に使った武器は高価であり、フルアーマーと上等な武器を揃えることは、騎士の家の名声を示すことと同義でした。

プレートアーマーの時代にはより隙間を突くのに特化した細身の刀身が現れ、それから程なくして戦争の主役が火器に交代すると、武器は権威の象徴として装飾性の高いものへと移り変わっていくのです。
『Blades of Fire』に登場する多彩な武器たち

短刀
最も軽量かつリーチの短い武器種。ガードはほぼ受け止められないので、しっかりと相手の攻撃を躱して懐に入り込む見極めが要求されます。戦場の主役にはなれませんが、護身用として一般人にもよく用いられます。レスリング的に組み合ったときに首や脇などの隙間を狙う、二刀流の受け流しに使うなどの補助武器としても有用です。
ゲームでは二本持ちで最も素早く動けるスピードタイプ。間を詰められたときにさっと抜いて反撃、「接近戦じゃナイフの方が早い」なんて格好つけてみます?

剣
斬撃、突きを両立する万能性に優れたカテゴリー。古代においては貴重な金属を多く使うことから権力を示すアイテムとしても重宝されました。剣はリーチの長い刺突と、最接近したときの斬り付けを両立できる点が武器として優れている点です。片手武器は古くは盾で防御、武器で攻撃と役割分担がありました。その特徴はガード(鍔)の部分に見ることができます。ローマ時代の剣「グラディウス」にはガードがほとんどなく、多少打ち合うくらいはできても鍔迫り合いは難しいです。
それが鎧の発達につれて盾の防御の役割が小さくなると、盾は受けるだけでなくバッシュ技などで積極的な攻めにも組み込まれ、その反対に受けの役割を剣も担うように変化します。よく見る十字型の剣はこの頃から発達しました。
本作には盾がないので、ゲーム中では剣一本で戦わなければなりません。ガードはあまり強くないので、パリィと回避で相手の攻撃を正面から受けないようにしましょう。

大剣
防具の発達によって盾を持たなくなったプレートアーマーの時代、一本で攻撃も防御もこなす巨大な両手剣が出現しました。長い刀身はリーチも十分長く、防御に耐えられる鋼の頑丈さを持ち、長柄武器の柄をへし折ることも難しくないことから、戦場においては万能の武器として恐れられました。
ゲームでは高いガード性能と、重さでガードを破る衝撃の能力に優れており、ファンタジー特有の大きな怪物も正面から相手取れます。

槍、長柄
槍は武器の中でも最も歴史が古いものの一つで、矢と並んで先史時代から狩猟、対人戦に用いられてきました。槍を含めた柄の長い様々な武器は農具とも扱いが共通しており、リーチも長いことからそこそこの訓練でも扱いやすい、かつ金属部分も少なく製作コストが安いということで、大規模集団戦闘では最も用いられる武器種です。
古代のローマ、ギリシャにおけるファランクス陣形は有名ですね。懐に入られる乱戦には弱いですが、元々狩猟道具だけあって騎兵の馬にも対応することが可能です。逆に騎兵も馬上から攻撃できる槍を使い、鎧を着せた馬で戦場を駆け抜けました。

アーマーの重装化が進むと、衝撃力で鎧と骨を砕くウォーハンマーやポールアックス、槍と斧両方の刃を付けたハルバードや、引きずり下ろすフックを付けたビルなど様々な用途で多様化していきました。
ゲーム内で最初に製作できる打撃のみのヒソップは、鎧を着た一般兵相手なら軽く蹴散らせる威力を持ち、「打撃は鎧に効く」を真っ先に覚えられます。穂先部分の特性を理解して、それに適した運用を心がけましょう。
『Blades of Fire』ストアページ万能な武器は存在しない―敵の特性を見抜き、戦略的に武器を選び抜け

『Blades of Fire』には30を超える種の武器がありますが、同時に様々な防具や特性を身に付けた敵が多数登場します。多くの敵に斬突打いずれかの耐性が備わっていて、どんなに強力な武器を作ったとしても、決してそれが万能になることは有り得ません。
作れる武器は所詮使い捨ての消耗品なのですから、今立ち塞がっている敵を倒すには何に特化するのが良いか、そこに全てを集中させましょう。
それぞれの武器の特性を踏まえた上で、目の前の敵には何が効果的かを考えて計画的に武器を作ります。そのために観察して捉えるべき情報は主に以下の4つ。
アーマー特性(斬突打の耐性)
攻撃の間合い、振りの速度
弱点となる部位
同時に相手取る数

基本的に甲冑を着けていない相手なら斬撃、重装備をしているなら刺突、ガードが硬い相手には打撃と使い分けます。剣なら刺突と斬撃といった具合に、武器にはおおよそ2属性の攻撃が備わっていて、それぞれの刃に耐久度があります。コストのかかる研ぎ直しを一度で済ませられるよう、バランス良く使い分けると長持ちさせられます。

また、部位ごとに違う種類の弱点を持つ敵もおり、上下左右の太刀筋で狙う箇所を選ぶことも大切です。リーチが長い武器を横薙ぎで振ると複数の敵にまとめて当てられるので、敵の数が多いときは長柄武器や大剣を使うと効果的です。ただし、環境オブジェクトにも当たり判定があるので、狭い場所では縦の筋に絞って使いましょう。
武器の製作と特性のリアリティに全てを注ぎ込んだと言っても過言ではない『Blades of Fire』。古代に滅んだ巨人「フォージャー」と、その言葉を使える青年アドソ、鋼を石に変えた女王ネレア、主人公アランは何故フォージャーの力を持っているのか、世界に秘められた多くの謎も気になるところ。なにはともあれ赤熱する鋼にロマンを感じるなら、本作であなたの渾身の一振りを打ち出してみませんか?
『Blades of Fire』ストアページ