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マリオ兄さん、今どこに?『ルイージマンション2 HD』で見る「臆病者ルイージ」の強さ

ゲーム界の名兄弟であるマリオとルイージを『ルイージマンション』シリーズを通して改めて考察します。

ゲーム Nintendo Switch
マリオ兄さん、今どこに?『ルイージマンション2 HD』で見る「臆病者ルイージ」の強さ
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2013年3月にニンテンドー3DS向けに発売された『ルイージマンション2(以下、ルイマン2)』。このHDリマスター版『ルイージマンション2 HD』が、6月27日にニンテンドースイッチ向けにリリースされました。

現在、『ルイージマンション』シリーズは全3作を数えています。リマスター版を除いたシリーズ足掛け18年の中で、ルイージの性格は「臆病でホラーが苦手」ということで定着しました。

しかし、ルイマン以前のマリオシリーズを振り返ってみると、ルイージは臆病どころか無鉄砲だったり……?

◆「臆病な弟」ルイージが明確になった作品

初代『ルイマン』の登場は2001年9月、ニンテンドーゲームキューブ向けのソフトでした。

それまでは「マリオシリーズの2Pキャラ」に過ぎなかったルイージが主役の作品で、キャッチコピーは「マリオ兄さん、今どこに?」。マリオシリーズのような「ジャンプして敵を踏む」というアクションは封印し、代わりにオヤ・マー博士からもらった「オバキューム」という掃除機型ガジェットでおばけを吸引します。

何より新鮮だったのは、「ルイージは臆病」という設定が明確になった点です。

恐る恐る屋敷のドアを開けるルイージ。その表情は完全に怯えています。この初代『ルイマン』ではマリオは行方不明になってしまったというシナリオなので、彼がひとりで何とかするしかありません。

もちろん、続編である『ルイマン2』でも「臆病なルイージ」という設定は引き継がれています。その上、『ルイマン2』のルイージは見たところオヤ・マー博士にコキ使われっぱなしで、見ていると不憫に感じてしまうほど。能動的にクッパに立ち向かうマリオとは違い、受動的におばけと立ち向かわざるを得ない状況に無理やり追い込まれるルイージというイメージがこの作品で確立したようにも見受けられます。

◆かつては「無鉄砲キャラ」だった!?

ところが、そんなルイージはかつて「兄以上に無鉄砲なキャラ」という位置付けでした。

1986年発売の『スーパーマリオブラザーズ2』の説明書には、「ルイージはマリオより無鉄砲に飛び上がります」と書かれています。その文言が示す通り、ルイージはマリオよりジャンプ力がありますが、それと引き換えに「スリップしやすい」という弱点がありました。驚くべきことに、当時のルイージの性格は今とは真逆だったのです。

そうした過去作をプレイした後に今回発売されたリマスター版『ルイマン2』を遊んでみると、「マリオとルイージの関係」についていろいろと考察することもできます。

◆兄の強さを弟が支える

今ではむしろ珍しくなった「強い兄と頼りない弟」。マリオとルイージは、ある意味では「保守的」とも言える兄弟関係を保っている……と考えるのは筆者だけでしょうか。

こんな話があります。アニメ『サザエさん』の家族は、もはや時代にそぐわないのになぜ今でも「磯野家とフグ田家の二世帯住宅は日本のスタンダードと言われているのか?」というものです。

長谷川町子先生がフクニチ新聞で『サザエさん』の連載を開始したのは1946年。この時代は戦後の混乱期とはいえ、大家族は特段珍しいものではなかったはず。そこには固定化された親子関係があり、固定化された兄弟姉妹の関係がありました。良い意味でも悪い意味でも、この時代の家庭は固定化された関係の上で成立していたと言えます。

いたずらっ子のカツオとしっかり者のワカメのように、今現在のマリオブラザーズは強くて頼もしい兄のマリオ、臆病で頼りない弟のルイージという「兄弟らしい兄弟」としての位置付けが定着しました。

ただし、兄の強さは弟のファインプレーがあってこそ。このあたりもルイマンでしっかり描かれています。

ルイージから見たマリオは、強くて勇敢な兄です。ですが、その兄が何らかの理由で動けなくなった時は臆病な弟が勇気を振り絞るしかありません。これは見方を変えれば、いざという時に勇気を発揮する弟がいるからこそ兄は常に勇敢でいられるということではないでしょうか。

◆本当は強いルイージ

オヤ・マー博士にいいようにコキ使われるルイージは、それでも大胆なアクションで難関を攻略していきます。

筆者個人が感心しているのは、ルイージは表情や仕草こそ怯えているけれど、腰は決して抜かしていないという点。オバキュームでおばけを吸引する際、それを綱引きのように引っ張りながらタイミングよくAボタンを押さなければなりません。その最中のルイージの姿を見てみると、下半身にちゃんと力が入っています。「彼は全力を振り絞っている」ということが、Switchのジョイスティック越しに伝わるほどです。

そして、『ルイマン2』はある意味で伝統的な2Dマリオシリーズよりも細かい操作を要求されます。おばけに対して、ルイージはストロボの光を照射して膠着させます。その隙にオバキュームで吸引するわけですが、中には鍋の蓋を盾に使ったりサングラスをかけているおばけも。そいつらをどう吸引するか……ということはマメで器用なルイージが得意とする場面です。

何だかんだで、ルイージは強いんです! そして、こんなに強い弟がいるからこそ兄は大活躍できるのだという事実を『ルイマン2』から再確認することができるのです。


『ルイージマンション2 HD』は、ニンテンドースイッチ向けに発売中。価格はダウンロード版が6,500円(税込)、パッケージ版が6,578円(税込)です。詳しくは公式サイトをご確認ください。


ルイージマンション2 HD - Switch
¥5,382
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ルイージマンション3 -Switch
¥5,364
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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