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日常生活にゲームを作り出すクリエイター・朝戸一聖【令和遊戯研究室】

タンサン株式会社の朝戸一聖×CHOCOLATE Inc.カイジエンドのボドゲ対談!

その他 ボードゲーム
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今回の「令和遊戯研究室」は、TANSANFABRIK(タンサンファブリーク)という自社ゲームレーベルを行い、数々のボードゲームを世に送り出しているタンサン株式会社の朝戸一聖さんとの対談をお届けいたします。

朝戸さんの、ありとあらゆる日常生活のなかにゲームを作り出してしまうゲームクリエイター脳に感動しました!!!

カイジエンド(以下、カイ)本日はありがとうございます。今日は、朝戸さんには本当にいろいろ伺っていきたいと思っているのですが、まずは読者の方に自己紹介といいますか、ご自身で自己紹介いただいてもよろしいでしょうか。

朝戸一聖さん(以下、朝戸):ボードゲームの製作をする、タンサン株式会社の代表をやっています。僕は「ゲームよろずや」を名乗っているのですが、ボードゲームを作って10年目、いままでに200個ちょっとボドゲを作ってきています。

カイ200個ってすごい数ですよね。「あれも朝戸さんだったんだ!」みたいなことが本当に多いのですが、代表作も教えていただけますか。

朝戸そうですね……。「コヨーテ」というリメイクや、割と売れているのだと「ヒットマンガ」でしょうか。



あとは最近だといわゆるボドゲから拡張して、ホラーの企画・制作・開発をしている株式会社 闇という会社と「シンガンシンパン」というデスゲームを作ったり、マーダーミステリーのパッケージを作ったりもしています。


カイいや、本当にすごい数ですよね。僕が本格的にボドゲを作りはじめたのはCHOCOLATE Inc.に入ってからなのですが、朝戸さんのボドゲ作りをはじめた経緯をもう少し深掘りしてもいいでしょうか。

朝戸すごくドラマティックな話があったわけではないのですが、幼少期から家にボドゲがあるような家庭で育って、ある時大学に持って行ったら仲間内で流行って。その延長線上で制作をはじめたのがきっかけです。会社を興したのもその仲間内でしたので。

カイ制作を始めるに至った、その仲間内で流行ったボドゲって覚えていますか?

朝戸「スコットランドヤード」ですね。あとは「ごきぶりポーカー」なんかも。


カイああ、どっちもいいゲームですよね。僕も「ごきぶりポーカー」は初めてやったボドゲでしたね。大学の合宿で友人が持ってきていて、夜な夜なやっていたのがボドゲデビューです。

朝戸「ごきぶりポーカー」って、本当にすごいんですよ。ゲームにあえて虫……しかもあんなに嫌われている「ごきぶり」を選ぶというポップすぎるカルチャーが、すごくいいんですよね。

カイそれでいうと、最近のボドゲ市場って、そういうちょっと尖ったテーマを持つものって少ないかもしれないですね。おしゃれなものが多い、というか。

朝戸そうですね、ちょっと寂しいですね。でも、それがボドゲ人口が増えている理由かもしれないです。

カイあ! その話も伺いたくて。10年間ボドゲ業界を見続けてきた朝戸さんから見て、当時と現在の違いを教えていただきたいです。

朝戸全然違いますよね。そもそも箱付きの同人ゲームなんてなかったですから。最近は同人ゲームでも本当にレベルが高い。そして、人口も本当に増えましたよね。選択肢が増えて、重めのゲームから、パーティーゲームなどの軽めのゲームまで、様々なものが出来てきているのは、すごくいいことだと思っています。

カイそれこそ、CHOCOLATE Inc.ではIPもののボドゲもいくつか出しているのですが、IPファンがボドゲデビューしてくれるという流れも少しですが作れているのかな……って。

朝戸IPものもいいですよね。でも、製作者からすると難しいと思います。やっぱりIPを活かさないとコラボする意味がないので。それでいうと、「DEATH NOTE人狼」はいいですよね。体験とIPがリンクしているのがすごく良かった。

カイありがとうございます、うれしいです! 朝戸さんはIPものってどうなんですか?

朝戸話があるなら作りたいですよ! でも、僕、ゲームは決して面白くなくてもいいと思っているので、もしかしたらそこでIPものは難しいかもしれないですね……。

カイおもしろくない、というのは具体的にはどういうことでしょうか?

朝戸例えば、2017年に発売された2Dアクションゲームで、「壺男」として話題になった『Getting Over It with Bennett Fodd』。


鉄の壺にはまった男を操作して巨大な山の踏破を目指すゲームですが……あれって、おもしろいけど、大半が苦行じゃないですか(笑)。体験としてはおもしろいけど、ゲームとしてはクソ、っていう。本当に最高だなっていう。

カイ確かに、体験に全振りしていますよね。僕たちがご一緒させていただいた「これはゲームなのか?展」にも通じるのでしょうか。


朝戸まさにそうです。「これはゲームなのか?展」は意地の悪いことをしているって言われますよ(笑)。

カイ意地の悪いこと(笑)。確かに、「これはゲームなのか?展」は、毒っぽいゲームにもチャレンジされていて、もしかしたらそこで朝戸さんのいつも作られている、おもしろいボドゲとバランスを取っているのかもしれないですね。

朝戸そうかもしれないです。「これはゲームなのか?展」は全く商業的じゃないので、あれをボドゲにするのはなかなか難しいと思いますが、展示会という形なのでみんなが来てくれて、みんなが楽しんでくれる。

カイそうですね。アートとゲームのちょうど中間あたりだから「これはゲームなのか?展」はすごくバランスがいいと思います。その人の解釈次第で、おもしろいものにもなるし、おもしろくないものにもなる。


朝戸今更ですが、僕らの出会いは「これはゲームなのか?展」ですよね。

カイそうです! 朝戸さんが僕たちCHOCOLATE Inc.を「これはゲームなのか?展」に誘ってくださって。この話の流れでお伺いしたいのですが……(笑)。「これはゲームなのか?展」でCHOCOLATE Inc.が展示していた「ルールのたまご(Game Rule's Egg)」って、どうでしたか?


朝戸最高でしたよ! ちゃんとコンプリートセットの「ルールのたまご 全部入り」を買って、30個全部やりましたよ! おもしろかったり、おもしろくなかったり(笑)。

カイうれしいです! 詳しく教えていただけますか?(笑)

朝戸そうですね……グーしか存在しない「グーだけジャンケン」や、じゃんけんの名前だけリニューアルする「リネームじゃんけん」は面白かったですね。屁理屈っぽいもの。あとは、ただただ紙切れを投げ合うゲーム「紙を投げるだけのゲーム」も面白かったなあ。5・7・5を個別に詠む「バラバラ川柳」とか、即興で部隊をつくって自己紹介する「自己紹介レンジャー」も面白かった! 逆に、ティッシュ争奪戦「くしゃみかるた」はおもしろくなかった。くしゃみしないんだもん(笑)。あとは、架空の思い出話で盛り上がる「エセ同窓会」もあんまりでしたね……。でも、おもしろくないものは忘れちゃうな……。しかし、CHOCOLATE Inc.って、みんな上手いですよね。

カイ上手い……。そうですね、それでいうと、僕たちってどうしても綺麗に作ってしまう節があって……。作家性がないな、っていうのはちょっと悩みではあるかもしれないです。

朝戸上手いんでしょうね。スマート、というか。

カイチームでやっているからっていう理由もあるかもしれないんですが、意図がありすぎるのかな、狙いすぎているというか……。朝戸さんは、そういう作家性、というところはどう考えていらっしゃいますか? 僕的には、人がちょっと嫌がることをいたずらっぽくするのが好きなのかなとは思っているのですが……。

朝戸それはちょっとありますね。僕は、ボドゲをつくるときにわざと粗く作っているところがあるんですよ。デザイン的に綺麗に作らない、というか。例えば、「ペンギンパーティー」というボドゲは、わざとロゴを上部ギリギリに持ってきています。普通にデザインするなら、ちゃんと余白をもたせるじゃないですか。


あとは、「アテッコ」というボドゲも、デザイン的に洗練しすぎないようわざと荒めに作っています。ぬけている、ドジっ子みたいなのもボドゲの良さだと思っているので。


カイぬけ感というか、どこかぬけているからこそ愛されるっていうところはありますよね。

朝戸あとは、分かりやすいものだと「人間ゲーム コンプレックス人狼」とか。


あれは、コンプレックスをテーマにしていて、「短足」「ダサい」「影がうすい」など自分の悪口を言ったやつを探す嫌な感じの人狼をベースにしたゲームなのですが……(笑)。あれは、もし自分の悪口を言った人を見つけられなくてもそこで終わりなんです。嫌なゲームですよね(笑)。でも、そういうもやもやもある意味抜けだなって。昔話をしても良いですか?

カイもちろんです!

朝戸さっきの話にも関係するんですが、昔の同人ボドゲって本当に適当で(笑)。PP加工の角を丸くしないでそのまま販売している人もいて。そうすると、シャッフルするときに手がめちゃくちゃ痛いんですよ(笑)。ケガするレベルで。そして、痛いわりにゲーム自体はそんなに面白くないという。でも、「痛え!」って思いながらゲームを遊んでいた体験を僕はずっと覚えているんです。思い出になっている。もしあれが綺麗に作られていたら、もしかしたら記憶にないかもしれない。でも、僕にとってすごく良い思い出で、なんならそれを思い出すとまたやりたくなるんですよね。

カイすごく良い話です! でも、こういう話を聞くと、僕たちが出せるものってどういったところを作るべきなんだろうと考えちゃいますね……。

朝戸でも、「しりとりスピード」なんかはぬけていますよね。あんな感じで、もっといい意味で力をぬけばいい気がしています。


カイ確かに……。僕たちって、元々モチーフとかお題から連想して考えて、どうやったらゲームとして成り立つんだろうとすぐに考えちゃうんですよね。だから、ぬけ感を作りにくい。もしかしたら、もっとふわっとしたところからゲーム作りをはじめても良いのかも、話を伺っていて思いました。

朝戸そうですね。僕が「ヒットマンガ」を作ったときって、最初は雲のゲームだったんですよ。空の雲を見ていて、それにお題をつけるっていう。ふわっとしたところから、こうした方がもっと面白くなるんじゃないかとか、ゲーム性を足すにはこうした方がいいんじゃないかとかを考えて最終的にはマンガがモチーフになったんです。

カイすごい話ですよね! 朝戸さんって、そういう日常を大切にされているんですか?

朝戸そうですね。日常みんながやっていることってやっぱりおもしろいので。でも、僕も偉そうなこと言いましたけど、やっぱり作り続けていると上手くなっちゃいますよね。

カイ朝戸さん的にそういうチューニングというか、戻すために気をつけていることってありますか?


朝戸僕もチューニング戻しきれていないと思うんですが……。そうだな、でも、わけわかんないことしてみるとか、ですかね。最近は思いついたことをすぐに実行するようにしていて。豚まんの「551」ってあるじゃないですか。僕、あれを見たら笑うようにしています。


カイあー! そういうのって、めちゃくちゃおもしろいですよね! 大学時代、友だちがいきなり「ラッシー」って言ったら、みんなでインド映画でよく見かけるようなダンスを踊るという遊びをしていたことがあって。暇で暇でしょうがない大学生が考えたくだらない遊びって、すごくおもしろい。

朝戸そうですね。あとは僕だと、散髪に行く度に嘘をつくとか……。

カイ嘘をつく?

朝戸僕、毎回美容院は新しいところ行くんですよ。同じ美容院に続けて行くハードルが高くて……。で、美容師さんも気を使って下さって話を振ってくれようとするので、「(お仕事って)何をされているんですか?」とか聞かれるじゃないですか。それで、決して馬鹿にしているわけじゃなくて、突然「IT関係です」とか言っちゃう。

カイ自分のなれないものになってみるのはいいですよね。

朝戸はい。話を広げようとして「やりがいってなんですか?」とか、「どういう時が大変ですか?」とか聞いてくださるので、それで頑張って想像して答えてみる(笑)。結構大変です。

カイいいですね。他になにかありますか?

朝戸いろいろやっていますよ! 同じ人に同じ帽子を見せない、とか。

カイ確かに同じ帽子は見たことないですね……!

朝戸あとは、買っちゃいけないものを決める、とか。

カイ例えば?

朝戸「CONVERSE」「New Balance」「PORTER」「Champion」あたりですかね。

カイ嫌いというわけではないんですよね?

朝戸もちろん嫌いというわけでないです。むしろ欲しい。だから、「CONVERSE」に似た靴を必死で探すんですよ(笑)。それがすごく楽しいんです。

カイいいですね! 宝探しだ。何か否定するルールだからこそかいくぐろうとしてクリエイティブが生まれるんですね。めちゃくちゃ参考になります! もっといろいろ聞きたいのですが、そろそろ時間らしいので……最後に、今年の抱負を教えてください!

朝戸やっぱり、今年はチューニング戻したボドゲを作りたいですね。変わったゲームを出したいですね。月一くらいで。

カイ本当に朝戸さんってすごいペースですよね。僕たち去年8個も出して頑張ったぞ! って思っていたのに(笑)。それは、次回のゲームマーケットで見られるんでしょうか?

朝戸はい、お見せできるかと。あとは、「ルールのたまご(Game Rule's Egg)」のボドゲも出そうかなって。ルールはそのままで。いいんですよね?

カイ大丈夫です。「ルールのたまご(Game Rule's Egg)」のコンセプトは、たまごを育ててもらうことですから。ルールを元にパッケージなどを育てて商品化していただければ!

朝戸分かりました!

カイ楽しみにしています。そして、僕たちは僕たちで、朝戸さんに負けないような、自分が見たことのないゲームをちゃんと作りたいと思っています。もしかしたらそれはボドゲっていう形ではないかもしれませんが。それが大きな目標です。

朝戸いいですね! 何かご一緒出来そうならぜひ!


カイぜひ! 絶対に楽しそうです! ではそれを楽しみに、今回は終わらせていただきます。ありがとうございました!

朝戸ありがとうございました!

■カイジエンドについて


大学卒業後、広告会社を経てコンテンツプランナーとしてCHOCOLATE Inc.に入社。ファンがこぞって参加したくなるようなゲームや体験、映像の企画が得意。

企画・開発ゲームは、Amazonアナログゲームランキング1位を獲得した「DEATH NOTE人狼」、アニメのツッコミを擬似体験できる「銀魂 ツッコミかるた」など。
他にもNetflixオリジナル映画「BirdBox」のPR施策として、応募が殺到し即完売した「東京を目隠しで観光する『観ない観光』」の企画や、漫画と音楽がリンクしたMV「MMV」の企画を行う。

Twitter : https://twitter.com/X_T_END


■朝戸一聖さんについて


大学在学中にボードゲーム制作チームTANSANFABRIKを立ち上げる。ゲームの企画・制作を行うゲームクリエイティブブティック、タンサン株式会社代表。ゲームデザイナー。
10年間で200以上のゲーム制作に携わる。京都在住。
好きなボードゲームはチグリス・ユーフラテス。
森永「おっとっトランプ 」でグッドデザインベスト100を受賞、「ヒットマンガ」でグッドトイを受賞。
《カイジエンド》
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