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【hideのゲーム音楽伝道記】第56回:初代『星のカービィ』 ― カービィのはじめての冒険を彩る音楽

インサイドをご覧の皆さま、ごきげんいかがでしょうか。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第56回目となる今回は、今年で誕生25周年を迎える初代『星のカービィ』をご紹介いたします!

その他 音楽
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インサイドをご覧の皆さま、ごきげんいかがでしょうか。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第56回目となる今回は、今年で誕生25周年を迎える初代『星のカービィ』をご紹介いたします!


『星のカービィ』は、1992年4月27日に任天堂からゲームボーイで発売された横スクロールアクションゲームです。開発はHAL研究所が手掛けました。本作は、現在も高い人気を誇る、ピンク色の身体をしたまんまるかわいいカービィの記念すべきデビュー作。カービィが空気をたくさん吸い込んで空を飛んだり、「敵を吸い込んでほおばり、星に変え、それを吐き出して敵にぶつける」といったユニークなアクションを駆使して冒険します。シンプルなアクションゲームではありますが、のちに長く続くことになる『カービィ』シリーズの世界観がすでに出来上がっている作品です!

地球からずっと遠く離れた小さな星の平和な国、「プププランド」。ある日の晩、食いしん坊で有名な「デデデ大王」が、プププランドのすべての食べ物と、国に伝わる秘宝「きらきらぼし」を奪ってしまいました。そんな時、はるかぜとともに勇敢な若者が現れたのです――その名はカービィ。彼は、お腹を空かせて困っているプププランドの人々を救うため、食べ物と秘宝を取り戻すべくデデデ大王の居城へ向かうのでした。

さて、そんな本作の魅力のひとつが音楽です。本作の作曲を担当したのは、HAL研究所所属の石川淳氏。次作の『星のカービィ 夢の泉の物語』から音楽担当に加わった安藤浩和氏と共に、長期にわたって多数の『カービィ』作品の音楽を担当し続けている、『カービィ』サウンドの産みの親と言える人物です。彼が紡ぐ、耳に残る軽快でポップなサウンドは、カービィの冒険を盛り上げてくれますよ。それでは、本作の楽曲をご紹介していきましょう。
※各楽曲の曲名について、正式名称が不明なものは仮称でご紹介しています。

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※上記の映像で「GREEN GREENS」をお聴きいただけます。

●「GREEN GREENS」
緑と自然があふれる最初のステージ、「グリーングリーンズ」で流れる音楽です。かわいらしさと軽快さにあふれた楽曲で、以降のシリーズ作品でも様々な形にアレンジされて使用されている、『カービィ』の顔とも言える楽曲ですね。『カービィ』の音楽といえば、まっさきにコレを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

「クリアダンス(仮)」
ステージの最後に待ち受けているボスを倒し、ステージをクリアした際に流れる軽快なファンファーレです。この曲とともにカービィがダンスを踊ってくれるのですが、とてもかわいらしい動きで、プレイヤーを楽しませてくれますよ!

●「CASTLE LOLOLO」
オバケが登場したり、壁に掛けられた仮面が襲ってきたり……といった不思議なことがたくさん起こる城、ステージ2「キャッスルロロロ」で流れる音楽です。終始アップテンポで駆け抜けるように展開されてゆく、軽快かつ少し切なさを帯びたメロディが印象的な楽曲ですよ。

●「FLOAT ISLANDS」
ヤシの木が生い茂る南の島、ステージ3「フロートアイランド」の音楽です。ゆったりと心地よく響く、南国風のサウンドが楽しめますよ。まあ、ステージ中ではヤシの実が落ちてきたり、置いてある爆弾が爆発したりと、あまりのんびりしてはいられないのですが(笑)。

●「やきいもシューティング」
ステージ3の最後に落ちている「さつまいも」を食べた後のボス戦で流れる楽曲です。カービィがさつまいもを食べると、一定時間つねに空を飛びながら空気弾(しゃっくり)を撃ちまくることができるようになるのですが、空気弾をひたすら出し続けるカービィのユーモラスな雰囲気を音楽で演出しています。また、ステージ中に時々落ちている「激辛カレーライス」を食べると、あまりの辛さにカービィが火炎弾を出して攻撃できるのですが、その際にも同じ楽曲が流れますよ。これらは、初代『カービィ』のみに存在する独特な要素です。

●「無敵(仮)」
ステージ中に時々落ちているキャンディを食べて、カービィが無敵状態になった際の音楽です。アップテンポかつ疾走感のある旋律で、どんどん敵を蹴散らして進む爽快感を演出しています!

●「BUBBLY CLOUDS」
雲の上を舞台とした、ステージ4「バブリークラウズ」で流れる音楽です。まるでカービィが優雅な空中散歩を楽しんでいるかのようなイメージの、ふわふわしたやさしい音づかいのサウンドが癒されますね。ただしこのステージには、普段は穏やかな顔なのに、カービィが吸い込もうとすると突如怖い顔に変貌して襲ってきて、さらには爆発する「スカーフィ」という敵キャラがウヨウヨしていたりするので、ここでものんびりしてはいられません(笑)。

●「Mt.DeDeDe」
最終ステージ・デデデ大王の居城にカービィが乗り込む際と、デデデ大王との対決の際に流れる楽曲です。アップテンポに展開される、重々しい低音を利かせたメロディラインがもたらす緊張感が凄まじく、血がたぎるようなアツさがありますよ! なお、その後のシリーズ作品でもデデデ大王のテーマ曲として多くアレンジされ、使用されています。

●「エンディング(仮)」(※後続のシリーズ作では「あしたはあしたのかぜがふく」という正式タイトルがつけられています)
本作のスタッフロールで流れる音楽です。とある方法でデデデの城を持ち上げながら、夕暮れの空を飛ぶカービィ。そんな彼の姿とともに流れる雄大かつ穏やかな旋律は、爽快感と達成感を演出してくれます。個人的には初代『カービィ』の中で一番好きな楽曲ですね。ちなみに……この楽曲は、『カービィ』生誕20周年の2012年にWiiで発売された、『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』の「もっとチャレンジステージ」というモードのエンディングでアレンジされたバージョンが流れるのですが、ファンとしては悶絶するような、なんとも素晴らしくニクイ演出のメドレーで収録されています。詳細は伏せますが、僕はこの曲を最後まで聴いて、「い”ぇあぁぁああああ!」と変な声で叫んでしまいました(笑)。ご興味をお持ちでしたら聴いてみてくださいね!

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本作は、とてもシンプルでオーソドックスなアクションゲームです。また、ステージ数は5つしか無いため、ゲームボリューム的には物足りなさを感じる方もいらっしゃるかと思います。しかしカービィをはじめとしたキャラクターたちのかわいらしさや、「敵を吸い込んで星に変え、吐き出してぶつける」というユニークなアクションが生み出す楽しさは、いつ遊んでも変わることのない、万人に受け入れられる魅力があるように感じますね。

本作のディレクターを務めたゲームデザイナーの桜井政博氏が本作について語ったところによると、「初代『カービィ』を作った当時、ゲームはどんどん難しいものになり、一部の人のものになりつつありました。そこで、“誰でもできるゲームを”、と考えて『カービィ』を作りました」とのことです(関連記事はこちら)。アクションゲームが苦手な方も含めて、みんなが楽しめる作品だと思います。

テレビゲームの歴史の中では、たくさんのハードが生まれ、たくさんの作品が作られてきました。そんな中、生誕から四半世紀を迎えてもなお高い人気を誇っている『カービィ』シリーズ。これまで未プレイだった方も、ぜひプレイしてみていただければと思います。また、『カービィ』ファンの方も、今一度原点である初代『カービィ』に触れてみると、また新たな発見ができるかもしれません。現在はニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでも遊べますので、ご興味をお持ちでしたらプレイしてみてくださいね!

そして『カービィ』は、音楽面も魅力たっぷりです。どんどん先へ進みたくなるような軽快さと、かわいらしさのあるゴキゲンなサウンドが多いですよ。僕は今回、改めて初代『カービィ』を遊んでみたのですが、思わず身体が動いてしまうキャッチーかつポップなサウンドは『カービィ』ならではで、音楽も含めて『カービィ』の世界観は初代ですでに確立されていたんだなぁと改めて実感しました。プレイされる際には、音楽もあわせてご堪能いただければと思います。

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さて、続いてはサントラの情報を……といきたいところですが、残念ながら初代『カービィ』の全楽曲が収録されたサントラは、2017年3月末現在発売されていません。そのかわり、本作のタイトル画面であるコマンドを入力すると「コンフィグレーションモード」という隠しモードが出現し、その中でサウンドテストを楽しむことが可能です。これでいくらでも音楽が聴き放題! なお、具体的なコマンドについてはゲームを最後までクリアした「ごほうび」という形になっているので、ここでは伏せさせていただきますね。


本作の一部楽曲が収録されたサントラとしては、『星のカービィ ベストセレクション THE VERY BEST OF KIRBY 52 HIT TRACKS』というCDが存在します。こちらは2004年にゲームボーイアドバンスで発売された、『星のカービィ 鏡の大迷宮』に付属していたクラブニンテンドー(現在は終了)のシリアルナンバーを登録することでもらえたプレゼントです。今から入手するのは難しいかもしれませんが、もしご興味をお持ちでしたら中古CDショップやネットオークションなどで探してみてくださいね。なお、本CDに収録された初代『カービィ』の楽曲は、「タイトル」、「GREEN GREENS」、「FLOAT ISLANDS」、「やきいもシューティング」の4曲となっています。


また、もう少し入手しやすいCDとしては『星のカービィ 20周年メモリアルサウンドトラック』があります。こちらは先ほども少し触れた、Wiiの『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』に記念特典として付属していたCDです。こちらには「星のカービィ:タイトル」と、「GREEN GREENS」の2曲が収録されています。

今ご紹介した2種類のCDは、どちらも一部の楽曲しか収録されていないのが少々残念なところです。今年は『カービィ』25周年ですし、それを記念して初代『カービィ』を含めて『カービィ』シリーズの音楽をたっぷり詰め込んだサントラBOXが発売されたりしないだろうか……!?などとほんのり期待を寄せてしまうのですが、もし本当に発売されたとしたら一体CD何枚組になるんだろう?と恐ろしくなってしまいますね(笑)。もしくはデジタル配信でもいいので、公式で音源が販売されてもっと気軽に『カービィ』の音楽が聴けるようになったらいいですね~。本当に良い楽曲が多い作品ですから!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を主に執筆しています。『カービィ』シリーズで一番やりこんだのは『カービィボウル』。攻略本とにらめっこしつつ、半ば意地になって全コースで金メダルを獲りました。
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)1992 HAL Laboratory, Inc. (C)2011 Nintendo
《hide/永芳英敬》
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