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【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起

ゲームに限らず、音楽、映画、小説など、エンタテインメントのジャンルで大きなヒットコンテンツに関わったとき、その人々の人生が変わることがある。その振れ幅が大きいほど、その人やその周りの環境、そして、人生そのものに善きに悪しきに影響をもたらす。

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■「M計画」と呼ばれた魔導ランド

仁井谷:社員数が200人とか400人とか居る中で、当時「M計画」って言ってました。たかだか4~5年しか無いから、そんなにお金がかかるわけじゃないんで、それは全然違います。

黒川:でも、実際にオープンするために仁井谷さんも凄く動かれていたのですよね?

仁井谷:そうでもないんです。

黒川:そうなんですか?一大テーマパークを考えられてたと言うのが、当時のぷよぷよランドなんだと記憶してますけども。

仁井谷:いや、発表してないから、みなさん知らないと思う。ほとんどの人は知らない、テレビで聞いて「そんな計画あったんだ」ていう話だと思う。我々が世間に発表するまでは、クローズでやってたんで、それは恐らくみなさんご存じないでしょう。

黒川:当時、僕はセガに居たので、セガはジョイポリスとか、そういうアーケードとかをどんどん広げて行ったので、多分そういう時に「ぷよぷよランド作ってるんだな」てお話を聞いたような気がしたんですね。

仁井谷:それは、誰かにお話した話が、伝わって来たんじゃないですかね。一般の方は、ほとんどご存じないと思います。

黒川:なるほど、わかりました。そのように時代を作って来たわけですけども。その当時の仁井谷さんにはスポットライトが大きく当たったと思いますけど。

仁井谷:よく分かんないんだけど、自分がある程度分かって来た頃には、「これをやったら売れる」とか、なんかが、時代より少し先の先、ワンテンポ、ツーテンポほど人より前に出たんだろうなと思います。それが、たまたま上手く行って、たまたま売れてたんだろうなって気がします。特に「ぷよまん」(饅頭)とか言ったものも、今だったらキャラクター饅頭とか、ごく普通に誰でも売ってると思うんですけども。ぷよまんと言うのは当時ほぼ無かったから、「ガツンと売れたんだろうな」と思いますけどね。世の中よりちょっと2~3歩、前に行っちゃうところが、当時はあったんだろうし、今はたぶんそうでもないけど、とりえあえず、そういうセンスがあるみたいですね。

黒川:確かに他の人がやらないような事を率先してやられてたような感じがします。

■人がやらない事にしか興味が無いんです

仁井谷:そうだし、そこに興味がある。人がやらない事にしか興味が無いんですね。人と同じことをやりたいと思ってないんですね。それが正に企業の基本だろうと思うんでね。

黒川:これだけ成功した時代だと、いろんな人が寄って来ませんでしたか?色々なお話を持って来るとか。良い話もたくさんあったでしょうし。

仁井谷:僕に言い寄って来たと言うお話で言うと、最終系は政治屋さんが近寄って来た。

黒川:成功と失敗を体験されてると思うんですけども。その落差は激しいと思いますが、ご自身の中では、どのように受け止められたのでしょうか?

仁井谷:そんなには気にしてないですよ。自分の生活態度が、成功の前の時と、成功の時と、失敗の時と、自分のライフワークとか、生き方とか、そんな変えているつもりは無いので。ただ、スケールが違うだけで、自分の手元のお金が、10万円か20万円が、桁が4つ上がったかもしれないけど。それは、また元に戻った感じなんで。この落差について気にしてるか?と言うと、そんなには気にしてない。気にしていれば、気持ちがダウナーになって、「世の中生きて行けない」とか思うかもしれないけど。そんな変わったとは思ってないんで。「あ、また元に戻った。振出しに戻った」感じですよね。

■空白の九年間


黒川:空白の九年間の話ですけども。コンパイルを清算された後に、アイキを作られて、そこも解散されて、その後、コンパイル〇を創業、コンテンツを売るために、お作りになられたと思うんですけども。この九年間と言うのは、どのよう事をおやりになっていたのでしょうか?

仁井谷:まあ、普通に自分の生活、飯が食える形で、どうやれば良いんだろうと思っていました。専門学校の講師をやったり、あるいは普通のいろんなアルバイトしたり、とにかく食いつないで、60歳を過ぎて、今、66歳だから、65歳になると年金も満額貰えるんで、「これでやり過ごす」と言いながら、ちょっと足らないから、バイトしなきゃな…と言う形で生きて来たと思うんですね。

黒川:アルバイトと仰っていましたけど、どのようなお仕事をして来たのですか?

■基本的には清掃系か、警備系

仁井谷:50代、60代って、そんなに仕事無いんで、基本的には清掃系か、警備系かな。よく言われるのは「ゲームの仕事をやれば?」と言う人がいるんだけど、そこには手を挙げなかったというか。そこは、昔のコンパイルと言う看板を背負ってると、本人が行き辛い。その前に、どっかの雑誌系で言ったんですけど…僕の気持ちの中で、江戸時代の言葉で蟄居(ちっきょ)、自分で蟄居してる感じだったんで、控えてる感じなんで、だからアルバイトしてた感じですね。

どっかのゲーム会社で、コンパイル関係では無くって、すぐ手を挙げて、ディレクターとか、プロデューサーという事は考えなかった。そんなことで動いちゃうと、自分のモノ作りで考えると、何をやろうがすべて、自分がやる事は、かつてのコンパイル的な形になっちゃうと思ってたんで、ちょっとそれは難しいなと思ってましたね。

黒川:確かに仁井谷さんのように、コンテンツと時代を作られた方で、いろんなオファーがあったと思いますけど、先ほど仰った蟄居という事で、世に出ることはしたくなかった?

仁井谷:自分で、憚(はばか)ってたつもりですね。それが昨年テレビからオファーがありまして、出たことによって、それが「そろそろ解いて良い頃かな」と、言う風に思いましたね。

■テレビ出演頓挫の理由とは?!

黒川:それはなぜそう思われたのでしょうか? テレビに出たことで、パブリックに出て、仁井谷さんの今の活動がみんなにわかるわけですよね。それがきっかけですか?

仁井谷:その前に、別件で2~3年前にテレビのオファーがあったんです。ずっと出演企画を詰めて……。ところが一週間前に、リジェクション(頓挫)しちゃったんですね。それは、この会社とは言いづらいので、ある会社さんが、たぶん「出演NO」と言ったのだろうと思う。

黒川:その時、出演の寸前まで行っていたけれど…ということですね。

仁井谷:だって、お互い2~3回打ち合わせをして、「じゃあこの日に収録しましょう」の1週間前に、「理由は具体的に言ってもしょうがないと思うので、とにかく無くなりました。他の人が起用されました」と、言うような感じです。

黒川:倒産されて自己破産されましたが、先ほどから聞いていると、仁井谷さんの中では、あんまり変わってないのかな?と思うのですけども。

仁井谷:じゃないと生きて行けないでしょ。

黒川:とは言え、変わった事、変わらなかった事はありましたか?

仁井谷:だから、お金のスケールの問題です。

■私の生き方が、友達を求めると言う事が合わない

黒川:例えば、人が離れるとか、人が来るとか、そういうことは無かったのですか?

仁井谷:そういう風に生きて来たか?ですよね。コンパイル始める前までも、いわゆる友達と言うのは、ほぼ居なかったと思う。なぜかと言うと、私の生き方が、友達を求めると言う事が合わない。最初から、話が合わない。それはさっき言った、戦略みたいな話で。戦略みたいな話は誰もしないので、普通はお友達2~3人寄ったら、すぐ「隣の女の子がね」みたいな、「隣のおじちゃんが、こーした、あーした」という話しは僕は好きじゃないんです。そういうお付き合い、ほぼしていないので。多分そこだと思う。だから、そういう友達は少ない。そもそもが学生時代から、そう思ってたから、「友達いねーな」て、思ってたんで。居ない理由は、最近分かったのは、多分私と同じような感じで、お話してくれる人がほとんど居ないから、「要らない」みたいな。

黒川:それは生きて行く上で、あまり必要としない感じですか?

仁井谷:生きて行く上で、相談した時に答えが返って来ないわけですよ。それでも、例えば聞きますよ?「コンパイル社員が今100人です」と、「200人にしたいけど、どう?」まず、その話を聞いてくれる人が居ないんですよ。

黒川:それは居ないですね。経営者としてそれは自分で判断しなきゃいけないですね。

■聞いても答え出してくれない人に聞いても、意味がない

仁井谷:自分が生きて行く過程の中で、聞いても答え出してくれない人に聞いても、意味がないわけでしょ。それだったら聞かないという事ですよ

黒川:当時、社員の方たくさんいましたけど、今でもお付き合いある方はいらっしゃるんですか?

仁井谷:そういう風には生きてない。基本的には、お互いの役割として生きて来たので、役割が終わったら終わっているわけで。「こんにちは」と言われれば「こんにちは」と言うかもしれないけれど。

黒川:なぜ聞いたのか?と言うと、今回のゲームを作る時に、元社員達が仁井谷さんをサポートしたのかな?と言う所も含めてなのですけども。

仁井谷:前の社員の皆さんが具体的に今回の仕事で、「何かやった?」と言えば、それはほぼ無いです。

黒川:当時の、『ぷよぷよ』とかのファンだった人たちが大人になって、仁井谷さんを支えるとか、支援してとかですか?

仁井谷:今回、今年の1月まで会社を興す事はさらさら無かったのです。今年の1月までの中で、コンパイル・ファンのみなさんと親しくするミーティングがあって、お互いに交流会とかしたので、その中で、今作っている『にょきにょき』というゲームのプロトタイプのテストプレイをしたいと思っていたので、今年の新年会70~80人集まった会で、「テストプレイして欲しいのですけど、どうですか?」って言ったら、7~8人手を挙げられたので、「じゃあ、それでやってみようかな」と、言うのがきっかけで、今年の2月からテストプレイ始めたんですね。

その2月、3月とやってる中で、「あれ?これひょっとして売れるんじゃないかな?」と言う実感がしたので、「じゃあ、ゲーム作るのだったら」、今回考えたのは、「コンシューマーで売りたい」と、言う風に考えたので。コンシューマーなら、「チャンピオンの京都の会社にプレゼンして、あわよくば売ってもらうとラッキーかな」と思って、プレゼンに行ったんですね。

《黒川文雄》
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