トークショーには総監督の富野由悠季さん、筑波大学助教の落合陽一さん、サンライズの小形尚弘プロデューサーが登壇。ガンダムの生みの親と新進気鋭の若手研究者が様々な意見を交わし合った。
落合さんはコンピュータとアナログ装置を使ったメディアアーティストとしても活躍していることから、トークショーではテクノロジーについての話題が展開した。まずは小川プロデューサーから、多くのアニメがCGへ移行する中で『Gレコ』はどうして手描きにこだわったのかと質問が飛んだ。
富野さんは「20世紀が創り上げた文化があるから、遺産になるような作品を作っておきたかった」と胸の内を明かし、「この文化を一ジャンルとして残す。そのためには『Gレコ』のようなやり方も間違いではない」と熱意を見せた。
それを受けて落合さんは、コンピュータはこれからも色々なものを代替できるようにはなるが、何を基準にするかは先人の遺産を参照しなければならないことを説明した。ゆえに「富野さんがベストエフォートで手描きアニメを作って頂かないと、我々はコンピュータを使って何をサンプリングすれば良いのかが分からなくなってしまう」と語り、今後の創作活動へ期待のコメントを寄せた。
また富野さんは『Gレコ』で約15年ぶりに「ガンダム」のテレビシリーズを手がけ、今でもミノフスキー粒子というアイデアが有効であることに自分でも驚いたそうだ。そもそもミノフスキー粒子の無線を遮断するという設定は、宇宙空間で取っ組み合いができる状態を作るため、つまり触れあうこと生まれる愛憎劇のために考えたのだという。
富野さんは「ガンダムの世界が揺るぎないのはミノフスキー粒子のおかげ」と言い切り、ドラマを描くことの重要性を語った。
さらにイベントでは落合さんとガンダムの意外な関係も明らかになった。実は「ガンダム」の大ファンである落合さんは「1987年生まれなので、一番最初に見たガンダムは『機動戦士Vガンダム』です」と告白。さらに「14歳のときに『機動戦士Ζガンダム』をCSの再放送で見て、どうやって人類を革新するのかに燃えてコンピュータにのめり込みました」と人生を左右する一つのキッカケになったと話した。
常日頃から子供たちに作品を見て欲しいと口にする富野さんも、この発言には思わず頬を緩ませていた。そして「申し訳ないけれど大人に分かってもらう話を作っている暇はない。10歳から15歳までの子たちに種まきをしたくて僕は『Gレコ』を作りました」と改めて自らの想いを伝えた。
[高橋克則]
富野由悠季がコンピューターに激論 東京国際映画祭「ガンダムとその世界」レポート
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