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「G-GEAR」ゲームPCアワード受賞インタビュー 昭和22年創業のツクモが語る人気の秘訣

「ゲームPCアワード 2014」デスクトップPC部門の最優秀賞にProject White(ツクモ)の「G-GEAR」が輝きました。2012年から3年連続となる最優秀賞に対して、代表取締役社長の鈴木淳一氏と開発責任者の森秀範氏に、同社の取組みと喜びの声を伺いました。

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ゲーム用PCおよびその関連製品を対象に、ユーザーの満足度を調査する「ゲームPCアワード 2014」。合計2103件の有効投票を経て、デスクトップPC部門の最優秀賞にProject White(ツクモ)の「G-GEAR」が輝きました。2012年から3年連続となる最優秀賞に対して、代表取締役社長の鈴木淳一氏と「G-GEAR」開発責任者の森秀範氏に、同社の取組みと喜びの声を伺いました。

――「ゲームPCアワード2014」でゲームPC部門の最優秀賞を受賞され、おめでとうございます。これで3年連続の受賞となりました。

鈴木淳一氏(以下 鈴木): 自分でもビックリしていますし、本当に嬉しいですね。お客様、森をはじめとした社員、そして取引先の皆様に大変感謝しています。特にパソコンという商品はサプライヤー、つまり部品メーカーの協力がとても大事です。この三者に感謝しています。

――市場には大きく「大手メーカーのパソコン」「ショップブランドパソコン」「自作パソコン」の3種類があります。その中での受賞という点にも、特別な意味がありそうですね。

鈴木: 特別なことは何もやっていなくて、本当にマジメに頑固に、ずっと同じことを継続しているだけなんですよ。仰られるとおり、市場には大手メーカーから自作パーツまで、さまざまな商品が存在しています。その中でどんな風にお客様のニーズに答えていけば良いか。私たちは当初から「大手メーカーとは逆のことをやろう」と考えました。普通のメーカーは筐体を空けたら保証がききませんし、使用パーツも開示されません。パーツの実装も1年から2年の遅れがあります。我々はその逆で、筐体をあけても保証は継続しますし、人気パーツメーカーのパーツをどんどん使って、情報をオープンにしていく方針にしました。最新パーツも遅滞なく取り入れます。そうすれば詳しい方ほどツクモのパソコンの方が壊れない、安定して動作するというのがわかるわけです。

――なるほど。

鈴木: 実際に私も過去30年間でさまざまなメーカーのパソコンを数十台も使ってきましたが、本当に壊れないんですよ。もう少し壊れてくれた方が、売り上げにも貢献するんじゃないかというくらい(笑)。先日もある総合大学からお褒めの言葉をいただきました。学内で何千台というパソコンがある中で、弊社のショップブランドPC「eX.computer」シリーズをこれまで140台ほど購入されたんですが、初期不良ゼロ、故障ゼロで高く評価いただきました。


Project White代表取締役社長 鈴木淳一氏

――それは素晴らしいですね。では、詳しい質問に入る前に、改めて自己紹介をお願いします。

鈴木: Project White代表取締役社長の鈴木淳一です。もともと弊社の前身となるツクモは私の父親が昭和22年に秋葉原で創業した会社で、昭和37年に九十九電機株式会社となりました。当初はラジオの部品を売る専門店で、昭和43年にアマチュア無線の販売を開始し、昭和51年にマイコンの販売を開始しました。その後5年前にヤマダ電機グループの傘下に入り、ツクモブランドは残しつつ、新たに社名を変えて再スタートとなりました。私自身も昭和59年から役員に就任して、現在にいたっています。

森秀範氏(以下 森): 同じくProject Whiteで商品企画を統括している森秀範です。「G-GEAR」では主に商品戦略の立案や、推奨ゲームなどでゲームメーカー様との折衝などを担当しています。

――鈴木さんは当初からパソコンの販売を担当されていたのですか?

鈴木: 当時はアマチュア無線とAV機器とパソコンが三本柱で、社員数も50人くらいでしたから、何でもやってました(笑)。そこから、おかげさまでどんどん成長してきて、パソコンの取り扱い比率が高まってきました。1976年からパソコンを扱っているので、当時はアタリとかコモドールとかを直輸入して売っていましたね。そこから1977年にアップル2が出てきて、NECさんがPC-9801シリーズを出されて、DOS/Vが出てきて、Windows 95が登場して……。

――ツクモがパソコンの製造販売を手がけるようになると予想されていましたか?

鈴木: 夢にも思わなかったですね。やっぱりDOS/Vの影響が大きかったです。


「G-GEAR」開発責任者 森秀範氏

――「G-GEAR」のコンセプトを教えてください。

鈴木: 「G-GEAR」は弊社のショップブランドPC「eX.computer」のゲームに特化したサブブランドという位置づけです。そのため先ほど申しあげたeX.computerのコンセプト「最先端のパーツをいち早く投入する」「パーツの情報はオープンにする」「値段はできるだけリーズナブルにする」をそのまま受け継いでいます。

森: その上で「安全・安心・快適にゲームが楽しめる」PCをめざしました。そのための『ゲーミングギア(Gaming Gear)』という意味合いですね。また私自身もPCゲームが好きで、良くプレイしていまして、「PCゲーマーによるPCゲーマーのためのパソコン」をめざしています。

鈴木: 実は3つくらいブランド名の候補があったんですが、森の強い主張で「G-GEAR」に決まりました。

――PCゲームがお好きとのことですが、製品開発に活かされることはありますか?

森: G-GEARにはゲームのタイトルごとに推奨スペックPCがありますが、これらのゲームはすべて一次職業をカンストするくらいはプレイしています。

――えーっ、本当ですか? 推奨PCだけでもかなりありますし、MMORPGなんて、いくら時間があっても足りないでしょう?

森: いえ、最近のゲームはレベルがかなり上がりやすくなっているので、そんなに時間はかからないですよ。それを見越して「こんな風に遊べば、これくらいの時間がかかるだろう」というのを逆算して予定を立てています。その上でこのゲームなら、これくらいのスペックが要求されるだろうというのを見ていきます。ユーザーコミュニティにも一介のユーザーとしてどんどん参加しています。そうすると、スペックやトラブル事例などが、それとなく耳に入ってきますね。そういったものも参考にしています。

――もはや調査ですね。

森: ゲーム中に何度も回線切断して困っているユーザーさんがいたら、チャットでパソコンのパーツ構成を教えてもらって相談に乗ることもあります。実際のユーザー体験が一番の情報源になりますね。

――最近のパソコンはそこまで不具合や相性などが発生する印象を受けないのですが、実際はどうなんでしょうか?

森: たしかにパーツの初期不良は減っていますね。ただ、遊んでいていきなりブルースクリーンになったり、シャットダウンしたり、といった現象は昔より増えている気がします。ゲーム開発者の方もこなれてきていて、昔よりパーツの性能をフルに引き出すようなゲーム作りが行われているのではないでしょうか? 

鈴木: 実際、昔はもっと大らかでしたよね。Windows 95などの時代と比べれば、お客様のパソコンに対する見方もかなりシビアになっています。そのため昔よりいろいろな意味で完成度を上げる必要がでてきたのではないでしょうか。パーツ自体が昔より質が落ちているとは思えないですね。



――そのパーツですが、どのようにして選定されるのでしょうか?

森: もともと弊社自体が国内有数の自作パーツ販売店ですから、そこでの販売データをデータベースとして持っています。その中から故障率やお客様の嗜好を見つつ、候補を選定していきます。その上で動作チェックをして、騒音や耐久性なども見ていきます。これらの検品を経て決定されますね。

鈴木: パーツ自体の性能もさることながら、代理店やパーツメーカーのサポート体制であったり、企業としての姿勢も非常に重要なんですよ。こちらのオーダーをどの程度の頻度でクリアしてくれるのか……。そうしたやりとりを続けていくと、どんどんパーツの性能も上がっていきます。前述したとおり、おかげさまでeX.computerはお客様から壊れにくいという評判をいただいていますが、こうしたパーツメーカーとの積み重ねの上で築き上げられてきたのだと思います。

――新製品の投入タイミングはどのように決まるのでしょうか?

森: 基本的には新しいパーツが出るタイミングですね。それらをいち早く検証して、取り入れて……という流れです。先日もインテルの新型8コアCPU「Core i7-5960X」が8月下旬に発売されましたが、すぐにBTOで選べるようにしました。CPU、マザーボード、グラフィックカードを中心に、全方位で見ています。

――最近注目されているPCゲームはありますか?

森: 引き続きMMORPGの人気は堅調ですし、これからは『League of Legends(LOL)』にも注目したいですね。

鈴木: 昨年は『Final Fantasy XIV 新生エオルゼア』『ドラゴンクエストX』『バトルフィールド4』と大作が目白押しで、たいへん盛り上がりました。一時期「これからはPCゲームじゃなくて、スマホで十分」という風潮もありましたが、『新生FFXIV』がブレイクして、また市場が活性化されました。やっぱり、すごいヒットゲームが出ることが重要なんですよ。ただ、今はインターネットがグローバルになっているのに、PCゲームだけは日本と海外で隔たりがあります。『LOL』もその一つで、よく台湾や韓国のパーツメーカーの方から聞かれるんですよ。「なんで日本だけ流行っていないのか?」と。でも、きっかけがあれば日本でもブレイクすると確信しています。

森: 弊社でも、プロゲーミングチーム「DetonatioN」の『LOL』部門をスポンサードしています。こうした活動を通して盛り上がりに貢献していきたいですね。

――ゲーム実況も盛り上がっていますが、問い合わせはありますか?

森: 購入時に「ゲームを遊びながら実況もしたいんですが、どんなパソコンを選べば良いですか?」という問い合わせはありますね。今あるパソコンだとフレームレートが落ちてしまうので、ちゃんと楽しめないから買い換えたい、でもどんなスペックを選べば良いかわからない……。そうしたお問い合わせは確実に増えています。

鈴木: ツクモ本店の4Fで毎月、ゲーム配信のイベントをやっています。この前は女性だけのクリエイターチーム「つくる女(つくるじょ)」さんにパソコンを自作してもらって、プロゲーマーの方と『バトルフィールド4』を対戦し、その模様を実況したりもしました。本店2Fでプロ用AV機器を20年以上販売していますし、詳しいスタッフもいますから、配信のナレッジもどんどんたまってきました。

――PCゲーマーは本体もさることながら、ヘッドセットやキーボードなど、周辺機器にもすごくこだわりますよね。

鈴木: そこは当店でも、もっともっと盛り上げていきたいところですね。実はツクモの独占で販売している商品もあるんですよ。パーツメーカーさんの中には、ゲーマー向けのペリフェラルに力を入れられる企業もあるので、うちもあわせて盛り上げていきます。

森: 周辺機器はお客様の好みに左右される部分も大きいので、店頭で実際に触って選んでいただけるようにしています。パソコンを購入後に、あわせて買われる方も多いですよ。もちろんネットショップでご注文もいただけます。

――2012年の受賞インタビュー記事でも、サポートの良さが話題に上がりました。電着率も高いとのことですが、何か注意されていることはありますか?

鈴木: ある程度コストをかけて、社内で回しています。サポートだけでなく、店頭スタッフ全体でお問い合わせに答えるようにしています。たとえば何か商品のトラブルがあった時、お客様がサポートではなく、お店に直接電話されることも多いんですよ。そこで解決すれば、わざわざサポートに電話するまでもなくなりますよね。各スタッフもナレッジが分散するので、あまり売り場から動かさないようにしています。この前、10年ぶりにCPUとマザーボード以外の商品を売ることになりました、なんて社員もいたくらいです。



――最近ではゲーム用のノートPCも盛り上がりを見せてきました。日本の家屋事情を考えると、有力な選択肢です。

森: ノートPCに関しても2年前からスタートしていて、もともと弊社の強みを活かしながら製品化していきます。お客様が欲しいという機能を満たしつつ、日本のお客様が欲しくなるようなデザイン、ニーズにお答えするようなものにしていきたいですね。海外の製品をそのままもってくるだけだと、そうしたニーズとずれていきますので、我々の方からもフィードバックしつつ、デザインや機能を固めていきます。

鈴木: アメ車ではなく、ドイツ車といった感じでしょうか? シンプルさと質実剛健さを兼ね備えたような……。

―――大きさも重要な要素ですよね。

鈴木: 省スペースも重要ですが、画面の大きさやキー配置が犠牲になるので、そこは難しいところです。実は先日も店内のイベントでプロゲーマーの操作を2時間くらい、ずーっと見ていたのですが、あの左手の動かし方は芸術的ですね。あれをデスクトップPCだけでなく、ノートPCでも担保しようとすると、やはりある程度の大きさは必要になるのかなと……。

森: 一方で「出張先でもオンラインゲーム内ギルドの定例イベントなどに参加したい」というお客様もいらっしゃいます。そのためデスクトップPCとノートPCを両方ご購入される方もいらっしゃいますね。

――それでは最後にツクモとしての抱負をお聞かせください。

鈴木: 「G-GEAR」はネットでもご注文いただけますが、ツクモとしてはお客様に実際にご来店いただくことに力を入れていて、イベントを毎週のように行っています。他店から「ツクモさん、ホントによくイベントをやっていますね」と言われるくらいです。商品の価格だけでなく、実際にパーツを見て、触って、イベントに参加されて、店員やプロゲーマーの方と会話してもらって、楽しんで頂きたい。それが市場の活性化につながると思うからです。結果として他店で購入されたとしても、市場が広がれば我々の売り上げにも繋がりますからね。

――なるほど。

鈴木: ただ残念ながら全国で見ると、まだまだお客様には、かたよりがあります。たとえばツクモの店舗は秋葉原・札幌・名古屋に集中しているので、より多くの地方のお客様にご来店いただけるように、これからもがんばります。

――ありがとうございました。
《小野憲史》
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