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劇場版「ペルソナ3」サウンドコンポーザー・目黒将司インタビュー-後編- “過去の自分を手繰りよせた”

11月23日に全国公開した『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』。ゲームに引き続き本作の音楽を手がけた、サウンドコンポーザー・目黒将司氏に音楽制作について伺った。

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(C)Index Corporation/劇場版「ペルソナ3」製作委員会
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  • 目黒将司氏
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■ 『Burn My Dread』は『呼ばれた』曲ではなかった

--ボーカル曲とインスト曲の区別はどのくらい意識されていますか?

--目黒将司氏(以下目黒) 
『呼ばれた』からそうしているだけという状態です。明確に振り分けはしてませんね。

--今年開催されたライブ『PERSONA MUSIC FES 2013 ~ in 日本武道館』でもファンからの人気投票を実施していました。トップ10にはボーカル曲、インスト曲ともにランクインしていて、受け容れられているものにも優劣がないのが印象的でした。

--目黒 
そうだといいですね。ぼくの意図はそうでしたが、お客さんにも伝わっているとうれしいです。

--ファンからも人気の高い曲、たとえばOP曲や重要なバトル曲のそれらも『呼ばれ』て、書いたものなんでしょうか?

--目黒 
ええ、必要に合わせて、歌の有無は特に意識せず作っています。
ただOPは別なんですよ。OPは歌ってほしいんだろうなというのが伝わってきますから、「そこは歌にします」と(笑)。

--OP曲『Burn My Dread』は『呼ばれた』ものでなく、『P3』の世界観を反映して作られた。

--目黒 
そうですね、OPは初期に作ったとかではなくて、開発の作業がはじまって何ヶ月も過ぎ、何曲か書いて、世界観もだんだん見えてきてという状況で、『P3』っていうものがなんなのか、自分の中でわかってきてから「じゃあ看板書くか」という感じでした。
なので『Burn My Dread』はやっぱり、このゲームの看板の音楽という認識で作ってますね。

■ 過去の自分を手繰りよせる

--『P3』は目黒さんにとってどういう存在ですか?

--目黒 
ゲームを作りたいと思いこの世界に入って、作ってきた中のひとつです。基本的にどの作品も全力投球します。これだけ特別というわけではありません。
だけど『P3』に『呼ばれた』というのはもちろん本当の話ですが、ボーカルの曲をこんなにたくさん入れたのには、みんな驚くだろうし、話題になるだろうなと思っていた部分があったのも事実です(笑)。
それがつながって、今回、映画の曲をやらせていただいたりと、自分自身がまた別の様々なことにチャレンジできるようになったきっかけをくれたゲームと思っています。

--劇場作になるにあたって、特に取り組まれたことはありますか?

--目黒 
一番取り組んだのは、6、7年前のデータの発掘です。大変でした(笑)。再現できなかったんですよ何点か。Macが古かったり、プラグインのサービスが終了していたり。細かくいろんな小細工をしていて「なんでおれはこんなことを……」とも思いました(笑)。たぶん「よーし、フューチャーポップだ!」と意気込んで作ったんでしょうね、もっと簡単な方法があっただろうに。
あとは、新曲が十数曲あるんですけど、それを書くときも、『P3』制作当時を振り返って、どういう気持ちでどういうふうに考えてこういう曲を作っていったのかを、その時の心情・状態に近づけながら。当時はぼくにも未熟な部分がいっぱいあったんで、今になってみると恥ずかしい部分が結構ある。そういう恥ずかしい部分はぼくなりに経験を積んで進化したように直しつつ、「当時だったらこの場面、ぼくはこう思って作るだろうな」と想像しながら作りました。

■ 『P3』の新曲を増やすことができてうれしかった

--『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』の注目ポイントなど教えていただけますか。

--目黒 
『P3』の曲が劇場版のおかげで増えたのがぼくはうれしかった。『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』のためにいくつかの新曲が書かれたのはもちろん間違いなくて、『P3』の世界を彩る曲を新しく増やすことができたのはぼく個人としてうれしかったです。
そこら辺を楽しみに聞いていただけたらいいなと思います。特に既存曲に親しんできたファンのみなさんは、新しい曲を見つける楽しみというものを持っていただけたらと思います。

--ファンに向けてメッセージをお願いします。

--目黒
『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』を、『P3』をプレイした方も、映画で初めて触れられる方も楽しんでいただけたらうれしいです。
そしてゲームの『P3』のことをおもしろそうだな、やったことないけどやってみようかなって思ってもらえたらなによりです。なので、既に『P3』をプレイしている方はソフトを棚から引っ張り出してもう一度プレイしていただいたたり、まだプレイされていない方は新品を買って(笑)ぜひプレイしてほしいです。  
[取材/構成 細川洋平]

劇場版「ペルソナ3」公式サイト
http://www.P3M.jp/
《animeanime》
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