ヤマハのエンターテイメントにおける事業ドメインは、アミューズメント向け、すなわちパチンコ・パチスロ等に採用される液晶部分が主です。そして、ヤマハが擁する次世代GPU「GP-3」において、これからのサブ基板の主役となる資格は「現行のゲームコンソールを超えるGPUパワー」「H.264を超える高画質動画CODEC」「業界標準音源XMP-1内蔵」「組み込み向けスタンダードCPU Cortex-A9内蔵」「RAMレス設計が可能な余裕の内蔵VRAM」にあるとしました。
ヤマハがこだわるリアルタイム描画は、Adobe After Effects(以下AE)と親和性が高い点もアピールされました。AEの各種機能をGP-3チップで処理することでプリレンダリングの負担を低減するため、少ない工数でリッチなコンテンツを製作できるという主張です。
GP-3にはAEと同様の色調補正機能などもあり、そうした調整もチップ側で処理します。液晶画面の明るさや色味というものは、実機で動かしてみてようやくわかるというケースも多々あるため、製作後半になって修正の必要性が出てくることもしばしば。そうした場合に、従来のプリレンダリングワークフローよりもフットワークが軽くなるとのことです。
また、ポストエフェクトもブラー・グロー・ライトバースト・レンズフレア・ディストーションなど、一般的なものを取り揃えています。これはデモ動画でアピールしていました。
他方、リアルタイムエフェクト処理が生きるのは現在のリッチな遊技機シーンです。これまではフェードイン・アウト程度だったトランジション効果が、何十パターンにまでふくれあがっています。そうして増大したなかから、最適なトランジション効果を選ぶのは難しく、演出面での使い分けを考慮すると工数が増えすぎてしまい、最悪の場合なんらかのアクシデントが発生するリスクすらあります。それを打開するためのいち手段たりえるということです。
さらにヤマハは、CRIWAREやMayaなど、他のグラフィックス製品との連携もとっています。たとえば、CRI・ミドルウェアにより開発されたCRI ezActはGP-3へ最適化予定です。独自のポリゴンモデルにモーションやライト、カメラなどのデータをパッケージングしています。
もたらされる恩恵としてわかりやすく例示されていたのが、「女性がハイキックするモーションのスロー」。攻撃がヒットした瞬間にスローがかかるというのはゲームとしては王道ですが、遊技機シーンでも抽選演出などで重要です。ただあらかじめ撮影した動画にスローをかけるだけではフレームレートが下がらざるをえませんが、リアルタイムレンダリング処理でならばカクつきのないスムースなものが出力されます。ほかにも、アフターエフェクトや光源処理など、多様性もアピールしていました。
なお、ヤマハのブースでは液晶の解像感についての展示がありました。表示面までの距離が50cm~60cmであれば、200ppl程度でもRetinaディスプレイ並の効果が得られるとのこと。比較用には13.3インチWQHDのIGZOパネルを用意。遊技機に特化した映像表現を求めるヤマハのスタンスは明確です。
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