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スパイク・チュンソフト新作『Blade & Magic』の挑戦、本橋氏が目指すグローバル展開

2月5日、アマゾンデータサービスジャパンの開催するゲーム開発者向けイベント「GO GAME GLOBAL! 海外市場へ出るための運営とインフラ」が同社オフィスの目黒で行われました。本イベントでスパイク・チュンソフトのプロデューサー本橋大佐氏が「ネイティブアプリ『Blade & Magic』の挑戦」と題したプレゼンを行いました。

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2月5日、アマゾンデータサービスジャパンの開催するゲーム開発者向けイベント「GO GAME GLOBAL! 海外市場へ出るための運営とインフラ」が同社オフィスの目黒で行われました。本イベントでスパイク・チュンソフトのプロデューサー本橋大佐氏が「ネイティブアプリ『Blade & Magic』の挑戦」と題したプレゼンを行いました。

先日2月8日にサービス開始した『Blade & Magic』は、現在Android版がリリースされていますが、今後iOS版もリリースし、グローバルに展開していく予定です。今回は本作プロデューサーの本橋氏が、海外展開を見込んだアプリの開発プロセス、ゲームの紹介、今後の運営方針などについて紹介しました。

本作はスマートフォン向けネイティブアプリです。Android端末は2.3.5以上、iOS端末は5.0以上のOSバージョンに対応、メモリは512MB以上を必要とされるハイスペックなタイトルです。開発はUnityを利用し、コンシューマー機並の3Dグラフィックを扱ったゲームになっており、基本プレイ無料のアイテム課金制となっております。

制作を開始したのは2011年11月からであり、当初は昨年8月にローンチ予定でありましたが、開発の初期の予定からずれ込み、待ちに待った今月リリースとなりました。国内先行リリースの後、英語圏、中国、韓国などの各国市場を狙っており、そのためDeNAのMobageプラットフォームと手を組み、国内のMobageはもとより、Mobage West、Korea、Chinaでも配信していく予定だそうです。

開発当初から海外市場を見込んでいた理由として、本橋氏は3点挙げています。第一に、ゲームは、絵や音、手触りやインタラクティブ性など、言葉以外の感性で表現できるエンターテイメントゆえ、海外であろうと人間としての共通点を考えれば勝負できると考えているから点。二点目として、海外向けタイトルの配信の参入障壁が大きく下がった点。本橋氏は以前、大型のオンラインタイトルの開発運営にたずさわっていましたが、当時はサーバー費用だけでも都内のそれなりのマンションが購入できるぐらい月額にかかっていたそうです。『Blade & Magic』の海外版では、Amazonのクラウドサービスを利用することで、北米でも数字の“桁が1つ下がる”レベルにおさえることが可能になったといいます。

さらに三点目として、スマートフォン・プラットフォームのオープン性が指摘されました。本橋氏は、過去にコンシューマー向けのタイトルにも関わってきましたが、これらの販売するためには、任天堂、ソニーといったゲーム専用機のプラットフォーマー、さらに流通・販売のための小売店などと話をつける必要があります。しかしスマートフォンでは、世界中の端末に対し、アプリストアを通して直接販売が可能であり、物理的なコストや物理的な対応を最低限の押さえられることが大きな変化です。ゲームの企画ばかりではなく、これらの状況を社内でプレゼンした上で、このプロジェクトにゴーサインが出ました。

次にゲーム開発上の説明がなされました。海外を見込んだタイトルとして、本橋氏は「世界観」、「あそびのコア」、「通信のダイエット」という3つの切り口を設定したといいます。世界観の設定では、可能な限り非現実的でありながら、世界中の誰もが聞いたことのあるような馴染み深いものを選択したといいます。これはグローバルな市場を狙う以上、リアルな社会や文化は国によって様々であるため、現実と切り離された世界観が相応しいが、他方で、マスを獲得するため馴染み深い世界観を作り上げる必要があるからです。結果として採用されたのは、世界各地の神話を融合したファンタジーな世界です。

世界観の構築のため、『風来のシレン』などを手がけた同社キャラクターデザイナーの長谷川薫氏に簡単なラフスケッチを依頼。最初からプロジェクトにアサインすることなく、らくがきを書いてもらう程度でお願いしたそうです。そこで出来上がったイラストを元にして、キャラクターやモンスターなどの設定を膨らましていったそうです。これらの一連のプロセスは社内プロジェクトではなく非公式に行ったため、後でお叱りをうけたそうです。しかしながら、初期段階から海外を狙った世界観を構築するため、国内で主流のデフォルメ調ではなく、リアル頭身のデザインを採用し、クオリティが高いビジュアルイメージが出来上がったそうです。

その後、公式に社内で3Dモデリングのデザインを制作依頼し、グラフィックデザイナーに神話上に登場するモンスターやアイテムをリストアップしてもらいました。モンスターは「スプリガン」、「グレンデル」などファンタジーではおなじみのものがほとんどですが、国や文化によって解釈が異なるモチーフに関してはプランナーと相談しながら、プロジェクトの責任者として推進してきたそうです。

さらに重厚な世界観を作るため、サウンドやBGMにも力を入れました。SEには『鬼武者』や『ブレスオブファイア』シリーズなどを手がけた元カプコンの松本幸太郎氏、音楽は『サガ』シリーズで著名な伊藤賢治氏を起用。伊藤氏の起用は端的に本橋氏が大ファンであり、長きにわたる友人でもあったためですが、伊藤氏は、海外でコンサート活動を行なうほど、世界的にも人気・知名度ともに高い音楽家であることも大きな理由であると指摘されました。

次に「あそびのコア」の説明に移りました。本橋氏はスマートフォンを触るだけでルールが把握できるゲームデザイン、収集や育成といったやりこみ要素を付加することなどを設定し、スワイプ・アクション型のRPGと箱庭シミュレーションを合わせたゲームシステムを採用しました。

ルールをわかりやすくするため、操作性は親指をメインで使用することを前提にしたチューニングを行い、視覚的に理解しやすいダメージのポップアップとコンボ表示でプレイヤーにフィードバックを与えるなど、UIを工夫したそうです。さらに、ハイスペック機では最大60fpsでの動作を可能としました。特にPCゲームに親しんでいる北米ユーザーはフレームレートを気にするため、こだわったポイントだそうです。

最後に通信のダイエットでは、データ転送量を減量するのではなく、“通信頻度を減らす”方向で努力したそうです。そこでサーバー側のデータとアプリ側のデータの設計を精緻に行ってきましたが、この点はプロジェクトの問題点となりました。というのも、一言で言えば、制作上の制限事項となるため、ゲームプランニング上やりたいこととのバランスを取るのに時間を要す結果になってしまったそうです。繰り返しになりますが、海外展開を見込むためには、日本や韓国を除き、インフラがしっかりしている国は稀なため、通信頻度はおさえる必要があるといいます。また、その実現は、エンジニアだけが行うものではなく、プランニングを行う人間も共に行わないと、絶対に実現しないともありました。

このような開発経緯のもとに無事リリースされた『Blade & Magic』ですが、今後の国内外での展開の仕方についても触れられました。まず国内と海外で変更しないポイントとして、ローンチ時のゲーム内容、グラフィック、システムの基本サイクルがあげられました。本作は国など関係なく、ゲームとしての最大公約数的な要素を意識して要件が考えられていることが主な理由です。

他方、国内と海外で異なる点として、MobageのSDK、インフラ、コンテンツの運用ラインがあげられました。まず本作はMobageプラットフォームでリリースされるため、それぞれの国に合わせたMobageのSDKを使用しています。またサーバーなどのインフラも国内でパートナーシップを組んでいる事業者を利用する予定でありましたが、最終的には、システムの柔軟性からAmazonのクラウドサービスであるAWSを利用することになりました。

最後にコンテンツの運用ですが、当然、国によって時差があり、担当者の体力も鑑みて、国内外では運用体制を別にするそうです。最後に、各国での配信開始後は、ユーザー反応やデータを踏まえて、運営を考えていく姿勢とのことでした。
《今井晋》
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