同ブログ記事は「なぜ今?」といった疑問に対する回答にはじまり、最後にはワクワクするような予想へとつながっていきます。
※なおこの意見は Kelly 氏の個人的見解であり、掲載元の Gamasutra の意見を代表するものではありません。
※本記事では用語の対比のため家庭用ゲーム機のことを「コンソール」と呼びます。
Kelly氏は最初に、これらの「低価格でとっつきやすく、物理的に小さいコンソール」のことを「Microconsole」(以下、マイクロコンソール) と命名。
参考:最近話題のマイクロコンソール
・Ouya
・NvidiaのShield
・PlayjamのGamestick
続いて、既存のコンソールではゲームを公開するまでに認証や関連費用が必要であることを指摘した著者は、Ouyaが「オープンなプラットフォームにする」と語っていることを強調し、さらに "この5年間でPCとモバイルシーンに起きたことを考えれば、コンソールだけが特別である理由は見当たらない" と語ります。
そして、ハイエンドPCやコンソール向けタイトルが最先端のグラフィックを見せてくれるのは変わらないものの、一部のインディー開発者たちはそれに追いついてきていると述べ、『The Walking Dead』、『Dear Esther』、『Bastion』、『Hotline Miami』、『Journey』といったタイトルを挙げた上で、これらの作品が独自のスタイル(そしてある意味では素晴らしい輝き)を確立していると話します。そして、"こういった独自のスタイル/輝きはハイエンドPCやコンソールの持つ処理能力的な強さよりも重要になってきていると感じる" とも。
また、"『Far Cry 3』のようなタイトルはマイクロコンソールでは遊べないでしょう。しかしそれを気にするかどうかはまた別の問題です。" と述べ、棲み分けが可能であるとの見解を示した上で、現在インディー開発者が表現したいこととテクノロジー/ハードウェアの能力のバランスがマッチしていると指摘。
続いてKelly氏はハードウェアと配信のコストについて言及します。現在マイクロコンソールは低価格にする流れになっていますが、ここでよく浮かぶ疑問、「マス層に浸透するかどうか」について "「マス層に浸透するかどうか」というのは大規模予算をかけてゲームを開発し、ディスクを製造し、次世代ハードウェアの研究を行うために必要である要素です。他方、マイクロコンソールはまず熱意あふれる愛好家に向けて作られ、その後キャズムを超えるために尽力していくという流れになると予測します。" と述べています。
また、"携帯電話のように、定期的(1年毎の可能性も)にハードウェアの新モデルが出る可能性もあるのでは?AmazonのKindleやSamsung/Appleのデバイスのように、同じ顧客に1~2年毎に販売するような流れになるかもしれません。" と、低価格であることが買い替えという新しい流れを生むのではないかと予測しています。
次に著者は、多くのマイクロコンソールがベースOSとしてAndroidを採用している点に着目し、今後を予想。まず、Androidベースであるということは、現在話題になっている製品以外でもSamsungのような企業が参入する可能性があると述べ、最終的にAndroidがこの種のゲームの共通フォーマットのようになる可能性があると語ります
。ブログでは "ShieldのゲームがOuyaで遊べたり、Gamestick上でOuyaのゲームが動作したりすれば、これまでの「ゲームコンソール」の概念を変えてしまうでしょう。" と述べられていますが、スマートフォンのゲームで考えてみれば「インターフェース」と「配信チャンネル」さえある程度整えば、ビジネス上はともかくとして技術的にはそう現実離れした話でもなさそうです。
そしてブログの最後では、さらにラディカルな予測が。最初に "おそらくすべてのマイクロコンソールが生き残ることはないでしょう。" と述べてはいるものの、これから参入してくる企業の例としてSamsungとAmazonを挙げ、特にSamsungについてはTVベースのハードウェアを開発してきた経験があることから、十分にありえるのではないかと予測。また、Apple についても "Apple TV が一夜にしてマイクロコンソールに変貌を遂げる、なんてことも考えられないことではないかもしれません。" と語っています。
2013年現在、「インディー開発者が表現したいこと」と「テクノロジー/ハードウェアの能力」そして「お金の流れ」の三要素のバランスを考えてみると、数年前とは比較にならないほど広がっているように感じられます。インディー開発者が経済的に成功しつつも自らのビジョンを追い求められる、そういった流れに最適化したゲーム専用ハードウェアが、マイクロコンソールなのかもしれません。
今年一年、マイクロコンソールのニュースは何度も登場することになると思いますが、ゲーム、ゲーマー、ゲーム開発者の新たな可能性を秘めたこのムーブメント、ぜひしっかり追っていきたいところです。
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