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【OGC2012】mixiで始まった「mixiゲーム」の現状とヒットタイトルの育て方

2011年11月からスタートした「mixiゲーム」。mixiアプリの中からゲームだけを集約したサービスです。開始から約4か月が経過した今、現状はどのようになっているのでしょうか。

ゲームビジネス 開発
2011年11月からスタートした「mixiゲーム」。mixiアプリの中からゲームだけを集約したサービスです。開始から約4か月が経過した今、現状はどのようになっているのでしょうか。OGC2012でミクシィの森田仁基氏とグレンジの木下慎也氏が「mixiゲームの現状とヒットタイトルの特徴」と題して講演を行いました。

ミクシィ ユーザーサービス本部 コンテンツ部 部長 森田 仁基 氏グレンジ 代表取締役社長 木下 慎也 氏


■スマホユーザーが急増中のmixi
講演は前半で森田氏がmixiとmixiゲームの現状について報告し、後半に木下氏が『戦国SAGA』『ドラモンマスター』の2本を題材に、mixiゲーム内で売上を伸ばすTIPSについて説明しました。

mixiの登録者数は2012年1月で2650万人、月間アクティブユーザーは1538万人で、利用者数・利用頻度・利用時間ともに国内最大のSNSサービスとなっています。中でも20代の利用者が多い点が特徴で、人口ピラミッドに対する月間ログインユーザーの割合で、男性は20代が49%、女性は59%の利用比率を誇っています(20-24歳の女性に絞ると71%にも上ります)。30代、40代のユーザーも多い他のSNSと比べて、この違いは際立っています。

スマートフォンユーザーの増加も特徴で、月間アクティブユーザーは602万人。1日当たりの利用者数で2011年12月にはPCを上回りました。近月中にフィーチャーフォンのユーザーを上回ることは確実視されています。

20代が中心で特に女性に浸透スマホユーザーがPCを逆転mixiゲームの課金額も順調に拡大


mixiゲームの課金売上高も順調で、2011年8月の時点(mixiゲーム以前)と比べて、12月時点で約2倍に上昇しました。11月のフィーチャーフォン版に続いて、12月にはPC・スマートフォン版もリリース。今後は▽コンテンツの強化▽ユーザー導線の強化▽プラットフォーム基盤強化▽mixiポイントプラス▽決済手段の強化−−などを進めていきたいとしています。森田氏は「以前は牧場系など『まったり』系ゲームが人気だったが、mixiゲームのスタート以後は、より本格的なゲームで人気が出てきた」と違いを語りました。

■mixiの特性を活用することがヒットの源泉
こうした中で2011年2月にサイバーエージェントとミクシィのジョイントベンチャーで設立された、いわばセカンドパーティ企業がグレンジです。『戦国サーガ』『ドラモンマスター』の2作をリリース中で、『ドラモン』はリリース後3日でmixiゲームランキング1位を獲得。『戦国』もランキングの上位常連作で、共に高い人気を誇っています。

木下氏はグリー・モバゲーと比較して、mixiゲームは「プラットフォームの規模が小さく、競争が激しくないので、良質なゲームを作ればヒットのチャンスがある」と説明しました。一方でユーザーがソーシャルゲーム(課金)慣れをしていないので、課金売上が緩やかに伸びていくこと。またmixiの特性としてユーザー間の口コミなどがききやすく、APIの活用次第でデイリーアクティブユーザーを伸ばすことができると補足しました。こうしたプラットフォームの特性をうまく生かすことがヒットの鍵というわけです。

さまざまなテクニックを用いてユーザー間のバイラルを高めていく


具体的なテクニックとして、まず「ゲーム内の友人へのアクションはリクエストAPIを使う」ことが奨励されました。ただし濫用するとスパムになりがちなので注意が必要です。そのため「ゲームのプレイ頻度が高い」「アクティブなマイミク」に優先的に送る仕組みを作る必要があると補足されました。

またmixiボイスも効果的で、友人へのライトメッセージとしてのつぶやきを載せられます。この際も「つぶやきの内容に友人の名前を入れさせると良い」と説明されました。利用者にとっても、つぶやく言い訳ができることと、人の名前が入っている方がTL上で目立ちやすくなるためです。

なおボイス機能は「遊んでいて気持ちが盛り上がっている場面(ボスを倒した時など)」「ゲーム内で思わず人に言いたくなることが発生した場面(レアカードをゲットしたときなど)」で埋め込んでおくと良いそうです。その上でネタとして消費されやすくするために、文面にはある程度のギャグっぽさも必要なのだとか。

このほか各ページでは、マイミクの情報を優先的に表示することが推奨されました。マイミクの最新情報が目に入ることで、ゲームへのハマリ度が高まる効果が期待できるからです。その上で情報だけでなく「感情」が入っていると、なお良いのだとか。こうした細かいテクニックをこつこつと積み上げて、ユーザー間のバイラルを回していくことが、ヒットに繋がるというわけです。

スマホユーザーがガラケーを上回る日も近いスマホユーザーの方が課金する率が高い


ちなみに2作の重要業績評価指標(KPI)を分析すると、スマホユーザーはフィーチャーフォンユーザーと比べて、課金率や有料会員一人当たりの平均月間売上高(ARPPU)が高いことがわかりました。もっとも、そのためにはスマホでの利用を想定して、コンテンツをしっかり作り込む必要があると木下氏は指摘します。単なる「焼き直し」タイトルでは駄目で、OSや画面解像度、画面の表示速度などを考慮して作り込むことがポイントだとされました。

最後に木下氏はサービス提供者(SAP)側の立場として▽スマホ版mixi内のゲームに対する露出(導線)増加▽スマホのネイティブアプリからmixi touchベースのゲームに対する、シームレスな導線の確保▽mixiゲーム全体のユニークユーザーを伸ばす取り組み・・・の3点について要望を提示しました。

もっともユニークユーザーを増やすには、超ビッグタイトルを増やすことが一番です。「そのためには自分たちも努力していきますし、一人でも多くの方に参加してもらって、みんなで盛り上げていきましょう」と呼びかけ、公演を締めくくりました。
《小野憲史》
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