人生にゲームをプラスするメディア

【GDC2012】ゲームグラフィックの進化を辿る「3Dの歴史」展レポート

新設された「GDC PLAY」会場の一角にレトロゲームが並ぶコーナーがありました。米カリフォルニア州オークランドにある博物館「The MADE(The Museum of Art and Digital Entertainment)」の協力で開催された、企画展「3Dの歴史(The History of 3D)」です。

その他 フォトレポート
新設された「GDC PLAY」会場の一角にレトロゲームが並ぶコーナーがありました。米カリフォルニア州オークランドにある博物館「The MADE(The Museum of Art and Digital Entertainment)」の協力で開催された、企画展「3Dの歴史(The History of 3D)」です。

「GDC PLAY」会場にはインディ(独立系)ディベロッパーが開発したインディゲームがずらり。ほとんどが3Dゲーム(ポリゴンを利用したゲーム)で、中にはハイエンドなゲーム機向けの表現に迫るものもあります。一方「3Dの歴史」展のゲームは、ATARI2600やIBM-PC時代にさかのぼる名作ばかりで、あのバーチャルボーイも楽しめました。

展示は大きく「入り口」「右壁」「左壁」「中央」「奥」に分かれており、入り口の向かって左側に『Vectrex』と『STAR RAIDERS』があり、ともに黎明期のスペースシューティングの変化。右側に『メタルギアソリッド』と『バイオショック』があり、3Dゲームにおけるストーリーテリングの変化が象徴されていました。

右壁はコンソールゲームのオリジナル作を中心に展示され『スーパーマリオ64』と『ナイツ』が並んで展示。右壁にはアーケードゲーム初出のタイトルを中心に展示され『バーチャレーシング』と『バーチャファイター』、そして『ハードドライビン』などが並んで展示されていました。
(もっとも3Dホラーアドベンチャーを切り開いた『アローン・イン・ザ・ダーク』が脇に控えるなど、明瞭ではありませんでしたが)

中央はFPSの歴史コーナーで、疑似3Dだった『ウルフェンシュタイン3D』が『Quake』でフル3Dとなり、『ディセント』で360度の空間移動を実現。一方でバンジー初期のタイトル『PATHWAYS INTO DARKNESS』のように、FPSでありながらストーリー性を取り入れたゲームも存在していたなど、タイトルは少ないながらも多面的な見せ方が工夫されていました。
(その後『PATHWAYS』は『MARATHON』そして『Halo』へと続いていきます)

奥はPCゲームコーナーで、『マイクロソフトフライトシミュレーター』や『ALPHA WAVES』といった、ワイヤーフレームからポリゴンへの移行期のタイトルが展示されていました。このほか主要ゲーム機の外箱や筐体(スケルトンのXbox開発キットまで!当時はiMacのブームでスケルトンデザインが大流行していました)、あの『ポン』を家庭で遊べるようにした『ホームポン』などのビンテージマシンも見られました。

展示を一巡してすぐにわかるのが、アメリカのゲームにおける一人称視点ゲームの多さです。一方で日本では三人称視点ゲームが中心で好対照。バーチャルワールドを構築して、その中を自由に動き回りたいというアメリカのゲーム開発者の思いが、3Dゲーム開発における重要なモチベーションになっていたのかもしれません。

実際、3Dゲームはハードウェアの制約の中、モニタという平面上の世界に、さまざまな技法で疑似3D空間を創り上げようとしてきた歴史です。最近ではS3Dによる立体視ゲームも一般的になりました。一方でインディゲームの中には『CAVE STORY(洞窟物語)』をはじめ、2Dゲームへの回帰が見られるのも興味深いところです。

最新のゲーム開発技術を議論するGDCで、「3Dの歴史」展が開催されるところ自体、ゲーム業界の歴史が一周してきた証拠なのかもしれません。インディゲーム開発者が集まる「GDC PLAY」会場だけに、「3Dの歴史」展に足を止める参加者も若手が多く、子供時代の思い出をみな懐かしそうに語りながら、ゲームをプレイしていました。

■展示ゲーム一覧

STAR RAIDERS(ATARI/ATARI2600など)1979年
Vectrex(GCE)1982年
メタルギアソリッド(コナミコンピュータエンタテイメントジャパン/PS1)1998年
バイオショック(2K Games/Xbox360・PS3)2007年
スーパーマリオ64(任天堂/NINTENDO64)1996年
ナイツ(セガ/セガサターン)1996年
レッドアラーム(T&Eソフト/バーチャルボーイ)1995年
SUPER MARATHON(バンジー/ピピン@アットマーク)1996年
スターフォックス(任天堂/スーパーファミコン)1993年
スターウォーズ・アーケード(セガ/スーパー32X)1994年
ウルティマアンダーワールド(オリジンシステム/MS-DOSなど)1992年
ALPHA WAVES(Infogrames/MS-DOSなど)1990年
QUAKE(イド・ソフトウェア/PCなど)1996年
ディセント(インタープレイ/PCなど)1995年
ウルフェンシュタイン3D(イド・ソフトウェア/PCなど)1992年
PATHWAYS INTO DARKNESS(Bungie Software、Products Corporation/Mac)1993年
スターブレード(ナムコ/アーケードなど)1991年
ハードドライビン(ATARI/アーケードなど)1989年
アローン・イン・ザ・ダーク(インフォグラム/PCなど)1992年
シルフィード(ゲームアーツ/PC-88など)1986年
バーチャファイター(セガ/アーケードなど)1993年
バーチャレーシング(セガ/アーケードなど)1992年
THE COLONY(マインドスケープ/MS-DOSなど)1988年
マイクロソフトフライトシミュレーター(Microsoft Game Studios/MS-DOSなど) 1982年
《小野憲史》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

その他 アクセスランキング

  1. 「ガンダム ジークアクス」漫画家・羽海野チカ先生による「ララァ」のファンアートが素敵…「はじめて好きになった アニメの中の美しい女の子」と思い語る

    「ガンダム ジークアクス」漫画家・羽海野チカ先生による「ララァ」のファンアートが素敵…「はじめて好きになった アニメの中の美しい女の子」と思い語る

  2. 「シャロンの薔薇」の正体に衝撃!羽海野チカ先生による「ララァ」ファンアートも美しい…「ガンダム ジークアクス」第9話で活躍したメカ・キャラたちを一挙紹介

    「シャロンの薔薇」の正体に衝撃!羽海野チカ先生による「ララァ」ファンアートも美しい…「ガンダム ジークアクス」第9話で活躍したメカ・キャラたちを一挙紹介

  3. “お風呂って、自由ですか?”「ガンダム ジークアクス」×「極楽湯・RAKU SPA」コラボが開催決定!マチュやニャアン、シャリアたちが浴衣姿に

    “お風呂って、自由ですか?”「ガンダム ジークアクス」×「極楽湯・RAKU SPA」コラボが開催決定!マチュやニャアン、シャリアたちが浴衣姿に

  4. 「ガンダム ジークアクス」第9話担当アニメーターから「ララァ」のファンアート続々!少女たちと抱き合う姿はどこか艶かしい

  5. 自由度の高さが魅力な生活系ゲーム5選!大人気の『ファンタジーライフi』や和風な世界観になった「ルーンファクトリー」最新作など

  6. エルメスらしき「シャロンの薔薇」や、満を持してララァも!「ガンダム ジークアクス」第9話で活躍したメカ・キャラたちを一挙紹介

  7. 「ガンダム ジークアクス」アニメーター陣による「シイコ」の特別イラストに阿鼻叫喚…「人の心!」「あの後にコレはきつい」

  8. サイコガンダム、キケロガ、ハンブラビ、ギャンまで!「ガンダム ジークアクス」第7話で活躍したメカ・キャラたちを一挙紹介

  9. アニメ「星のカービィ」の“不適切表現”に公式が注意喚起―ファンからは「今だと炎上しそう」「むしろ当時もアウト」

アクセスランキングをもっと見る